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本編

素敵なモノをお持ちですね

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「これはお手伝いして下さったファル坊っちゃまへのご褒美です。中にお菓子が入れてあるのでよかったら食べて下さいね」

渡されたのはショルダーバッグだ。
黄色い大きなお花の形をしているが、これは女児向けではないだろうか。
一応、小さいが自分の性別は男なのだがお花型のバッグは本当に男女兼用か疑問に思ってしまう。
だがメイドさん5人が全員、期待して待っているのでとりあえず着けてみた。
長さも丁度良く、斜めに付けると腰の位置にお花が咲いた。

「坊っちゃま、お似合いです!」

セイバースさんとメイドさん達は大興奮で誉めてくれたので、似合ってはいるのだと思う。

早くカッコいいデザインが似合う大人になりたい。

次は何処に行こうか迷っていると前から狸獣人の兄弟と狼獣人の従僕トリオが歩いて来た。
彼らは3人とも素晴らしい立派な尻尾をお持ちである。
いつも尻尾で遊んでくれるので毎回尻尾に抱きついてしまうのも仕方がないだろう。

「おてちゅだい、ありましゅかぁ」

3人一緒という事は今から何か仕事をするのだと思う。
着いて行きたいが邪魔をしてはいけない。
従僕さん達は毎回重い物を運んだり、高いところで作業したりするのでチョロチョロしているだけで迷惑だろう。

「坊っちゃま!今から旧書庫の整理をするのですが、自分らはいつも尻尾が揺れてしまって埃が舞ってしまうのです。尻尾を押さえていてもらえますか?」

素晴らしい。
役得すぎるお手伝いだ。

「まかしぇて!ちっぽ、おしゃえるよぉ」

ウキウキしながら旧書庫まで移動する。
旧書庫といってもキチンと掃除が行き届いている様で、そんなに埃は溜まっている様には見えなかったが彼らの尻尾は立派なので埃が吸着しやすいのかもしれない。

「まじゅは、ロウしゃんの、ちっぽねぇ」

狼獣人の彼の名前はロウ。
因みに狸獣人兄はタッソ。
弟はテホンだ。
やはり男同士なのでメイドさんよりも仲良くなったと思う。

「お願いします」

白いふさふさの尻尾に抱きついて押さえ込む。
何という心地よさだろう。
たまに左右に揺れるので気は抜けないが、全身で堪能する。

「うごいちゃ、だめよぉ。いいこ、おとなちく、しゅるのぉ」

動かない時を見計らい、ヨシヨシと撫でておく。

「ちゅぎは、タッショしゃんねぇ」

ロウが梯子に昇ると言うので続いてタッソの尻尾に抱きついた。
ロウよりはふさふさ感は少ないが、尻尾先だけ黒色でとても可愛らしい。
タッソは本棚の最下層の整理らしく床に膝をついているので尻尾もおのずと床の上だ。
尻尾が動くと箒の様になってしまうので慌てて尻尾に跨り固定した。

「いちゃくない?」
「はい。そのまま座っても大丈夫ですよ。坊っちゃまは軽いですから」

魅力的なお誘いをもらったので、もちろん座らせてもらう。
ふかふかしているのでとても気持ちがよかった。
座り込んでの固定が良かったのかあまり動く事がなくタッソの仕事はすぐに終わってしまった。
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