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本編

探さないで下さい

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ギル兄様達と一緒に団長の部屋に戻ってきたが室内に人の気配はするのだが入室許可が出ない。
しかし熊が問題ないと頷くと、ギル兄様は普通に扉を開けた。
ピリピリした空気の中、机に両肘を乗せ組んだ掌に額を預け俯いている団長が目にとまる。
事件ですか?

「…だんちょ?」

小さく呟いたのだが、しっかりと団長には届いたようだ。
ガバッと顔を上げると、椅子を倒しながら立ち上がった。
文字通り机を飛び越え、物凄い形相のまま突進してくる。
コレはアレか。
窓を破壊した事へのお怒りなのか。
確かに連れてきてもらって早々に施設を破壊したのだから、お怒りはごもっともだ。
このまま、やっぱりウチの子にはしないと言われたらどうしよう。
獣舎に隠れていたらしばらくは生きていけるだろうか。

「ファル君!よかった、心配したよ。攫われたかもって聞いたから今、捜索隊を選抜してたんだよ。無事で良かった」

若干泣いている様にも見える団長にギル兄様ごと大きな身体で抱きしめられた。
心配してくれたようだが、捜索隊とはどういう事だろうか。

「見つかったんですか!?…よかった。ファル、どうしてお前はジッとしてられないんだ」

何故かルイに呆れられている。

「お前、もう少しで30人規模の捜索隊を組まれるところだったんだぞ」

30人とは団員の数なので相棒の獣を加えると総数60の大規模らしい。
しかも騎士団員は総勢で100名程度。
3割の人員が割かれる事態になるところだったようだ。

「いいか、お前はもう団長の愛息子なんだから、その自覚を持つんだぞ。しかも獣にまで凄え好かれてるだろ。抑え込むこっちの労力を考えるんだ。わかったか?」

こんこんと教えを説かれているが、ルイが1番言いたい事はよくわかった。
大人しくしていろ。
コレに間違いない。

「わかったのぉ。ひちょり、うろろ、しにゃい」
「よし!偉いぞ!こっちに来て元気って叫ぶんだ。出来るか?」

何故か窓から叫ぶように言われたが、大人しく従っておく。

「団長、解散させてくるので少し待っててくださいね」

そう言い残し、ルイは走り去った。

ルイを待っている間にギル兄様がクッキーをくれたので半分こして食べた。
自分1人が食べるのは気が引けるし、美味しい物はみんなでわけた方がもっと美味しい。

「おいしいねぇ、ギルにいしゃま」
「ふふ、本当だね。もっといっぱい食べて欲しいけどもうすぐパーティーだから、屋敷に帰ってからにしようね」
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