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本編
感謝感激
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紹介が終わる頃には皿の上の料理も無くなっていた。
熊のパンは中にクリームが入っていてとても美味しかったのだが、ギル兄様には甘すぎた様だ。
余っていたので隠れてポケットに入れて持ち帰ろうとしたのだが、何故だかすぐにバレてしまい取り上げられてしまったのが悲しい。
「そりぇ、あとで、たべゆのぉ」
お腹が空いたら食べようと思っただけなのだが、みんなに顔を歪められてしまった。
食い意地がはっていてすみません。
「これはクリームが入ってるからすぐに傷んじゃうよ。後で日持ちのするお菓子をあげるからパンはやめておこうね」
団長が余っていたパンを全てルイに渡してしまった。
ルイが寮で配るらしい。
「いっこ、だめ?」
「ルシーのお腹が痛くなるからダメだよ」
団長だけでなくギル兄様にまで止められてしまったのだから諦めるしかないだろう。
しかも自分の腹痛を心配してくれているのだから、これ以上駄々を捏ねるのは申し訳ない。
「坊っちゃま、シェフがデザートを持ってきましたよ」
たぶん、そんな自分を見兼ねてだと思うがシェフがワゴンをゴロゴロ押しながらデザートを運んで来てくれた。
「パンを気に入ってくれてありがとうございます。いつでも作りますからね。デザートも食べてみて下さい」
ワゴンの上には大きなケーキがあった。
たくさんの果物がのっていてとても美味しそうなのだが、[坊っちゃま、来てくれてありがとう]と書かれたチョコレートとその横の砂糖菓子で出来た男の子の存在感が凄い。
切り分けられて渡されたケーキには当然のようにチョコレートと砂糖菓子が付いてきた。
勿論、自分以外にそのセットが付属された人はいない。
「ありがとぉ。これ、ぼく?」
いつ作ったのかはわからないが男の子がキノコカットなので自分で間違いはないだろうが一応確認しておく。
「可愛く作れた自信作です」
誇らしそうなシェフに顔が引き攣りそうになるが、グッと堪えて笑顔でお礼を伝えた。
キノコカットはいただけないが、こんなに手の込んだ物を作ってくれたのは素直に嬉しい。
この部屋の至る所にある飾りもとても即席とは思えない出来だし、何よりとんがり帽子に旗まで作って歓迎してくれた気持ちが嬉しいのだ。
「ありがとなのぉ。ぼく、うれちい。いいこ、なりゅからねぇ」
感極まって、ポロポロと涙が溢れてしまった。
足元にずっと居てくれた熊、虎、鳥が心配そうに覗き込んでくれている。
こんなにみんなから好きの気持ちがもらえるなんて思ってもみなかったのだ。
急に得体の知れない子供が養子として来るなんて普通なら嫌だと思う。
そんな子供の為のパーティーだって、主人に言われたから、仕事だからと割り切って準備してくれているのだと思っていた。
でも、違った。
みんなは本当に温かく家族として迎え入れてくれたんだ。
こんな自分を坊っちゃまと呼んでくれて、笑顔を向けてくれる。
今日はなんて良い日なのだろう。
団長やギル兄様だけでなく、こんなにたくさんの家族が出来るなんて素晴らしい事だ。
嬉しくて泣いても仕方ない。
「ルシー、そんなに泣いたらお目目がとけちゃうよ。ほら、みんなに可愛い笑顔を見せてあげて?」
ギル兄様に涙を拭いてもらい、なんとか笑顔を作るが涙も止まらない。
「にいしゃま。ぼく、うれちいのぉ」
「うん。僕もルシーに出会えて嬉しいよ」
ぐずぐずと泣き続ける自分を抱き上げてくれる。
「疲れて眠くなっちゃったかな。このまま寝ていいよ。大丈夫、ちゃんと居るからね」
トントンと一定のリズムで優しく背中を叩かれていると、瞼が重くなってきた。
あれだけ昼寝をしたのにまだ寝れるとはやはり子供だからだろうか。
今度こそ起きた時に1人じゃないといいな。
そんな事を思っている間に、そのままストンと夢の世界へ旅立っていた。
熊のパンは中にクリームが入っていてとても美味しかったのだが、ギル兄様には甘すぎた様だ。
余っていたので隠れてポケットに入れて持ち帰ろうとしたのだが、何故だかすぐにバレてしまい取り上げられてしまったのが悲しい。
「そりぇ、あとで、たべゆのぉ」
お腹が空いたら食べようと思っただけなのだが、みんなに顔を歪められてしまった。
食い意地がはっていてすみません。
「これはクリームが入ってるからすぐに傷んじゃうよ。後で日持ちのするお菓子をあげるからパンはやめておこうね」
団長が余っていたパンを全てルイに渡してしまった。
ルイが寮で配るらしい。
「いっこ、だめ?」
「ルシーのお腹が痛くなるからダメだよ」
団長だけでなくギル兄様にまで止められてしまったのだから諦めるしかないだろう。
しかも自分の腹痛を心配してくれているのだから、これ以上駄々を捏ねるのは申し訳ない。
「坊っちゃま、シェフがデザートを持ってきましたよ」
たぶん、そんな自分を見兼ねてだと思うがシェフがワゴンをゴロゴロ押しながらデザートを運んで来てくれた。
「パンを気に入ってくれてありがとうございます。いつでも作りますからね。デザートも食べてみて下さい」
ワゴンの上には大きなケーキがあった。
たくさんの果物がのっていてとても美味しそうなのだが、[坊っちゃま、来てくれてありがとう]と書かれたチョコレートとその横の砂糖菓子で出来た男の子の存在感が凄い。
切り分けられて渡されたケーキには当然のようにチョコレートと砂糖菓子が付いてきた。
勿論、自分以外にそのセットが付属された人はいない。
「ありがとぉ。これ、ぼく?」
いつ作ったのかはわからないが男の子がキノコカットなので自分で間違いはないだろうが一応確認しておく。
「可愛く作れた自信作です」
誇らしそうなシェフに顔が引き攣りそうになるが、グッと堪えて笑顔でお礼を伝えた。
キノコカットはいただけないが、こんなに手の込んだ物を作ってくれたのは素直に嬉しい。
この部屋の至る所にある飾りもとても即席とは思えない出来だし、何よりとんがり帽子に旗まで作って歓迎してくれた気持ちが嬉しいのだ。
「ありがとなのぉ。ぼく、うれちい。いいこ、なりゅからねぇ」
感極まって、ポロポロと涙が溢れてしまった。
足元にずっと居てくれた熊、虎、鳥が心配そうに覗き込んでくれている。
こんなにみんなから好きの気持ちがもらえるなんて思ってもみなかったのだ。
急に得体の知れない子供が養子として来るなんて普通なら嫌だと思う。
そんな子供の為のパーティーだって、主人に言われたから、仕事だからと割り切って準備してくれているのだと思っていた。
でも、違った。
みんなは本当に温かく家族として迎え入れてくれたんだ。
こんな自分を坊っちゃまと呼んでくれて、笑顔を向けてくれる。
今日はなんて良い日なのだろう。
団長やギル兄様だけでなく、こんなにたくさんの家族が出来るなんて素晴らしい事だ。
嬉しくて泣いても仕方ない。
「ルシー、そんなに泣いたらお目目がとけちゃうよ。ほら、みんなに可愛い笑顔を見せてあげて?」
ギル兄様に涙を拭いてもらい、なんとか笑顔を作るが涙も止まらない。
「にいしゃま。ぼく、うれちいのぉ」
「うん。僕もルシーに出会えて嬉しいよ」
ぐずぐずと泣き続ける自分を抱き上げてくれる。
「疲れて眠くなっちゃったかな。このまま寝ていいよ。大丈夫、ちゃんと居るからね」
トントンと一定のリズムで優しく背中を叩かれていると、瞼が重くなってきた。
あれだけ昼寝をしたのにまだ寝れるとはやはり子供だからだろうか。
今度こそ起きた時に1人じゃないといいな。
そんな事を思っている間に、そのままストンと夢の世界へ旅立っていた。
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