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本編

どうしたらいいのかわからない

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トカゲが頑張ってくれている間に自分もやらなければいけない事がある。

あんなに悲痛な声のギル兄様を無視しているのには理由があった。
せめて今日一日だけでも、1人で反省していようと思ったのは本当だ。
だが、あんなギル兄様をいつもの自分なら放ってはおかないだろう。
ギル兄様にはいつでも笑顔でいて欲しい。
自分の反省など、何処でも出来る。
それこそ、1日くらい絶食して自分の部屋に閉じ籠って過ごしてもいい。
そんな事よりギル兄様の笑顔を取り戻す事が1番重要な事なんだ。

それでも、出て行かなかったのは…。
物理的に無理だったからだ。

洞窟の1番奥に背をもたれる形で座り込んだのが間違いだったのだろう。
何かが引っかかっているのか、くっついっているのかわからないが、背中が壁から離れないのだ。
ギル兄様の叫び声を聞いた時から、こちらも一生懸命外す努力はしていた。
だが、全く動かない。
ギリギリの空間すぎて大きく動く事ができないので、小刻みにうごうごしているのだが外れる予感がしない。
破れても仕方ないと諦めて力一杯前に進もうとしてみたが、びくともしなかった。
今現在、自分の背中には何が起きているのだろう。

大きな声は出せないし、物理的に移動も不可能な状態だった。
なんとかトカゲに頑張って誘導してもらい、せめて声が届く範囲までギル兄様とパパに来てもらいたい。
自分は大丈夫だと伝えて、ギル兄様とパパにはお屋敷に帰ってもらおう。
お爺さまも帰ってきている筈だ。
お屋敷のみんなが一生懸命準備していたのを知っている。
その準備を無駄にしちゃダメだ。

自分はなんとか脱出方法を考えよう。
小さくなった虎なら入って来れそうなので、最終手段としては燃やしてもらえればいいと思う。
火傷くらいは覚悟が出来ている。
ただ、やはりそれは最終手段なのでもっと安全な方法を色々試してからだ。

今はなんとか服が脱げないか頑張っているところだ。
せめて今日着ている服が前開きのシャツだったらよかったのだが、今日もいつも通りセイバースさんお手製の着ぐるみ風である。
オーバーオールを背中がくっついて立てない状態で脱ぐのは至難の業だ。
というか、無理だと思う。

手は動くので、本当にくっついているのは背中だけなのだが、背中一面ともなると結構な広範囲だ。
壁との接触面を触ってみようかと思ったが、これでもし手までがくっついてしまうと大変なことになる。
ただでさえ今の状態でも動けない事が辛いのに、後ろで手が固定されてしまったら厄介だ。
それだけは避けたい。
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