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本編
呪いの人形
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お屋敷に入ると玄関に使用人さん達全員が集まっていた。
シェフやベクストなんかは、号泣している。
「ほら、帰ってきてくれたじゃないですか。シェフが怖いとかじゃなくてよかったですね」
「ベクストも泣き止みなよ。これ以上ベクストが泣くと、せっかくぼっちゃまにあげたいって作った花人形が動き出しそうで怖い…」
シェフはいつかのように両脇をキッチンスタッフに抱えられているが、あの時とは逆に泣き崩れるのを支えられているみたいだ。
ベクストが作ったと思われる自分の膝丈くらいの大きさの、カラフルなお花で出来た人形はベクストの肩の上からコチラをジッと見ている様な気がする。
確かにもう少ししたら、あの場所から飛び降りて自分に向かって走ってきそうで怖い。
お花が揺れる様に動くのは可愛いが、コチラに向かって走ってくるのなら、それはもうホラーだ。
泣き叫ぶ自信がある。
「よかった。また一緒にいられる…」
「そうですよ。さぁ、シェフ。ファルぼっちゃまに軽食をお届けしましょう」
シェフがチラチラと自分を確認しながら厨房に戻って行くので手を振って声をかけておく。
「ちぇふ、ごめんねぇ。ぼく、ちぇふの、ごはん、だいすき。かわいいもんねぇ」
「っ!!!サンドイッチを熊の形にしてきます!マカロンは虎にしますからね!」
一気に元気になって厨房へ走って行った。
あれでこそシェフだ。
きっと今日の夕食も自分だけには可愛い仕様で提供されるだろう。
お爺さまの目の前でになるだろうが仕方がない。
あんなに泣くほど心配させてしまったのだ。
その辱めは甘んじて受けよう。
「ぼっちゃまが庭で行方不明になるなんて…。自分は庭師失格です」
「ほれ、ベクスト。花人形が動き出したぞ。今回の事はワシらも含めて庭師全員の責任じゃ。自分だけを責めちゃいかん」
ベクストがお爺ちゃん達に慰められているが、そんな事よりお花の人形が動いてますよ。
ほら、肩から降りようとしてる!
の、呪われる…。
今回のプチ家出騒動は庭師のみんなにはなんの責任も無い。
庭師が入れないと分かっていて、自分が熊や虎の住処に走り込んだのだ。
今回の騒動で責任を取るべきなのは自分だけだ。
「ちがうの。ぼくが、わるいの!ぼくが、ソラちゃの、おうちに、かってに、いったの!みんな、いちゅも、ぼく、みててくれて、たちゅけて、くりぇてりゅの!」
いつも庭で遊んでいると、離れた所からでも気にしてくれているのが分かっていた。
1人になる事はほとんど無いが、セイバースさんが離れた時などはすぐに近くまで来てくれていたのも知っている。
そんなみんなが責任を感じる事なんて何一つない。
まさかこんな大事になるとは思ってもいなかったんだ。
これが報いだというのなら、その呪いは引き受けよう。
シェフやベクストなんかは、号泣している。
「ほら、帰ってきてくれたじゃないですか。シェフが怖いとかじゃなくてよかったですね」
「ベクストも泣き止みなよ。これ以上ベクストが泣くと、せっかくぼっちゃまにあげたいって作った花人形が動き出しそうで怖い…」
シェフはいつかのように両脇をキッチンスタッフに抱えられているが、あの時とは逆に泣き崩れるのを支えられているみたいだ。
ベクストが作ったと思われる自分の膝丈くらいの大きさの、カラフルなお花で出来た人形はベクストの肩の上からコチラをジッと見ている様な気がする。
確かにもう少ししたら、あの場所から飛び降りて自分に向かって走ってきそうで怖い。
お花が揺れる様に動くのは可愛いが、コチラに向かって走ってくるのなら、それはもうホラーだ。
泣き叫ぶ自信がある。
「よかった。また一緒にいられる…」
「そうですよ。さぁ、シェフ。ファルぼっちゃまに軽食をお届けしましょう」
シェフがチラチラと自分を確認しながら厨房に戻って行くので手を振って声をかけておく。
「ちぇふ、ごめんねぇ。ぼく、ちぇふの、ごはん、だいすき。かわいいもんねぇ」
「っ!!!サンドイッチを熊の形にしてきます!マカロンは虎にしますからね!」
一気に元気になって厨房へ走って行った。
あれでこそシェフだ。
きっと今日の夕食も自分だけには可愛い仕様で提供されるだろう。
お爺さまの目の前でになるだろうが仕方がない。
あんなに泣くほど心配させてしまったのだ。
その辱めは甘んじて受けよう。
「ぼっちゃまが庭で行方不明になるなんて…。自分は庭師失格です」
「ほれ、ベクスト。花人形が動き出したぞ。今回の事はワシらも含めて庭師全員の責任じゃ。自分だけを責めちゃいかん」
ベクストがお爺ちゃん達に慰められているが、そんな事よりお花の人形が動いてますよ。
ほら、肩から降りようとしてる!
の、呪われる…。
今回のプチ家出騒動は庭師のみんなにはなんの責任も無い。
庭師が入れないと分かっていて、自分が熊や虎の住処に走り込んだのだ。
今回の騒動で責任を取るべきなのは自分だけだ。
「ちがうの。ぼくが、わるいの!ぼくが、ソラちゃの、おうちに、かってに、いったの!みんな、いちゅも、ぼく、みててくれて、たちゅけて、くりぇてりゅの!」
いつも庭で遊んでいると、離れた所からでも気にしてくれているのが分かっていた。
1人になる事はほとんど無いが、セイバースさんが離れた時などはすぐに近くまで来てくれていたのも知っている。
そんなみんなが責任を感じる事なんて何一つない。
まさかこんな大事になるとは思ってもいなかったんだ。
これが報いだというのなら、その呪いは引き受けよう。
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