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本編
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「こんな…!ふざけた真似しやがって…!何が目的だ!」
どうしてこんなに怒っているのだろうか。
自分が頭にツノ(枝)をつけると誰かが傷ついてしまうというが、それが何故かわからない。
ツノならギル兄様も神秘的でご立派な物をお持ちだし、髪の毛や帽子で隠れるほど小さいツノの持ち主なら騎士団員にも数人いた気がする。
ギル兄様も気づいていなかった様で最初は驚いていたが、よく考えれば色々な種族の獣人がいるのだからツノがある人だっているよねと素晴らしい笑顔で仰っていたのだ。
確かにギル兄様ほど素晴らしいツノの持ち主は居ないだろう。
他の竜人族を見た事が無いのでわからないが、きっと竜人族の中でもギル兄様のツノは格別だと自分は信じている。
それほどに神々しく素晴らしいのがギル兄様のツノだ。
それに似たツノ(枝)をつける事はダメだったのだろうか。
ヒーローに憧れる子供が、ヒーローの姿を真似ようとマントをつけたりするのと何が違うというのだ。
なりきりコロポックルだって、付属の装備品として葉っぱを掲げた。
自分がこの世界で1番好きで、憧れているギル兄様の真似をする事が何故ダメなのか理解出来ない。
何が目的かと聞かれていたが、目的など1つしかない。
ただのコスプレだ。
自己満足以外に目的はない。
コスプレ姿をギル兄様に見てもらおうと思った事がダメだったのだろうか。
それなら今後は誰にも見つからない様にコソッと楽しむ事にする。
だから、お願いだ。
「かえちてぇ…」
自分のツノ(枝)を返して下さい。
両手を上げて必死に取り戻そうとするが、男の子は自分よりだいぶ身長も大きい。
しかも、ツノ(枝)を自分では触る事が出来ないほど上に持ち上げているので飛んでみても擦りもしない。
悔しいが、運動神経がない自分のジャンプ力など高が知れている。
「こんなゴミ、必要ない!」
そうこうしている間に、最悪の事態が起きてしまった。
男の子がツノ(枝)を無惨にも手折ったのだ。
そしてそれを、本当にまるでゴミの様に地面に叩きつけて捨てた。
一瞬の出来事だった。
自分の宝物がバラバラに壊されて捨てられた。
スローモーションの様にゆっくりとその瞬間を見ていた。
見てしまった。
それは、地面に叩きつけられた衝撃で、少しも原型を留めていない。
虎とトカゲと一緒に探した自分だけのツノ(枝)。
ちょっと小ぶりだが、形はギル兄様のツノに似ていてとても気に入っていた。
虎が魔法をかけてくれて、うっすら光っている特別な物だったのに。
バラバラに砕けたカケラはもう光ってはいない。
どうしてこんなに怒っているのだろうか。
自分が頭にツノ(枝)をつけると誰かが傷ついてしまうというが、それが何故かわからない。
ツノならギル兄様も神秘的でご立派な物をお持ちだし、髪の毛や帽子で隠れるほど小さいツノの持ち主なら騎士団員にも数人いた気がする。
ギル兄様も気づいていなかった様で最初は驚いていたが、よく考えれば色々な種族の獣人がいるのだからツノがある人だっているよねと素晴らしい笑顔で仰っていたのだ。
確かにギル兄様ほど素晴らしいツノの持ち主は居ないだろう。
他の竜人族を見た事が無いのでわからないが、きっと竜人族の中でもギル兄様のツノは格別だと自分は信じている。
それほどに神々しく素晴らしいのがギル兄様のツノだ。
それに似たツノ(枝)をつける事はダメだったのだろうか。
ヒーローに憧れる子供が、ヒーローの姿を真似ようとマントをつけたりするのと何が違うというのだ。
なりきりコロポックルだって、付属の装備品として葉っぱを掲げた。
自分がこの世界で1番好きで、憧れているギル兄様の真似をする事が何故ダメなのか理解出来ない。
何が目的かと聞かれていたが、目的など1つしかない。
ただのコスプレだ。
自己満足以外に目的はない。
コスプレ姿をギル兄様に見てもらおうと思った事がダメだったのだろうか。
それなら今後は誰にも見つからない様にコソッと楽しむ事にする。
だから、お願いだ。
「かえちてぇ…」
自分のツノ(枝)を返して下さい。
両手を上げて必死に取り戻そうとするが、男の子は自分よりだいぶ身長も大きい。
しかも、ツノ(枝)を自分では触る事が出来ないほど上に持ち上げているので飛んでみても擦りもしない。
悔しいが、運動神経がない自分のジャンプ力など高が知れている。
「こんなゴミ、必要ない!」
そうこうしている間に、最悪の事態が起きてしまった。
男の子がツノ(枝)を無惨にも手折ったのだ。
そしてそれを、本当にまるでゴミの様に地面に叩きつけて捨てた。
一瞬の出来事だった。
自分の宝物がバラバラに壊されて捨てられた。
スローモーションの様にゆっくりとその瞬間を見ていた。
見てしまった。
それは、地面に叩きつけられた衝撃で、少しも原型を留めていない。
虎とトカゲと一緒に探した自分だけのツノ(枝)。
ちょっと小ぶりだが、形はギル兄様のツノに似ていてとても気に入っていた。
虎が魔法をかけてくれて、うっすら光っている特別な物だったのに。
バラバラに砕けたカケラはもう光ってはいない。
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