コレは流行りの転生ですか?〜どうやら輪廻転生の方でした〜

誉雨

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別視点

それぞれの演習 sideギルバート⑦

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演習が始まるとすぐに地獄絵図が広がっていった。
ルアンもカルファも相棒を執拗に攻撃しているし、好戦的な獣は次々に新技を披露するかの様に破壊活動を繰り広げている。

医療隊の隊員に混じり、僕も倒れた者から順に安全そうな場所に運んで行く。
ただ、地獄に完全に安全な場所はないのだ。
破壊活動の余波が凄い。
一般の見学者ゾーンだけは、しっかりと守られているけど、流石にそこに隊員が逃げ込む訳にも行かないだろう。

隊員は一丸となって防衛に徹した。
ある意味、演習は大成功だったのではないだろうか。
隊員の団結力は深まったと思う。

演習が終わる少し前に待ちに待った吉報が届いた。
ドラゴンがやっと可愛いルシーに見つけてもらえたみたいだ。
ルシーがドラゴンが持っていた僕の声が聞こえる石を羨ましそうに見ているのがわかった。
そんな一方的な石じゃなくて、いっぱいルシーとお喋りがしたい。
もう少し使い魔として成長したらドラゴンを通して会話とか出来ないかな。
その為にも僕ももっと訓練して強くならなきゃダメだと思う。

ドラゴンを通してルシーを見る事が出来たからか、疲れなんか何処かに飛んでいってしまった。
隊員達が疲れて座り込んでいたけど、僕は構わずどんどんと片付けを終わらせた。
片付けが終われば、今日はもう帰れるからだ。
早くルシーの元に帰りたい。

セイバースから連絡があったのか父上が慌てて呼びに来た。
ドラゴンの事がバレたのだろう。

「言ってませんでしたか?」

しれっと答えたが、父上はとても焦っているみたいだ。
僕が作った使い魔が、ルシーに危害なんて加えるはずがないのだから安心してほしい。
帰る間中、ずっと小言をもらっていたのだが、開いた玄関の扉からルシーが元気に手を振っているのが見えて一気に聞こえなくなった。
駆け寄って抱き上げ、可愛い頭に頬擦りをしてしまう。
癒される。

着替えの為にそのままルシーを連れて自室へ行く。
僕が着替えている間、ルシーが今日1日どうやって過ごしていたかを教えてくれた。

「くっきーねぇ、にいしゃまだけ、はーちょよぉ」

内緒話の様に僕の耳に吹き込まれた言葉がどれだけ僕を喜ばせているかルシーはわかっていないだろうな。
僕だけ、特別なハートのクッキー。

「あちょねぇ、トカゲちゃ、ともだち、なっちゃの」

ルシーにはドラゴンがトカゲに見えているようだ。
別にトカゲと思ってくれていていい。
ルシーがトカゲというならあのドラゴンはトカゲなのだ。
僕の使い魔だって事は今はまだ秘密だけど。
いつか教えてびっくりさせてあげよう。

父上とセイバースがドラゴンを凝視してくるけど、視覚の共有を遮断しておこう。
2人にそんなに熱心に見られても全く嬉しくない。
ドラゴンはルシーにカゲと名付けられた。
ピッタリの名前だ。

「カゲちゃ、いっちょ、あしょんでねぇ」

ドラゴンを胸ポケットに入れて可愛がっているルシーが1番可愛いと思う。
これからは僕が一緒に居られない時でもカゲがルシーを守るからね。



だってカゲは僕の影だから。
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