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本編
頭突きはダメだって
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トカゲは石を一度は手に持つが、すぐに自分に押し付けてくる。
まさかこの神アイテムをくれるというのか。
自分には支払い能力がないのだが、神アイテムがタダでもらえる訳がない。
花型の鞄には砂糖菓子しか入っていないのだが、それとでは等価交換にはならないのだ。
「こりぇしか、にゃいの」
ダメ元で砂糖菓子との交換を持ちかけると、トカゲは嬉しそうに菓子を食べ出した。
なんと、交換が成立した。
トカゲの優しさに感謝である。
ただ石の発動条件がわからないので、好きな時に聞けないのが残念だ。
石が光っている時だけギル兄様の声が聞こえるのだが、触ってみてもなかなか光らないのだ。
息を吹きかけた時に光った事があり、何度も吹きかけたがその後は反応なし。
セイバースさんやベクストなら石について詳しく知っているかもと思い、期待を込めて見上げると何故だか2人共、驚きの表情のまま固まっていた。
「どちたの?」
「ファル坊っちゃま、その…手の上の…」
セイバースさんがトカゲを見つめたまま、珍しくも言い淀んでいる。
「トカゲちゃ。あしょこ、いちゃの」
トカゲは大人の掌位の大きさだ。
獣と比べてそこまで珍しくは無いと思っていたのだが、違ったのだろうか。
よく見たら背中に小さな翼が生えているのだが、大きさからいって飛べる事は無さそうだし、翼に見えるが犬や狐と同じ病気の可能性もある。
「とりあえず、お屋敷に戻りましょう。そろそろ旦那様達もお帰りになられると思いますよ」
もうそんな時間だったのか。
今日は演習が終わったらすぐに帰ってくると言っていたのでいつもより早いのかもしれない。
「ベクスト、坊っちゃまと一緒に談話室へ行って下さい。私は先に報告して来ます」
「トカゲちゃ、いっちょ、いい?」
「もちろんです。寝床の準備もしておきますね」
そこまでいうとセイバースさんはあり得ない速さで歩いて行ってしまった。
走っていないのにあの速さは異常だと思う。
ただ、優雅でもあったのでさすがセイバースさんだ。
「ベク、こりぇ、にいしゃま、こえしゅりゅの」
ベクストにトカゲからもらった石を見せ、発動条件を知っているか確認する。
「この石は自分が作った物です。これは試作段階のでして、どこかに落としてしまっていた様なので助かりました。魔力を入れておけば触るだけで聞こえますよ」
触るだけで聞こえるはずの様だが、では何故自分では偶にしか発動しないのだ。
魔力の入れ方もわからないし、このままではただの石になってしまう。
そう思っていると、トカゲが石に頭突きをしだしたので慌てて止める。
石が割れてしまったらどうする気だ。
しかし予想外にも頭突きをされた石は光り出したのだ。
まさか、あの頭突きで魔力を入れてくれていたのか。
トカゲはフンフンと鼻息を荒くし、まるで褒めてと言うようにコチラを見つめてくる。
トカゲによって魔力が入れられた石は確かに触るだけで発動するようになった。
なんて利口なトカゲなのだろう。
「しゅごいの!トカゲちゃ、ありがと」
トカゲの頭を指でナデナデしながら感謝を伝える。
トカゲは満足したのか自分から、胸ポケットへ入ってきた。
まさかこの神アイテムをくれるというのか。
自分には支払い能力がないのだが、神アイテムがタダでもらえる訳がない。
花型の鞄には砂糖菓子しか入っていないのだが、それとでは等価交換にはならないのだ。
「こりぇしか、にゃいの」
ダメ元で砂糖菓子との交換を持ちかけると、トカゲは嬉しそうに菓子を食べ出した。
なんと、交換が成立した。
トカゲの優しさに感謝である。
ただ石の発動条件がわからないので、好きな時に聞けないのが残念だ。
石が光っている時だけギル兄様の声が聞こえるのだが、触ってみてもなかなか光らないのだ。
息を吹きかけた時に光った事があり、何度も吹きかけたがその後は反応なし。
セイバースさんやベクストなら石について詳しく知っているかもと思い、期待を込めて見上げると何故だか2人共、驚きの表情のまま固まっていた。
「どちたの?」
「ファル坊っちゃま、その…手の上の…」
セイバースさんがトカゲを見つめたまま、珍しくも言い淀んでいる。
「トカゲちゃ。あしょこ、いちゃの」
トカゲは大人の掌位の大きさだ。
獣と比べてそこまで珍しくは無いと思っていたのだが、違ったのだろうか。
よく見たら背中に小さな翼が生えているのだが、大きさからいって飛べる事は無さそうだし、翼に見えるが犬や狐と同じ病気の可能性もある。
「とりあえず、お屋敷に戻りましょう。そろそろ旦那様達もお帰りになられると思いますよ」
もうそんな時間だったのか。
今日は演習が終わったらすぐに帰ってくると言っていたのでいつもより早いのかもしれない。
「ベクスト、坊っちゃまと一緒に談話室へ行って下さい。私は先に報告して来ます」
「トカゲちゃ、いっちょ、いい?」
「もちろんです。寝床の準備もしておきますね」
そこまでいうとセイバースさんはあり得ない速さで歩いて行ってしまった。
走っていないのにあの速さは異常だと思う。
ただ、優雅でもあったのでさすがセイバースさんだ。
「ベク、こりぇ、にいしゃま、こえしゅりゅの」
ベクストにトカゲからもらった石を見せ、発動条件を知っているか確認する。
「この石は自分が作った物です。これは試作段階のでして、どこかに落としてしまっていた様なので助かりました。魔力を入れておけば触るだけで聞こえますよ」
触るだけで聞こえるはずの様だが、では何故自分では偶にしか発動しないのだ。
魔力の入れ方もわからないし、このままではただの石になってしまう。
そう思っていると、トカゲが石に頭突きをしだしたので慌てて止める。
石が割れてしまったらどうする気だ。
しかし予想外にも頭突きをされた石は光り出したのだ。
まさか、あの頭突きで魔力を入れてくれていたのか。
トカゲはフンフンと鼻息を荒くし、まるで褒めてと言うようにコチラを見つめてくる。
トカゲによって魔力が入れられた石は確かに触るだけで発動するようになった。
なんて利口なトカゲなのだろう。
「しゅごいの!トカゲちゃ、ありがと」
トカゲの頭を指でナデナデしながら感謝を伝える。
トカゲは満足したのか自分から、胸ポケットへ入ってきた。
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