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別視点
side 団長②
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森へ帰す時は、南に広がる楽園に案内してあげようと決めたが、まずはお近付きのしるしにジュースと私愛蔵のハチミツでおもてなしをしようじゃないか。
小さなお口でジュースをコクコクと飲んでいる姿も可愛らしいが、ハチミツをのせたコロポックルちゃんには少し大きめのスプーンをはむっと頬張った時の可愛さには悶絶した。
しかもスプーンを持つ私の手に、小さなおててを添えてくれているのだ。
興奮で震えそうな身体を気合いでねじ伏せたが、息が上がってしまっていたのかもしれない。
「ごめんちゃい」
コロポックルちゃんに泣きながら謝られてしまった。
声すら愛らしいが私の楽しかった時間は終わってしまったのだろう。
ただ怖がられている感じはしないのだ。
もう少し、あと少しだけで良いので私にこの幸せな時間を堪能させておくれ。
「もう森へ帰りたくなっちゃったかい?」
私はまだ帰したくない!
お願いだ、もう少し、もう少しと呪詛の様に念じていると願いが通じたのかコロポックルちゃんが森には帰りたくないと言うのだ。
しかもコロポックルちゃんは自分は人間だと言う。
この愛らしい妖精が人間だなんて信じられないが、妖精で無いのなら森へ帰す必要はないし、むしろ保護すべきだろう。
私はこの騎士団の団長だが、領主でもある。
それならこの私が保護するのが1番良いのでは?
色々考え事をしていたら、コロポックルちゃんが私の抱っこから飛び降りてしまった。
幸いにも椅子に座っていた為、高さはあまり無かったから良かったが立っている私から飛び降りたらこの子なら死んでしまってもおかしくないのだ。
慌てて再度、抱き上げた。
「怪我してないかい?こんな高い所から飛ぶなんて。何処が痛いの?あんよ?おてて?」
確認すると額と膝が赤くなっていた。
「あぁ…お膝とおでこが赤くなってるじゃないか。すぐに治療しようね」
治療魔法が使えた事を神に感謝したが、足の裏に血が付いているのを見て青褪めた。
「あんよの裏に血がついてる。こんなに小さいあんよが…痛かっただろうに」
私は何故、もっと早く気付いてあげられなかったのだ。
愛でる事に精一杯になりすぎて、この子に痛い思いをさせたままでいたなんて私は自分が許せない。
涙でぐしょぐしょの顔を優しくハンカチで拭ってあげながら、2度とこんな失敗はしないと心に誓った。
詳しく話を聞く為に、ルイと一緒に向かいのソファに座らせたのだが、コロコロと転がってしまうのが微笑ましく笑ってしまった。
だが、ルイが膝に乗せるのを見て瞬間的に狡いと叫んでいた。
「おじさんの方へおいで。おじさんには、ほら。クマさん耳があるんだよ」
この子が私の耳をチラチラ見ている事に気付いていたので、有効活用しようと思う。
好きなだけ触ってもらって構わない。
小さなお口でジュースをコクコクと飲んでいる姿も可愛らしいが、ハチミツをのせたコロポックルちゃんには少し大きめのスプーンをはむっと頬張った時の可愛さには悶絶した。
しかもスプーンを持つ私の手に、小さなおててを添えてくれているのだ。
興奮で震えそうな身体を気合いでねじ伏せたが、息が上がってしまっていたのかもしれない。
「ごめんちゃい」
コロポックルちゃんに泣きながら謝られてしまった。
声すら愛らしいが私の楽しかった時間は終わってしまったのだろう。
ただ怖がられている感じはしないのだ。
もう少し、あと少しだけで良いので私にこの幸せな時間を堪能させておくれ。
「もう森へ帰りたくなっちゃったかい?」
私はまだ帰したくない!
お願いだ、もう少し、もう少しと呪詛の様に念じていると願いが通じたのかコロポックルちゃんが森には帰りたくないと言うのだ。
しかもコロポックルちゃんは自分は人間だと言う。
この愛らしい妖精が人間だなんて信じられないが、妖精で無いのなら森へ帰す必要はないし、むしろ保護すべきだろう。
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それならこの私が保護するのが1番良いのでは?
色々考え事をしていたら、コロポックルちゃんが私の抱っこから飛び降りてしまった。
幸いにも椅子に座っていた為、高さはあまり無かったから良かったが立っている私から飛び降りたらこの子なら死んでしまってもおかしくないのだ。
慌てて再度、抱き上げた。
「怪我してないかい?こんな高い所から飛ぶなんて。何処が痛いの?あんよ?おてて?」
確認すると額と膝が赤くなっていた。
「あぁ…お膝とおでこが赤くなってるじゃないか。すぐに治療しようね」
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「あんよの裏に血がついてる。こんなに小さいあんよが…痛かっただろうに」
私は何故、もっと早く気付いてあげられなかったのだ。
愛でる事に精一杯になりすぎて、この子に痛い思いをさせたままでいたなんて私は自分が許せない。
涙でぐしょぐしょの顔を優しくハンカチで拭ってあげながら、2度とこんな失敗はしないと心に誓った。
詳しく話を聞く為に、ルイと一緒に向かいのソファに座らせたのだが、コロコロと転がってしまうのが微笑ましく笑ってしまった。
だが、ルイが膝に乗せるのを見て瞬間的に狡いと叫んでいた。
「おじさんの方へおいで。おじさんには、ほら。クマさん耳があるんだよ」
この子が私の耳をチラチラ見ている事に気付いていたので、有効活用しようと思う。
好きなだけ触ってもらって構わない。
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