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本編
何味?
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そうこうしている間に虎と熊の住処である庭に到着した。
樹々が鬱蒼と茂っている。
「おぉ!」
見た感じでは中は薄暗そうに思えたのだが、入ってみるとそんな事はなく、今日の晴天とあいまって木漏れ日が降り注ぐ綺麗な森の様だった。
マイナスイオンとか出てそうだ。
「ソラちゃ、いちゅも、どこで、ねてりゅ?」
こんなに広い敷地だ。
いつも寝る様な場所はさぞかし特別感のある空間に違いない。
本当は熊の寝床も見てみたいが、留守中に勝手なお宅訪問は犯罪だ。
今回は諦めて虎の寝床だけ訪問させてもらおう。
この庭は確かに人間の手が全く入っていない様で、道が全て獣道である。
この魔法の乗り物では先に進めないと思ったのだが、やはり虎は凄かった。
なんとふよふよと箱ごと浮かして進んでくれたのだ。
高さはそんなに無いので怖さは全くない。
ただただ、楽しい。
「ちゅごいねぇ。あっ!おはにゃ!」
道中には綺麗な花や、奇天烈な模様のキノコなどがあり見ていて全く飽きないのだ。
美味しそうな実もたくさんなっているのだが、これは熊と虎のオヤツなのかもしれない。
「あれ、たべゆの?」
ちょうど目の前にみかんに似た果物を発見したので聞いてみた。
しっかりみかんと言えないのは、大きさがメロンほどあるからだ。
いつもシェフが食べさせてくれるみかんは普通の大きさだったので、これがみかんではない事だけは確かだ。
虎は魔法でみかん(仮)を採ってくれた。
「くりぇりゅの?ぼく、たべりぇりゅ?」
触った感じは、皮は固くないので手で剥く事は可能そうだが、人間が食べて大丈夫なヤツだろうか。
未知の食べ物をすんなり食べられるほど、自分の胃は強くないのだ。
しかも、顎も弱い。
この柔らかさなら肉の様な事にはならないだろうが、もし腹でも壊してしまえばお屋敷のみんなに迷惑をかけてしまう。
それだけは絶対に避けなければいけない。
虎はまたしても魔法でみかん(仮)の皮を剥いてくれた。
しかも切り分けてくれている。
そこから1つをぺろりと食べていた。
トカゲも便乗して食べている。
虎もトカゲも食べているのだから大丈夫なのだろう。
トカゲとはいつも同じ物を食べているので、これだけ美味しそうに食べているのなら自分も大丈夫な気がしてきた。
確証はないが、誘惑には勝てないのだ。
1つを摘んで持ち上げてみると、匂いは桃のような甘さを感じる。
柑橘系ではない。
恐る恐る口に入れてみると、味は無花果そのものだった。
見た目はみかん、匂いは桃、味は無花果。
頭がバグりそうだ。
樹々が鬱蒼と茂っている。
「おぉ!」
見た感じでは中は薄暗そうに思えたのだが、入ってみるとそんな事はなく、今日の晴天とあいまって木漏れ日が降り注ぐ綺麗な森の様だった。
マイナスイオンとか出てそうだ。
「ソラちゃ、いちゅも、どこで、ねてりゅ?」
こんなに広い敷地だ。
いつも寝る様な場所はさぞかし特別感のある空間に違いない。
本当は熊の寝床も見てみたいが、留守中に勝手なお宅訪問は犯罪だ。
今回は諦めて虎の寝床だけ訪問させてもらおう。
この庭は確かに人間の手が全く入っていない様で、道が全て獣道である。
この魔法の乗り物では先に進めないと思ったのだが、やはり虎は凄かった。
なんとふよふよと箱ごと浮かして進んでくれたのだ。
高さはそんなに無いので怖さは全くない。
ただただ、楽しい。
「ちゅごいねぇ。あっ!おはにゃ!」
道中には綺麗な花や、奇天烈な模様のキノコなどがあり見ていて全く飽きないのだ。
美味しそうな実もたくさんなっているのだが、これは熊と虎のオヤツなのかもしれない。
「あれ、たべゆの?」
ちょうど目の前にみかんに似た果物を発見したので聞いてみた。
しっかりみかんと言えないのは、大きさがメロンほどあるからだ。
いつもシェフが食べさせてくれるみかんは普通の大きさだったので、これがみかんではない事だけは確かだ。
虎は魔法でみかん(仮)を採ってくれた。
「くりぇりゅの?ぼく、たべりぇりゅ?」
触った感じは、皮は固くないので手で剥く事は可能そうだが、人間が食べて大丈夫なヤツだろうか。
未知の食べ物をすんなり食べられるほど、自分の胃は強くないのだ。
しかも、顎も弱い。
この柔らかさなら肉の様な事にはならないだろうが、もし腹でも壊してしまえばお屋敷のみんなに迷惑をかけてしまう。
それだけは絶対に避けなければいけない。
虎はまたしても魔法でみかん(仮)の皮を剥いてくれた。
しかも切り分けてくれている。
そこから1つをぺろりと食べていた。
トカゲも便乗して食べている。
虎もトカゲも食べているのだから大丈夫なのだろう。
トカゲとはいつも同じ物を食べているので、これだけ美味しそうに食べているのなら自分も大丈夫な気がしてきた。
確証はないが、誘惑には勝てないのだ。
1つを摘んで持ち上げてみると、匂いは桃のような甘さを感じる。
柑橘系ではない。
恐る恐る口に入れてみると、味は無花果そのものだった。
見た目はみかん、匂いは桃、味は無花果。
頭がバグりそうだ。
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