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別視点
それぞれの演習 side情報統括隊長③
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最悪の事態を想像したが、カルファは驚く事にすんなりと走りを止めた。
前脚を高く上げ、嘶くカルファは今までとはまるで別の馬の様だった。
トコトコと子供に近づき、顔を擦り寄せ甘えている。
甘えているのだ。
あのカルファが。
隊員達も皆、信じられないのだろう。
暴れる事もなく、穏やかに子供を守り慈しんでいる。
「カルファってあんなに穏やかなのか。俺の相棒は暴馬じゃないのか」
その日からカルファは変わった。
俺や他の人間に対しては今までと変わらず不機嫌なままだが、あの子供、団長の息子になったファルシュター君には態度が全然違う。
『可愛い。次はいつ来てくれるんだ?もう少ししたら自由に動けるようになる。待っていてくれ』
俺はカルファに捨てられるかもしれない。
俺だけでは無い。
たぶん団員達は少なからずその恐怖を味わっているのだろう。
ファルシュター君は獣にとても好かれている。
暴馬のカルファは勿論だが、勝手気ままなルアンですらファルシュター君の前では可愛らしい鳥になるのだ。
相棒関係を結んだからといってそれは永遠では無い。
獣側から解消されてしまえば、それまでなのだ。
今までに解消された者など聞いた事は無いが、自分が第一号になる恐怖は簡単には拭えないだろう。
ファルシュター君が可愛いのが救いだ。
「カルちゃ、にんじん、あげて、いいでしゅかぁ」
馬の着ぐるみを着て両手で人参を持って遊びに来てくれた時は、可愛さのあまり何も考えずに頷いてしまった程だ。
カルファが人参というか、物を食べている所を見た事はなかったのだが、カルファはさも好物ですと言わんばかりに美味しそうにその手から食べていた。
ファルシュター君が相手なら、第一号になっても仕方がない。
そう思い始めていたのだが。
『貴様は馬鹿か。何故、愛しい子を危険に晒す必要がある。あの子はただ、笑って遊んでいればいい』
どうやら他の獣達も同じ意見の様で、ファルシュター君と遊ぶ事が1番優先だが、仕事を疎かにはしなかった。
しかし俺はその考えを誰にも教えなかった。
自分の相棒から聞かなければ意味が無いと思ったからだ。
俺はカルファの言葉で身が引き締まった思いだった。
みんなにも同じように感じて欲しい。
騎士団員総出の演習日が近づいてきた。
今まではとりあえず陸地を走っている姿を見せるだけだったカルファが、空を駆けてくれるという。
『愛しい子に見せてあげたいからだ』
ファルシュター君、ありがとう。
俺は家族にも演習を見学にくる様に誘った。
カルファが空を駆ける姿を見れる機会など滅多にないからだ。
家族も興奮して、その日は全員で見に来ると張り切っていた。
前脚を高く上げ、嘶くカルファは今までとはまるで別の馬の様だった。
トコトコと子供に近づき、顔を擦り寄せ甘えている。
甘えているのだ。
あのカルファが。
隊員達も皆、信じられないのだろう。
暴れる事もなく、穏やかに子供を守り慈しんでいる。
「カルファってあんなに穏やかなのか。俺の相棒は暴馬じゃないのか」
その日からカルファは変わった。
俺や他の人間に対しては今までと変わらず不機嫌なままだが、あの子供、団長の息子になったファルシュター君には態度が全然違う。
『可愛い。次はいつ来てくれるんだ?もう少ししたら自由に動けるようになる。待っていてくれ』
俺はカルファに捨てられるかもしれない。
俺だけでは無い。
たぶん団員達は少なからずその恐怖を味わっているのだろう。
ファルシュター君は獣にとても好かれている。
暴馬のカルファは勿論だが、勝手気ままなルアンですらファルシュター君の前では可愛らしい鳥になるのだ。
相棒関係を結んだからといってそれは永遠では無い。
獣側から解消されてしまえば、それまでなのだ。
今までに解消された者など聞いた事は無いが、自分が第一号になる恐怖は簡単には拭えないだろう。
ファルシュター君が可愛いのが救いだ。
「カルちゃ、にんじん、あげて、いいでしゅかぁ」
馬の着ぐるみを着て両手で人参を持って遊びに来てくれた時は、可愛さのあまり何も考えずに頷いてしまった程だ。
カルファが人参というか、物を食べている所を見た事はなかったのだが、カルファはさも好物ですと言わんばかりに美味しそうにその手から食べていた。
ファルシュター君が相手なら、第一号になっても仕方がない。
そう思い始めていたのだが。
『貴様は馬鹿か。何故、愛しい子を危険に晒す必要がある。あの子はただ、笑って遊んでいればいい』
どうやら他の獣達も同じ意見の様で、ファルシュター君と遊ぶ事が1番優先だが、仕事を疎かにはしなかった。
しかし俺はその考えを誰にも教えなかった。
自分の相棒から聞かなければ意味が無いと思ったからだ。
俺はカルファの言葉で身が引き締まった思いだった。
みんなにも同じように感じて欲しい。
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今まではとりあえず陸地を走っている姿を見せるだけだったカルファが、空を駆けてくれるという。
『愛しい子に見せてあげたいからだ』
ファルシュター君、ありがとう。
俺は家族にも演習を見学にくる様に誘った。
カルファが空を駆ける姿を見れる機会など滅多にないからだ。
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