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本編
ブラック企業かもしれない
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「にいしゃま、がおー」
フードも被せてもらったのでとりあえずはポーズをとってみたのだが、失敗した。
ギル兄様に反応が無いのだ。
まず鳴き声がわからなかったので適当にガオーと吠えてみたのも間違っていただろうし、顔の横で両手の爪を立てる様にしてみたのもどうやら違った様だ。
ここはお手本を見せてもらうしかないだろう。
「ちぇいばーちゅしゃ、がおー、ちがう?」
着ているのは豹の着ぐるみだ。
全身豹柄なので間違いない。
セイバースさんとお揃いなので、ここは豹の先輩であるセイバースさんに聞くのが1番だ。
「坊っちゃま!大変お可愛らしい子豹です!ガオーでもニャーンでもお好きにお鳴き下さい」
よくわからなかったが、鳴き声はガオーでも大丈夫らしい。
という事は、ポーズがダメだったのだろうか。
しかし、にゃーんなら猫だろう。
豹は猫科なので猫のポーズにしてみようと思う。
四つん這いになり上半身を少し下げてみる。
猫が獲物を狙う時のポーズだ。
「にゃー」
思ったより上半身を下げた事により不安定になってしまい知らずに尻が揺れてしまったが、猫っぽさは醸し出せただろう。
化け猫っぽい感じになっていると思うので、早くギル兄様に笑って頂きたいのだが、何故か顔を両手で隠されてしまった。
見苦しくて申し訳ないです。
セイバースさんは子豹だと大興奮しているし、ルイは爆笑中だ。
ギル兄様に笑顔になって欲しかったのであってルイに笑われたかった訳ではないので不服である。
団長は何故、白熊にしなかったのかとセイバースさんに詰め寄っている。
曰く、団長の息子になるのだからまずは白熊が優先だろうとの事だ。
その理屈もよくわからないので、放置するしか無い。
「にいしゃま、どちたのぉ」
声をかけるとギル兄様はハッとした様子ですぐに抱きしめてくれた。
「ルシーがあんまり可愛くてびっくりしちゃった。ただ、猫のポーズは僕以外の前でしたらダメだよ」
猫のポーズはお気に召されなかった様なので封印する事に決めた。
「もう、ちないのぉ」
今後、豹の時はガオーだけにしよう。
「ふふ。ソラ、ちょっと元の大きさに戻ってくれる?」
急にギル兄様は虎に大きくなる様に言った。
虎は元のサイズに戻ると嬉しそうに尻尾で床をパシパシと叩いている。
ゆったりと伏せている虎の首にしがみつく様に上に乗せられたのは何故だろうか。
だが、せっかくなので毛並みを堪能させてもらおう。
「早く虎を作ってもらおうね。同じ猫科だから豹でも可愛いけど子虎も絶対似合うよ。子熊の時は白じゃ無くて茶色にしてシーザーとお揃いにしてもらおうね」
団長の白熊案がこの時点で消え失せた。
自分も団長より熊とお揃いの方が嬉しいので仕方がない。
「お任せ下さい。虎と熊を優先して作成しましょう」
セイバースさんは家令をしていると聞いていたが、何故服まで作る事が出来るのだろうか。
有能というレベルを超えている。
しかもどのタイミングで連絡が来たのかはわからないが、この1着だけでもそんなに早く作れるモノでは無いだろう。
フードに付けられている顔部分はまるでぬいぐるみの様なしっかりした作りになっているし、服の縫製なども綺麗でセイバースさんの手作りと言われなければ専門の職人さんが作ったとしか思えない出来だ。
忙しい人にわざわざ作ってもらうのは気が引けるのだが、セイバースさんがとても楽しそうなのでお断りするのも忍びない。
家令としての仕事をしながら自分の世話役にまでなってくれるらしいのに、その上、衣服まで作らせるなんて明らかに働きすぎになってしまう。
疲れて倒れてしまったら問題だ。
「むり、しにゃいでねぇ。げんき、いちばんよぉ」
「坊っちゃまがお優しすぎて、もう元気になりました。毎日、坊っちゃまの為に出来る事があるだけで私は幸せ者です」
セイバースさんの目にまたもや涙が浮かんでいる。
フードも被せてもらったのでとりあえずはポーズをとってみたのだが、失敗した。
ギル兄様に反応が無いのだ。
まず鳴き声がわからなかったので適当にガオーと吠えてみたのも間違っていただろうし、顔の横で両手の爪を立てる様にしてみたのもどうやら違った様だ。
ここはお手本を見せてもらうしかないだろう。
「ちぇいばーちゅしゃ、がおー、ちがう?」
着ているのは豹の着ぐるみだ。
全身豹柄なので間違いない。
セイバースさんとお揃いなので、ここは豹の先輩であるセイバースさんに聞くのが1番だ。
「坊っちゃま!大変お可愛らしい子豹です!ガオーでもニャーンでもお好きにお鳴き下さい」
よくわからなかったが、鳴き声はガオーでも大丈夫らしい。
という事は、ポーズがダメだったのだろうか。
しかし、にゃーんなら猫だろう。
豹は猫科なので猫のポーズにしてみようと思う。
四つん這いになり上半身を少し下げてみる。
猫が獲物を狙う時のポーズだ。
「にゃー」
思ったより上半身を下げた事により不安定になってしまい知らずに尻が揺れてしまったが、猫っぽさは醸し出せただろう。
化け猫っぽい感じになっていると思うので、早くギル兄様に笑って頂きたいのだが、何故か顔を両手で隠されてしまった。
見苦しくて申し訳ないです。
セイバースさんは子豹だと大興奮しているし、ルイは爆笑中だ。
ギル兄様に笑顔になって欲しかったのであってルイに笑われたかった訳ではないので不服である。
団長は何故、白熊にしなかったのかとセイバースさんに詰め寄っている。
曰く、団長の息子になるのだからまずは白熊が優先だろうとの事だ。
その理屈もよくわからないので、放置するしか無い。
「にいしゃま、どちたのぉ」
声をかけるとギル兄様はハッとした様子ですぐに抱きしめてくれた。
「ルシーがあんまり可愛くてびっくりしちゃった。ただ、猫のポーズは僕以外の前でしたらダメだよ」
猫のポーズはお気に召されなかった様なので封印する事に決めた。
「もう、ちないのぉ」
今後、豹の時はガオーだけにしよう。
「ふふ。ソラ、ちょっと元の大きさに戻ってくれる?」
急にギル兄様は虎に大きくなる様に言った。
虎は元のサイズに戻ると嬉しそうに尻尾で床をパシパシと叩いている。
ゆったりと伏せている虎の首にしがみつく様に上に乗せられたのは何故だろうか。
だが、せっかくなので毛並みを堪能させてもらおう。
「早く虎を作ってもらおうね。同じ猫科だから豹でも可愛いけど子虎も絶対似合うよ。子熊の時は白じゃ無くて茶色にしてシーザーとお揃いにしてもらおうね」
団長の白熊案がこの時点で消え失せた。
自分も団長より熊とお揃いの方が嬉しいので仕方がない。
「お任せ下さい。虎と熊を優先して作成しましょう」
セイバースさんは家令をしていると聞いていたが、何故服まで作る事が出来るのだろうか。
有能というレベルを超えている。
しかもどのタイミングで連絡が来たのかはわからないが、この1着だけでもそんなに早く作れるモノでは無いだろう。
フードに付けられている顔部分はまるでぬいぐるみの様なしっかりした作りになっているし、服の縫製なども綺麗でセイバースさんの手作りと言われなければ専門の職人さんが作ったとしか思えない出来だ。
忙しい人にわざわざ作ってもらうのは気が引けるのだが、セイバースさんがとても楽しそうなのでお断りするのも忍びない。
家令としての仕事をしながら自分の世話役にまでなってくれるらしいのに、その上、衣服まで作らせるなんて明らかに働きすぎになってしまう。
疲れて倒れてしまったら問題だ。
「むり、しにゃいでねぇ。げんき、いちばんよぉ」
「坊っちゃまがお優しすぎて、もう元気になりました。毎日、坊っちゃまの為に出来る事があるだけで私は幸せ者です」
セイバースさんの目にまたもや涙が浮かんでいる。
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