111 / 195
本編
頭突きはダメだって
しおりを挟む
トカゲは石を一度は手に持つが、すぐに自分に押し付けてくる。
まさかこの神アイテムをくれるというのか。
自分には支払い能力がないのだが、神アイテムがタダでもらえる訳がない。
花型の鞄には砂糖菓子しか入っていないのだが、それとでは等価交換にはならないのだ。
「こりぇしか、にゃいの」
ダメ元で砂糖菓子との交換を持ちかけると、トカゲは嬉しそうに菓子を食べ出した。
なんと、交換が成立した。
トカゲの優しさに感謝である。
ただ石の発動条件がわからないので、好きな時に聞けないのが残念だ。
石が光っている時だけギル兄様の声が聞こえるのだが、触ってみてもなかなか光らないのだ。
息を吹きかけた時に光った事があり、何度も吹きかけたがその後は反応なし。
セイバースさんやベクストなら石について詳しく知っているかもと思い、期待を込めて見上げると何故だか2人共、驚きの表情のまま固まっていた。
「どちたの?」
「ファル坊っちゃま、その…手の上の…」
セイバースさんがトカゲを見つめたまま、珍しくも言い淀んでいる。
「トカゲちゃ。あしょこ、いちゃの」
トカゲは大人の掌位の大きさだ。
獣と比べてそこまで珍しくは無いと思っていたのだが、違ったのだろうか。
よく見たら背中に小さな翼が生えているのだが、大きさからいって飛べる事は無さそうだし、翼に見えるが犬や狐と同じ病気の可能性もある。
「とりあえず、お屋敷に戻りましょう。そろそろ旦那様達もお帰りになられると思いますよ」
もうそんな時間だったのか。
今日は演習が終わったらすぐに帰ってくると言っていたのでいつもより早いのかもしれない。
「ベクスト、坊っちゃまと一緒に談話室へ行って下さい。私は先に報告して来ます」
「トカゲちゃ、いっちょ、いい?」
「もちろんです。寝床の準備もしておきますね」
そこまでいうとセイバースさんはあり得ない速さで歩いて行ってしまった。
走っていないのにあの速さは異常だと思う。
ただ、優雅でもあったのでさすがセイバースさんだ。
「ベク、こりぇ、にいしゃま、こえしゅりゅの」
ベクストにトカゲからもらった石を見せ、発動条件を知っているか確認する。
「この石は自分が作った物です。これは試作段階のでして、どこかに落としてしまっていた様なので助かりました。魔力を入れておけば触るだけで聞こえますよ」
触るだけで聞こえるはずの様だが、では何故自分では偶にしか発動しないのだ。
魔力の入れ方もわからないし、このままではただの石になってしまう。
そう思っていると、トカゲが石に頭突きをしだしたので慌てて止める。
石が割れてしまったらどうする気だ。
しかし予想外にも頭突きをされた石は光り出したのだ。
まさか、あの頭突きで魔力を入れてくれていたのか。
トカゲはフンフンと鼻息を荒くし、まるで褒めてと言うようにコチラを見つめてくる。
トカゲによって魔力が入れられた石は確かに触るだけで発動するようになった。
なんて利口なトカゲなのだろう。
「しゅごいの!トカゲちゃ、ありがと」
トカゲの頭を指でナデナデしながら感謝を伝える。
トカゲは満足したのか自分から、胸ポケットへ入ってきた。
まさかこの神アイテムをくれるというのか。
自分には支払い能力がないのだが、神アイテムがタダでもらえる訳がない。
花型の鞄には砂糖菓子しか入っていないのだが、それとでは等価交換にはならないのだ。
「こりぇしか、にゃいの」
ダメ元で砂糖菓子との交換を持ちかけると、トカゲは嬉しそうに菓子を食べ出した。
なんと、交換が成立した。
トカゲの優しさに感謝である。
ただ石の発動条件がわからないので、好きな時に聞けないのが残念だ。
石が光っている時だけギル兄様の声が聞こえるのだが、触ってみてもなかなか光らないのだ。
息を吹きかけた時に光った事があり、何度も吹きかけたがその後は反応なし。
セイバースさんやベクストなら石について詳しく知っているかもと思い、期待を込めて見上げると何故だか2人共、驚きの表情のまま固まっていた。
「どちたの?」
「ファル坊っちゃま、その…手の上の…」
セイバースさんがトカゲを見つめたまま、珍しくも言い淀んでいる。
「トカゲちゃ。あしょこ、いちゃの」
トカゲは大人の掌位の大きさだ。
獣と比べてそこまで珍しくは無いと思っていたのだが、違ったのだろうか。
よく見たら背中に小さな翼が生えているのだが、大きさからいって飛べる事は無さそうだし、翼に見えるが犬や狐と同じ病気の可能性もある。
「とりあえず、お屋敷に戻りましょう。そろそろ旦那様達もお帰りになられると思いますよ」
もうそんな時間だったのか。
今日は演習が終わったらすぐに帰ってくると言っていたのでいつもより早いのかもしれない。
「ベクスト、坊っちゃまと一緒に談話室へ行って下さい。私は先に報告して来ます」
「トカゲちゃ、いっちょ、いい?」
「もちろんです。寝床の準備もしておきますね」
そこまでいうとセイバースさんはあり得ない速さで歩いて行ってしまった。
走っていないのにあの速さは異常だと思う。
ただ、優雅でもあったのでさすがセイバースさんだ。
「ベク、こりぇ、にいしゃま、こえしゅりゅの」
ベクストにトカゲからもらった石を見せ、発動条件を知っているか確認する。
「この石は自分が作った物です。これは試作段階のでして、どこかに落としてしまっていた様なので助かりました。魔力を入れておけば触るだけで聞こえますよ」
触るだけで聞こえるはずの様だが、では何故自分では偶にしか発動しないのだ。
魔力の入れ方もわからないし、このままではただの石になってしまう。
そう思っていると、トカゲが石に頭突きをしだしたので慌てて止める。
石が割れてしまったらどうする気だ。
しかし予想外にも頭突きをされた石は光り出したのだ。
まさか、あの頭突きで魔力を入れてくれていたのか。
トカゲはフンフンと鼻息を荒くし、まるで褒めてと言うようにコチラを見つめてくる。
トカゲによって魔力が入れられた石は確かに触るだけで発動するようになった。
なんて利口なトカゲなのだろう。
「しゅごいの!トカゲちゃ、ありがと」
トカゲの頭を指でナデナデしながら感謝を伝える。
トカゲは満足したのか自分から、胸ポケットへ入ってきた。
111
お気に入りに追加
3,386
あなたにおすすめの小説
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
胸キュンシチュの相手はおれじゃないだろ?
一ノ瀬麻紀
BL
今まで好きな人どころか、女の子にも興味をしめさなかった幼馴染の東雲律 (しののめりつ)から、恋愛相談を受けた月島湊 (つきしま みなと)と弟の月島湧 (つきしまゆう)
湊が提案したのは「少女漫画みたいな胸キュンシチュで、あの子のハートをGETしちゃおう作戦!」
なのに、なぜか律は湊の前にばかり現れる。
そして湊のまわりに起こるのは、湊の提案した「胸キュンシチュエーション」
え?ちょっとまって?実践する相手、間違ってないか?
戸惑う湊に打ち明けられた真実とは……。
DKの青春BL✨️
2万弱の短編です。よろしくお願いします。
ノベマさん、エブリスタさんにも投稿しています。
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる