コレは流行りの転生ですか？〜どうやら輪廻転生の方でした〜

御礼小噺

御礼小噺

 いつもお読み頂きありがとうございます。
何故か昨日から沢山の方にお気に入り登録をしていただいており、小心者の作者は通知が来るたびビビっております。
なんでしょうか？
コロポックル愛護週間か何かに突入したのでしょうか？
行き当たりばったりで書いている初作品なので、お見苦しいところも多くあると思いますがBLはファンタジーを合言葉に優しい気持ちで読んでいただけると嬉しいです。
ちょっとした御礼小噺を急遽、書いてみたのでよろしかったらお目汚し下さい。


～…～…～…～…～…

あの時の2人




団長の執務室に行く前に坊主が欲しがっていた葉っぱを取りに池のほとりまで来た。
ここにフキが多く茂っているのを知っていたからだ。
しかもここに群生しているフキは茎だけで1m以上あり、葉の部分も1.5mはある品種だ。

「ルイしゃ、しゅごい！」

坊主が興奮して俺の腕の中で暴れている。

「取ってきてやるから、大人しくしてろよ」

池から少し離れた見晴らしの良い場所に座らせ、坊主に丁度良さそうなフキを探す。
あの体格だとあまり大きいのを選ぶと持てないだろうし。
ちょっと小ぶりの、形も良く色も鮮やかなフキを見つけた。

「坊主、これで…」

いいか？と続くはずの言葉が出てこなかった。
振り向いた先から坊主が消えていたのだ。

「おい！どこに消えた？！」
「ルイしゃ、ここよぉ」

焦って声を上げると、間延びした可愛い声は聞こえるが姿が全く見えない。

「ルイしゃ、どこ、いりゅのぉ」

いや、お前が何処にいるんだよ。
どうやら坊主は大人しく待たず、俺の後を追ってフキの群生地へと踏み込んだようだ。
坊主の背丈を遥かに越す茎と覆い隠す様な葉に阻まれて、俺からは坊主を確認出来ない。

「おい、動くなよ。池があるからな。落ちたらお前、泳げねえだろ」

この池は水嵩は浅いがあの小さいコロポックル擬きが泳げるとは到底思えない。

「いいか、俺が見つけるまでジッとしてろ。今度こそ大人しく動くなよ」
「あい！」

とても良い返事をしているが、安心は出来ない。

「ルイしゃ、まっちゃく、みえにゃいの」

どうやら坊主からも俺の姿が見えない様だ。

「動いてないな？」
「……あい！」
「おい！？動いてるのか？」
「うごかにゃいのよ」

間違いなく動いてるだろ、お前！
俺が見つけるのが早いか、坊主が池に落ちるのが先か。

「坊主、なんか喋ってろ。どこに居るか見つけやすくなる」
「ルイしゃ、いいもにょ、みちゅけたのぉ」
「おい！ダメだ！動くんじゃない！」

全然ジッとしてないな。
葉が揺れる方向が池から離れて行く事に少しホッとしたが、何故、こうも俺の言う事を聞かないで動き回るのか。

「およ、とりぇにゃい」

何を取ろうとしてるんだ！
フキをひたすら掻き分け進んだ先でやっと坊主を見つけた。

「ルイしゃ！よかったのぉ。まいご、だめよぉ」

何故か俺が迷子扱いをされてる。
でも、まあ、よかった。
とりあえずは怪我も無さそうだし無事だったのならいい。
突然始まった坊主と俺の鬼ごっこ兼かくれんぼは何とか俺の勝利で終わった。

……ように思えたのも束の間。

「おい！？何、持ってやがる！」
「かわいいの、みちゅけたの。ルイしゃ、あげりゅ」

坊主は薄紫色の花と白い小さな花を束ねて手に持っていた。
このフキの群生地でなんでそんなもん、見つけられるんだよ！

「こーかんよぉ」

坊主は俺が取ってやったフキの葉をとても気に入ったようだ。
凄い、凄いと嬉しそうにニコニコしている。
葉っぱを掲げた姿は文献で見たコロポックルにそっくりだった。

坊主を抱っこすると、必然的に俺の頭上に来る葉っぱを見て、きっとこれからは毎日が騒がしくなるのだろうと遠い目をしてしまったのは仕方がないと思う。


その後、コロポックルを抱えて歩く俺は注目の的になるのだが、俺の胸ポケットに輝くトリカブトと鈴蘭が原因の一端なのは言うまでも無い。