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本編

進化の結果?

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しかもセイバースさんだけでなく、シェフとベクストにも幻覚症状が出ている様だ。

「ぼっちゃまはまだ、お昼寝中なのか?」
「今日はお疲れでしょうから…。それに、もしここにぼっちゃままで揃ってしまったら、自分は倒れる自信があります」
「間違いない」

幻覚症状を治す方法はあるのだろうか。
興奮している様には見えないが、とりあえず気持ちを落ち着かせてもらい様子を見るしかないだろう。
だが、自分が声をかけたら症状が悪化してしまうかもしれない。
どうしたらいいんだ。

「3人とも、落ち着いて?こんなに可愛いルシーに偽物なんて存在しないから。森の妖精じゃなくて、僕の可愛い子だよ。ほら、よく見て?」

ギル兄様は自分を抱き上げたまま3人にヅカヅカと近づいた。
いつもの優雅なギル兄様ではなく、ワイルドな感じなのもとても素敵だ。
かっこいい。

3人はギル兄様が近づいた事で大胆になったのか、ソロっと頭や頬を撫でて自分が実体なのを確認している。

前回は冒険者にお手伝い妖精のブラウニーに間違えられたが、妖精とはそんなにたくさんの種類がいるものなのだろうか。
森の妖精とコロポックルの違いがわからない。
羽か?
イメージ的には妖精とは掌サイズなのだが、自分は小さいと言っても人間サイズなので、それよりはとても大きい。
しかも、羽も無いので飛ぶ事もできないのだが、何故間違えられるのかがどうしてもわからないのだ。

「…間違いありません。ファルぼっちゃまです!」
「本当だ!」
「ぼっちゃま!進化したんですか!?」

ベクスト、何を言っているんだ。
人間は進化の結果、この姿になっているのだから、自分がこれ以上進化する事はないだろう。
もしかして、自分が知らないだけで獣人族や竜人族は進化するのだろうか。

「進化って…。ルシーの可愛らしさは確かに毎日更新しているけど、人間は進化しないよ。見た事ないでしょう?」

ギル兄様が途轍もなく呆れているのがわかるが、自分にはどうする事も出来ないので、ギル兄様の呆れ顔を堪能しておく事にする。

それにしても、よかった。
誰も進化していないのなら、自分もする事はないだろう。
安心だ。
本当にコロポックルや座敷童子に進化してしまったら大変な事になってしまう。
主にパパの情緒が…。
進化して身体が大きく成長出来るのであればしてみたい気もするが、小さくなってしまったら問題だ。
それにどうせ進化できるのであれば、ギル兄様とお揃いの竜人族になりたいが、どう頑張っても無理な話だろう。

なれてコロポックルなら、進化したくない。
コスプレで十分だ。
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