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本編

魔法って凄い

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うろうろと歩き回り、最初の1本に比べると少しクオリティーは下がるが立派な枝を発見した。
あまりの嬉しさに飛び跳ねて喜んでしまったのが少し恥ずかしいが、見ていたのは虎とトカゲだけなので気にしない事にする。

さて。
コレをどうやって頭に装着するかが問題だ。
カチューシャの様な物を作って貰えれば1番良いのだが、流石に今日は無理だろう。
みんなが忙しいのをちゃんと理解しているので迷惑はかけたくない。
だが、なんの手も加えなければこの最高級の枝がどんどん萎びていってしまうかもしれないのだ。
乾燥させておけば良いのか、水に浸けた方が良いのか、枝の保存方法が全くわからない。

やはり、魔法か?
自分では魔法はまだ使えないが、今、ここには魔法のエキスパートだと思われる虎がいるのだ。
さっき無理のない範囲でのお願いをしようと決めたばかりなのに、すぐに撤回するようで申し訳ないのだが背に腹は変えられない。

「ソラちゃ、こりぇ、きれいまま、できりゅ?」

あのバリアでコーティングしてくれると嬉しいのだが…。
虎はふんふんと枝の匂いを嗅ぐと、何かの魔法を使ってくれた。

信じられない。
枝が少し光っている。
これで自分では醸し出せない神々しさが少しは表現出来るかもしれない。
なんて素晴らしいんだ。

虎を抱き上げてクルクル回りたかったのだが、やはり抱っこは出来なかった。
気がついたら無理矢理後ろ足で立たせた虎と手を繋いで一緒にクルクルと踊っていた。
慣れていないであろう後ろ足での二足歩行状態なのに、虎は振り払う事もなく付き合ってくれていた。
本当に申し訳ない。

「しゅごいの!みちぇ!」

とりあえず両手で頭にくっ付ける真似をして虎に見てもらおう。

「にいしゃま、いっちょ!」

虎は何故だかとても嬉しそうに顔中を舐めてきた。
相棒の面影でも見てくれたのだろうか。
あのカッコよくて綺麗で素晴らしいギル兄様に、似ても似つかないちんちくりんの自分だが、やはりツノがあるだけで違うのだろう。
あまりの嬉しさに、顔がにやけたまま戻っていない自覚はあるのだが、抑える事が出来ない。

まだギル兄様はお勉強中だろうが、お屋敷に戻って終わるまで待機していよう。
部屋から出てきたギル兄様を驚かすんだ。

「かえりょ!」

大事に枝を胸に抱えるが、何故か虎が魔法で浮かせてしまう。
ダメだ。
この枝にはキズをつけてはいけないので、自分が大切に運ぼうと決めているのだ。

「ダメっ………え!?」

そんな、馬鹿な…。
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