コレは流行りの転生ですか?〜どうやら輪廻転生の方でした〜

誉雨

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本編

他国の冒険者

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「竜人族の兄ちゃん、その子って…」

抱きついていたギル兄様の身体がビクッと跳ねたのがわかった。
まさか…。
この冒険者達がギル兄様の不安の種か。
確かに身体も大きく、顔も厳つい。
この2人が襲いかかってきたら、足手纏いの自分がいたらギル兄様だって苦戦してしまうかもしれない。

しかし、ご安心ください。
この肉壁、パパが来るまで時間を稼いでみせます。

「ぼく?」

まずは対話だ。
攻撃力、耐久力ゼロの自分に出来る事は、お話合いしかないだろう。

「ルシー!」

ギル兄様が焦った様子でまるで自分を隠す様に覆い、抱きしめてくれた。

「悪い。その子、兄ちゃんの番か?」
「…僕の伴侶です」
「そりゃぁ、ジロジロ見ちまって悪かったな。敵意は無えんだ、勘弁してくれ」

自分が対話で時間を稼ごうと思っていたのに、ギル兄様が冒険者達の対応をしてしまっている。

「俺達、2つ向こうの国から来たんだ」

その国はエルフが多く住む国らしい。
エルフとは妖精族の血をひいている者で自然に愛されている種族の事だと教えてもらった。
ベクストの事かな?
いや、彼は人族だと言っていたはずだが、エルフとは彼以上に植物に愛されているということか。

外見的な特徴は人族より耳が尖っているのと、身体が大きいらしい。
華奢な姿を思い描いていたのでびっくりだ。
まさかと思いチラッと冒険者達を盗み見るが耳は自分と同じ形をしていた。
なんとなく、よかったと思ってしまった。
ギル兄様より美しい者は存在しないと断言できるが、エルフのイメージがどうしても目の前の冒険者達とは違うのだ。
いつか、エルフにも会ってみたい。

「俺達の国でも竜人族は珍しいけど、まさかここで伴侶持ちに出会えるなんてな。嬉しいぜ」
「嬉しい?」
「なんだ、知らねえのか?」

彼らの国では、その昔。
魔物の王様が大群を率いて攻めてきたらしい。
国が滅びていくのを誰も止められなかったのだが、伴侶を奪われそうになった竜人族がたった1人で全滅させた。
その竜人は王様にならないかと打診されるも、伴侶以外に興味が無いと何の褒美も受け取らずに伴侶と竜人族の国へ帰って行ったそうだ。
そこから、彼らの国では伴侶持ちの竜人族は英雄であり、出会えると良い事が起きると信じられているそうだ。

「あんまり信じて無かったけどよ、マジで良い事あったわ」
「だな。国へ帰ったら自慢しようぜ」

既に何か良い事が起こったらしい。
さすが、ギル兄様。
ギル兄様は普通の竜人族とは違い、神々しい竜人なので御利益があって当然だ。
自分もこの1ヶ月、毎日良い事尽くめである。

冒険者達よ。
ギル兄様への愛を叫ぶ準備が出来たのなら、入信はコチラです。
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