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本編

成長期はいつ?

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ダメだ。
手が震えてきた。
だが、諦めきれない。

「ルシー、おいで。僕と一緒にやってみよう」
「おかしいな…小さい子でも簡単に出来るはずなんだが…」
「お爺様!!」

ギル兄様の素敵な提案に喜んで近づこうとしたのだが、お爺さまの衝撃の一言でその場に止まった。
小さい子でも出来る簡単な事らしい。
それなら、何故自分には出来ないのだろうか。
小さい子が出来るのであれば、魔法は関係ないはずだ。
という事は、純粋に筋力の問題という事になってしまう。
薄々は気付いていたのだが、もしかしたら自分は同世代と比べても、とても小さいのではないだろうか。
だから、妖精やらコロポックルに間違えられてしまうのでは…。

「ルシー、大丈夫だよ」

ギル兄様が慰めてくれているが、何が大丈夫なのだろう。
すぐに大きくなるから大丈夫なのか…。
考えたくはないが、小さいままでも大丈夫だという意味かもしれない。

「にゃんで、ぼく、できにゃいのぉ」

泣き虫が発動してしまった。
グズグズと鼻をすすってしまう。

「ルシー、泣かないで。ルシーはまだ3歳なんだよ?僕はまだ、いっぱいお手伝いしたいから急いで大きくならなくても良いんだよ。それとも、僕にお手伝いされるのは嫌?」

ギル兄様がしゃがんで目線を合わせてくれる。
もちろん、少しも、全く、ぜんぜん嫌ではない。
むしろ手伝ってもらえる事はご褒美だと思う。
それでも、同世代の子が1人で出来る事が自分だけ出来ないという事実が胸を抉るのだ。

「ルシー、僕は竜人だしお爺様や父上は白熊の獣人だよね。ルシーと同じ人族でも、ガリルはエルフの血が混ざってるしルイさんは大鷲の血が混ざってる。みんな色々な血が混ざってるから成長スピードは人それぞれなんだよ。大人になっても身体が小さいままの種族だっているよ?」
「ファルシュターは人族だろうが、小型獣の血やもしかしたら昆虫の血が混ざっているのかもしれん。そういった者は成長スピードが緩やかなんだ。それに、今は1人で出来なくても練習すれば出来る様になる。わしの言い方が悪かったんだ。許してくれ」

お爺さまに怒っている訳ではないので許す、許さないの問題ではないのだが、いい事を聞いた。
そうだ。
練習すれば良いのだ。

「ぼく、れんちゅう、しゅる」

そう決めれば、泣いている場合ではない。
今日中には成功しないかもしれないが、こういうのは毎日の反復練習がモノをいうのだ。
繰り返し諦めずチャレンジしていこう。

「偉いぞ、ファルシュター。よし!じいじの膝に来い。まずは成功のイメージを掴め!」

お爺さまの膝の上でシャボン玉への挑戦が続いた。
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