コレは流行りの転生ですか?〜どうやら輪廻転生の方でした〜

誉雨

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本編

神の裁きを受けたい

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心臓はありえないほどドキドキしているが、なんとか頬を寄せていく。
ほっぺスリスリまであと少し。
ゆっくり近付いていた為か距離感が掴めず、なかなか頬がくっつかない。

焦ってギル兄様の方に顔を向けると、ドアップのご尊顔。
そしてその勢いのまま形まで美しい高い鼻のてっぺんに、むしゃぶりついてしまった。

可愛らしくチュチュっという感じではない。
むっちゅうぅぅと音がしそうなほど吸い付いている。
しかも、バカ面よろしく口が開いていたのか鼻先を少し咥えてしまった。

これはもう極刑に処して頂きたい。

「にいしゃま!ごめんちゃい!はな、いちゃい?」

慌てて顔を離す。
気分はもう切腹する武士なのだが、ギル兄様の抱っこから下りる事すら出来ない。
ギル兄様は片手で自分を抱っこし、空いている方の手で鼻を押さえ込んでしまった。

「……鼻血出そう」

鼻血だって!?
確かに勢いよく鼻にぶつかったのだ。
あの衝撃なら血が出てもおかしくないだろう。

「いちゃい?いちゃい?」

とりあえず鼻がどうなっているのか確認する為、手を退けてもらおうとするのだが、張り付いてびくともしない。

「痛くないよ。ルシーは何にも悪くないからそんな泣きそうな顔しないで」

オロオロしていると、痛みがひいたのかギル兄様は顔から手を離し、また両手で抱きしめるように抱っこし直してくれた。
あの美しい鼻は無事だった。
だが、全体的に少し赤くなっている気がする。
これは相当痛かったと思う。

「いちゃいの、いちゃいの、とんでけなのぉ」

ギル兄様の鼻を撫で摩り、必死に唱えた。

「お願いルシーちょっと待ってねすごく嬉しいけど可愛すぎるのは危ない事なんだよ僕以外にそんな可愛い事したらダメだよ特に人間は絶対ダメだよこんなに可愛いとすぐ食べられちゃうからね」

何かの早口言葉をノンブレスで言い切ったギル兄様。
最後しか聞き取れなかったが、やはり2匹に食べられそうに見えて心配だったのか。

「ぼく、おいちく、ないよぉ(誰が)たべゆ?」
「(僕が)食べていいの!?」

よくわからず、とりあえずニコニコ笑って誤魔化す事にしたが、この小さな誤解がこの場で終わっていなかった事を知ったのは案外すぐだった。
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