上 下
176 / 195
本編

ゴリラじゃなかった

しおりを挟む
何故かセイバースさんが吹き出してしまった。
ゴリラの獣人だから体格が良いのかと思って聞いてみただけなのだが、そんなに笑う必要はあるだろうか。
ゴリラはカッコいい動物だと自分は思っている。

「にゃんで、わらうの?」
「すみません。ゴリラって…。父の事ですよね?」

この場にゴリラの獣人はガリルさんしかいないのだから、それ以外はないだろう。

「ガリル、獣人と間違えられているぞ」

お爺さまが不思議な事を言っている。

「ファル君、ガリルは獣人じゃ無いんだよ」

嘘だ。
どう見てもゴリラの獣人じゃないか。
獣人でないとしたら種族は何になるのだろう。
ギル兄様の様にツノも鱗もないので竜人族ではないのは確かだ。
まさか巨人族とかいるのだろうか。

「ルシー、ガリルは人族だよ。ルシーと同じだね」

いやいや、そんな事は無い。
いくら自分が騙されやすいからと言って、コレは信じない。
だって自分と同じ種族だと言われても、どこにも共通点が無いではないか。
肌の色も違うし、なにより体格が違いすぎる。
さっきの話だと幼い頃から大きかったらしいのだが、自分は明らかに普通より小さいと思う。
まだ同じ年頃の子供を見た事は無いが、ペンギンに背負われる3歳児など自分くらいだろう。

「ファルシュターぼっちゃま、私はエルフの血が混ざっていますが、ぼっちゃまと同じ人族ですよ」

本人が言うのだから間違いないのだろうが納得がいかない。
そんなにエルフの血が成長に影響するのだろうか。
自分は不本意だがよく妖精に間違えられる。
なんとなくエルフと妖精は似ている気がするのだが、エルフは大きくて妖精は小さいとかあるのなら悲しい。
自分もエルフがよかった。

「ぼっちゃま、父はゴリラですよ。間違えてません。こんな筋肉ダルマ、人族なワケないですよね。これからはガリルではなくゴリラと呼びましょう」

セイバースさんがとても良い笑顔で提案してくるが、そんな事、許されるワケが無い。

「何かに似てるとずっと思っていたのですが、ゴリラだったのですね。ファルぼっちゃまは着眼点が素晴らしい」

セイバースさんはガリルさんと仲が良く無いのだろうか。
リント君の事もあるし、この一家が崩壊しないか心配だ。

「セイバース、さっきの失格だと言われた事を根に持ってるな」
「当たり前です。ファルぼっちゃまのお世話係を狙う者は全員敵ですから。ゴリラはペット枠でお願いします」

ゴリラをペットにする感覚がわからないが、セイバースさんがとても怒っていた事だけは自分にも理解できた。

「もちろん、牛もですよ」

この一家の頂点はセイバースさんかもしれない。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

【完結】白い塔の、小さな世界。〜監禁から自由になったら、溺愛されるなんて聞いてません〜

N2O
BL
溺愛が止まらない騎士団長(虎獣人)×浄化ができる黒髪少年(人間) ハーレム要素あります。 苦手な方はご注意ください。 ※タイトルの ◎ は視点が変わります ※ヒト→獣人、人→人間、で表記してます ※ご都合主義です、あしからず

日本で死んだ無自覚美少年が異世界に転生してまったり?生きる話

りお
BL
自分が平凡だと思ってる海野 咲(うみの   さき)は16歳に交通事故で死んだ………… と思ったら転生?!チート付きだし!しかも転生先は森からスタート?! これからどうなるの?! と思ったら拾われました サフィリス・ミリナスとして生きることになったけど、やっぱり異世界といったら魔法使いながらまったりすることでしょ! ※これは無自覚美少年が周りの人達に愛されつつまったり?するはなしです

【完】ゲームの世界で美人すぎる兄が狙われているが

BL
 俺には大好きな兄がいる。3つ年上の高校生の兄。美人で優しいけどおっちょこちょいな可愛い兄だ。  ある日、そんな兄に話題のゲームを進めるとありえない事が起こった。 「あれ?ここってまさか……ゲームの中!?」  モンスターが闊歩する森の中で出会った警備隊に保護されたが、そいつは兄を狙っていたようで………?  重度のブラコン弟が兄を守ろうとしたり、壊れたブラコンの兄が一線越えちゃったりします。高確率でえろです。 ※近親相姦です。バッチリ血の繋がった兄弟です。 ※第三者×兄(弟)描写があります。 ※ヤンデレの闇属性でビッチです。 ※兄の方が優位です。 ※男性向けの表現を含みます。 ※左右非固定なのでコロコロ変わります。固定厨の方は推奨しません。 お気に入り登録、感想などはお気軽にしていただけると嬉しいです!

俺の悪役チートは獣人殿下には通じない

空飛ぶひよこ
BL
【女神の愛の呪い】  この世界の根源となる物語の悪役を割り当てられたエドワードに、女神が与えた独自スキル。  鍛錬を怠らなければ人類最強になれる剣術・魔法の才、運命を改変するにあたって優位になりそうな前世の記憶を思い出すことができる能力が、生まれながらに備わっている。(ただし前世の記憶をどこまで思い出せるかは、女神の判断による)  しかし、どれほど強くなっても、どれだけ前世の記憶を駆使しても、アストルディア・セネバを倒すことはできない。  性別・種族を問わず孕ませられるが故に、獣人が人間から忌み嫌われている世界。  獣人国セネーバとの国境に位置する辺境伯領嫡男エドワードは、八歳のある日、自分が生きる世界が近親相姦好き暗黒腐女子の前世妹が書いたBL小説の世界だと思い出す。  このままでは自分は戦争に敗れて[回避したい未来その①]性奴隷化後に闇堕ち[回避したい未来その②]、実子の主人公(受け)に性的虐待を加えて暗殺者として育てた末[回避したい未来その③]、かつての友でもある獣人王アストルディア(攻)に殺される[回避したい未来その④]虐待悪役親父と化してしまう……!  悲惨な未来を回避しようと、なぜか備わっている【女神の愛の呪い】スキルを駆使して戦争回避のために奔走した結果、受けが生まれる前に原作攻め様の番になる話。 ※悪役転生 男性妊娠 獣人 幼少期からの領政チートが書きたくて始めた話 ※近親相姦は原作のみで本編には回避要素としてしか出てきません(ブラコンはいる) 

雪狐 氷の王子は番の黒豹騎士に溺愛される

Noah
BL
【祝・書籍化!!!】令和3年5月11日(木) 読者の皆様のおかげです。ありがとうございます!! 黒猫を庇って派手に死んだら、白いふわもこに転生していた。 死を望むほど過酷な奴隷からスタートの異世界生活。 闇オークションで競り落とされてから獣人の国の王族の養子に。 そこから都合良く幸せになれるはずも無く、様々な問題がショタ(のちに美青年)に降り注ぐ。 BLよりもファンタジー色の方が濃くなってしまいましたが、最後に何とかBLできました(?)… 連載は令和2年12月13日(日)に完結致しました。 拙い部分の目立つ作品ですが、楽しんで頂けたなら幸いです。 Noah

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

【完結】僕の異世界転生先は卵で生まれて捨てられた竜でした

エウラ
BL
どうしてこうなったのか。 僕は今、卵の中。ここに生まれる前の記憶がある。 なんとなく異世界転生したんだと思うけど、捨てられたっぽい? 孵る前に死んじゃうよ!と思ったら誰かに助けられたみたい。 僕、頑張って大きくなって恩返しするからね! 天然記念物的な竜に転生した僕が、助けて育ててくれたエルフなお兄さんと旅をしながらのんびり過ごす話になる予定。 突発的に書き出したので先は分かりませんが短い予定です。 不定期投稿です。 本編完結で、番外編を更新予定です。不定期です。

処理中です...