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本編

プリンセス

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という訳で、本日もプリンセス・キノコになったつもりで虎の背をお借りします。
その際、熊は巨大テディベアになり自分の背もたれと化します。

どうだ、ファンシーだろう。

「みんな、くっきー、うれちい、かな?」
「絶対喜ぶよ。もし要らないって言うなら僕が全部食べちゃう。……その時はソラもシーザーも食べるって言ってるよ」

玄関に到着するとパパが待っていてくれた。

「さあ、行こうか。向こうに着いたらファル君はギルバートと一緒に居てね。今日はシーザーも一緒だよ」

お屋敷から転移陣の部屋まではとても距離があるのだが、ギル兄様とパパは何かの魔法なのかめちゃくちゃ速く歩く。
いつもはどちらかに抱っこされているのだが、余りの速さに毎回くっついているのに必死だ。
今日は最初からプリンセス・キノコ仕様なので、優雅である。
コチラもたぶん魔法だが、風の抵抗も揺れもないので手でも振れそうな気分だが、ギル兄様と乗っている時は持ち手から手を離さないと約束しているので、しっかりと握りしめている。
たとえ持ち手が壊れようとも、ギル兄様との約束を違える事は絶対にしない。

転移陣にも慣れ、嘔吐はしなくなったが、あの独特の引き摺り込まれる感覚はいまだに怖く、ギル兄様の手をギュッと握って目を瞑る。

「ルシー、もう着いたよ」

ギル兄様が繋いだ手を少しだけ揺すって合図をしてくれたので、安心して目を開けた。
いつも通りの騎士団の隊舎だ。

「にいしゃま、どこ、いく?」
「ファル君、まずは1回パパのお部屋に来てね」

おっと、ギル兄様と一緒に居られる喜びにフライングしてしまった様だ。
パパが苦笑している。

「ごめんちゃい。まじゅは、パパの、おへやねぇ」
「ふふ。焦らなくても、今日はずっとルシーと一緒にいるから大丈夫だよ。可愛いな、僕のルシー」

ギル兄様はいつも可愛いと褒めちぎってくれるのだが、視力が悪いのだろうか。
眼鏡をかけたギル兄様もさぞかし素敵だろうが、あまりに素敵すぎても自分の心臓がもたない。
もう少しギル兄様の麗しい御姿に慣れるまで猶予が欲しい。

「パパは少しここでお仕事してるけど、お昼には終わるから、終わったらみんなで街まで行こう。ご飯食べて買い物してから帰ろうね」

今日は街に遊びにも連れて行ってくれる様だ。

「わーい!パパ、おちごと、がんばる、ちてねぇ」

街にはまだ2回しか行った事が無いし、そこで何かを食べた事も無いので期待が高まる。
もちろんシェフの料理はどれも絶品だが、違いを感じる事は良い事だろう。
今日はお菓子を食べない様にお昼まで我慢だ。
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