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本編

空気は吸うんじゃない。

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「ねえ、セイバース。僕がいる時はルシーのお世話は僕がするから。あと、ソラとシーザーも一緒にいる時間が増えるからよろしくね」

ギル兄様の御手を煩わせてしまう事はなるべく避けたかったのだが、今更感も否めない。
ここに来るまでにどれだけの迷惑をかけた事か。

「旦那様から報告を受けております。勿論、ギルバート様が優先ですが、お仕事やお勉強の間を私にお任せ下さいませ」

2人がニコニコと笑顔で会話をしているが、団長は自分とギル兄様の事をどの様に報告したのだろう。
セイバースさんが若干、涙目なのも気になってしまう。

「ギルバート様、今朝までとは見違える様なお顔付きになられましたね。表情も柔らかく…これも全て…」

すごく感動的な場面なのだが、何故か自分を見て頷く団長をはじめとする大人3人。
ギル兄様は膝の上にいる自分を後ろから抱きしめる様に腹に手を回し、自分の頭に顎を乗せてくれた。
顎置きとしてのご使用ありがとうございます。

そんな中、空気が読めない選手権にエントリーしてしまっていた自分の腹が盛大に鳴ってしまった。
恥ずかし過ぎる。
もっと可愛らしい音(キュルルン等)で鳴ってくれればいい物を、ぐうぅーと響いてしまったのだ。
密着しているギル兄様に聞かれた事だけでも憤死レベルだが、どうやら室内全員に聞こえてしまったらしい。
足元にいた熊、虎、鳥が揃ってコチラを見ているのも恥ずかしさに拍車をかけている。

「ギルにいしゃま、かくちてぇ」

全員の視線から逃れたい一心で、ギル兄様の膝の上で縮こまってみるが隠れれる場所が少しもないのでギル兄様の素敵な魔法でなんとかしてもらおうとお願いした。

「ルシーの可愛いお腹の虫が鳴いちゃったんだね。ほら、こっち向いて。僕にギュッてしてたら誰にも見られないよ」

対面する様に向きを変えてもらったので、勢いよくギル兄様のお腹に抱きつく。
ギル兄様はクスクスと静かに笑っていたが、覆い隠す様に抱き直してもらいやっと安心出来た。

「うにゅぅ…はじゅかちいのぉ」
「ふふ。そろそろご飯食べに行こう?ルシーの好きなモノ見つけようね。でもその前にお洋服を着替えちゃおうね」

そういえばずっとルイの上着を借りたままだった。
あまりにも大きすぎた為、裾や袖を何重にも折り返している状態だ。
間違いなく返却時はしわくちゃである。

「とりあえずサイズがわからなかったので、すぐに着れそうなモノを数着準備しております。現在、お部屋を少し手直ししておりますのでコチラにお持ちしてもよろしいでしょうか?」
「うん。セイバースがルシーに1番似合うと思ったのを1着持ってきてくれる?」
「承知致しました」

颯爽とセイバースさんは部屋を出て行った。
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