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本編
神の子
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「いっちょ、いく」
だが、今日は初めてのお留守番を無事に終わらせた報告がしたい。
「それはギルバート様がお喜びになりますね」
お出迎えで喜んでもらえるのなら毎日、玄関の傍で待機していたいです。
セイバースさんに抱っこで運んでもらい、玄関の正面に立って2人を待つ。
待ちきれなくてソワソワと体が揺れてしまう。
「…聞いてない!」
「言ってませんでしたか?」
帰ってきたみたいだ。
扉をセイバースさんが開けてくれたので、大きく手を振って声をかけた。
「にいしゃま!パパ!おかえり、なしゃい!」
「ルシー!ただいま。今日は玄関まで来てくれたんだね。疲れてない?ほら、おいで?」
ギル兄様が駆け寄ってきて、すぐに抱っこしてくれる。
嬉しくなってギューっと首に抱き付くと、遅れて到着したパパが頭を撫でてくれた。
「ただいま、ファル君。今日はお留守番ありがとうね」
「クッキー、ありゅよぉ。にいしゃまと、パパに、あげりゅの、ちゅくった」
「嬉しいな。着替えて来るからギルも着替えておいで。それから…」
「分かってます。ルシー、一緒に部屋に行こう?」
もちろん、喜んでお供します。
ギル兄様の生着替えを堪能し、談話室へ移動すると着替え終わったパパとセイバースさんがトカゲを覗き込んでいるのを発見した。
そんなにトカゲが珍しいのだろうか。
いや、彼らは小さいモノがとても好きな部類の人間だった。
愛ているのだろう。
そう思ったのだが、何か様子がおかしい。
表情が険しいのだ。
普段ならセイバースさんはともかく、パパならトカゲの可愛らしさにデレっとしているはずだ。
まさかとは思うが爬虫類が苦手なタイプなのか。
そうなると、トカゲの室内飼い計画は頓挫だ。
「パパ、トカゲちゃ、おうち、だめ?」
こんなに可愛いトカゲなのだ。
庭なら熊か虎にお願いして守ってもらわなければいけないだろう。
まだ小さいので野鳥にでも突かれたら大変だ。
「ルシー、その子は僕たちのお部屋に連れて行こう。ルシーが可愛がってあげて。いつも一緒にいてあげてね」
ギル兄様は爬虫類も大丈夫な様で安心した。
これでとりあえずは室内飼いだが、パパはどう思っているのだろうか。
「パパ?」
「大事にするんだよ。ちゃんと責任を持ってお世話しなきゃダメだからね」
パパからも許可がおりたので、早速名前を考えよう。
「ギルバート、このドラゴンは…?」
「僕の鱗からつくった子です。ソラやシーザー、他の獣達が手伝ってくれました」
「なんでつくったのか聞いてもいいかな?」
「父上。僕は騎士団の仕事や勉強でどうしてもルシーと一緒に居られない時があるのです。せめて分身ぐらい一緒に居てもいいではないですか。何が駄目なのですか?」
トカゲの名前を考えていて大事な事を聞き逃してしまっていた自分が、トカゲがドラゴンだと知るのはまだ先の事で、ギル兄様の鱗から生まれた眷属ともいえる、ドラゴンとしても最上位種に君臨するだろう子にトカゲから捩ってカゲと名付けてしまった事に後悔するのもまだ先の事だった。
だが、今日は初めてのお留守番を無事に終わらせた報告がしたい。
「それはギルバート様がお喜びになりますね」
お出迎えで喜んでもらえるのなら毎日、玄関の傍で待機していたいです。
セイバースさんに抱っこで運んでもらい、玄関の正面に立って2人を待つ。
待ちきれなくてソワソワと体が揺れてしまう。
「…聞いてない!」
「言ってませんでしたか?」
帰ってきたみたいだ。
扉をセイバースさんが開けてくれたので、大きく手を振って声をかけた。
「にいしゃま!パパ!おかえり、なしゃい!」
「ルシー!ただいま。今日は玄関まで来てくれたんだね。疲れてない?ほら、おいで?」
ギル兄様が駆け寄ってきて、すぐに抱っこしてくれる。
嬉しくなってギューっと首に抱き付くと、遅れて到着したパパが頭を撫でてくれた。
「ただいま、ファル君。今日はお留守番ありがとうね」
「クッキー、ありゅよぉ。にいしゃまと、パパに、あげりゅの、ちゅくった」
「嬉しいな。着替えて来るからギルも着替えておいで。それから…」
「分かってます。ルシー、一緒に部屋に行こう?」
もちろん、喜んでお供します。
ギル兄様の生着替えを堪能し、談話室へ移動すると着替え終わったパパとセイバースさんがトカゲを覗き込んでいるのを発見した。
そんなにトカゲが珍しいのだろうか。
いや、彼らは小さいモノがとても好きな部類の人間だった。
愛ているのだろう。
そう思ったのだが、何か様子がおかしい。
表情が険しいのだ。
普段ならセイバースさんはともかく、パパならトカゲの可愛らしさにデレっとしているはずだ。
まさかとは思うが爬虫類が苦手なタイプなのか。
そうなると、トカゲの室内飼い計画は頓挫だ。
「パパ、トカゲちゃ、おうち、だめ?」
こんなに可愛いトカゲなのだ。
庭なら熊か虎にお願いして守ってもらわなければいけないだろう。
まだ小さいので野鳥にでも突かれたら大変だ。
「ルシー、その子は僕たちのお部屋に連れて行こう。ルシーが可愛がってあげて。いつも一緒にいてあげてね」
ギル兄様は爬虫類も大丈夫な様で安心した。
これでとりあえずは室内飼いだが、パパはどう思っているのだろうか。
「パパ?」
「大事にするんだよ。ちゃんと責任を持ってお世話しなきゃダメだからね」
パパからも許可がおりたので、早速名前を考えよう。
「ギルバート、このドラゴンは…?」
「僕の鱗からつくった子です。ソラやシーザー、他の獣達が手伝ってくれました」
「なんでつくったのか聞いてもいいかな?」
「父上。僕は騎士団の仕事や勉強でどうしてもルシーと一緒に居られない時があるのです。せめて分身ぐらい一緒に居てもいいではないですか。何が駄目なのですか?」
トカゲの名前を考えていて大事な事を聞き逃してしまっていた自分が、トカゲがドラゴンだと知るのはまだ先の事で、ギル兄様の鱗から生まれた眷属ともいえる、ドラゴンとしても最上位種に君臨するだろう子にトカゲから捩ってカゲと名付けてしまった事に後悔するのもまだ先の事だった。
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