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本編
追いかけっこ?
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「ちびっ子、この不貞腐れているバカとも遊んでくれないか」
「ぼく、ふぁるしゅたーよ。ふぁる、よんでね」
ちびっ子は嫌だ。
折角、ギル兄様にカッコいい名前をつけて頂いたのだ。
名前以外で呼ばれても返事をする気は無いが、ギル兄様の先輩なら一度だけ大目に見ようではないか。
「すまん、ファルだな。このバカはエグリオ。さっきからずっと不貞腐れててな。ファルと遊びたいらしい」
グリフォンが遊んでくれるらしい。
思ったよりグリフォンは幼いのかもしれないが、自分とは大きさが違いすぎる。
一緒に遊びたいが、近付けば踏み潰されそうだ。
「エグちゃ、ちいちゃく、なる、できりゅ?」
熊や虎の様に小さくなってもらえれば、遊べそうだ。
グリフォンは頷くとぐんぐんと縮んでいった。
子供用の木馬くらいの大きさになると、またしても可愛らしく首を上下に振っている。
とりあえず、撫でておこう。
「エグちゃ、なに、あしょぶ?おいかけっこ、しゅる?」
正直、勝てる気はしないが何も遊び道具が無いのだから仕方ない。
靴を手に入れた自分なら、走る事くらい出来る筈だ。
ただ、ここで犬と狐が参戦表明する様に小さくなりだした。
グリフォンと同じくらいのサイズになると、なにやら4匹で相談している。
仲良しか。
羨ましいぞ、このヤロー。
「ギル、エグリオが背中に乗せたいと言っているが、ファルは大丈夫か?」
グリフォンに乗れるのなら、自分は問題ないのだが過保護なギル兄様はどう思うだろうか。
とりあえず先手必勝でおねだりしよう。
「にいしゃま、ぼく、のりぇましゅ!エグちゃ、のりちゃい、でしゅ!」
「ふふ。わかってるよ。ソラ、落ちない様に魔法で固定出来る?危ないと思ったら、お終いにするからね」
ギル兄様がグリフォンの背中に乗せてくれた。
首に抱き着くと、虎が魔法を使ったのか密着する。
準備万端だ。
犬と狐が走り出した。
どうやら、自分とグリフォンが追いかける側らしい。
「エグちゃ、かんばりぉね」
自分はただ乗っているだけで何もしないが、専属応援団としてエールを贈ろう。
「フレー、フレー、エグちゃ!」
グリフォンがやる気に満ちている様だ。
大きく翼をはばたくと、60cmくらい浮かび上がった。
なんと、自分は今、飛んでいる。
高くはないので全く恐怖感はない。
グリフォンは翼を広げたまま足を動かすと、そのまま犬と狐を追いかけはじめた。
宙を走っている。
「エグちゃ、すごいのぉ」
斬新的な追いかけっこだ。
犬も狐も本気では走らず、適度な距離になると魔法でシャボン玉を飛ばしたり、虹を出してくぐれる様にしたりと、楽しませてくれる。
時折、熊が氷、虎が水で作った鳥を飛ばしてくれるのもいい味を出している。
「にいしゃま!すごいの!たのちい!」
大興奮のまま、満面の笑みでギル兄様に手を振る。
気分はパレードの主役だ。
手を振りかえしてくれるギル兄様の方が、明らかに主役のオーラが出ているがそこは仕方ない。
神様はきっとパレード慣れしているのだろう。
手の動きすら優雅である。
昨日からの疲れと、朝からの興奮で急激な眠気に襲われてしまい、グリフォンの背にしがみつきながらウトウトしてしまうが、寝るのが惜しい。
無駄な抵抗とわかっていても、なんとか起きようと頑張ってみる。
だが、グリフォンの毛の柔らかさと適度な揺れがまるでゆりかごの中の様だ。
やはり3歳児の体力では限界があった。
知らない間に寝落ちしていたのだ。
なんとも勿体無い事をしてしまった。
また一緒に遊んでくれると嬉しい。
だから自分は知らなかったのだ。
ぐっすりと寝てしまった自分をまるで宝物の様に大事に抱えたギル兄様も。
4匹がもっと遊びたかったと騒がしくするのを、熊と虎が一喝して黙らせた事も。
団員達が自分の相棒の成長を喜んでいた事も。
「まさか、コイツらが2匹で複合魔法を使える様になるなんてな」
「ノインなんて尻尾が増えましたよ。自分の代で完全体になるかもしれませんね」
「エグリオも魔法使えたんだな。バカだから物理攻撃しか出来んと思ってた」
「静かにしてもらえますか?弟が起きてしまいます。ファルは動物が好きなので獣は諦めますが、人はあまり近寄らないでくださいね。この子は僕のですから」
ギル兄様の独占欲に溢れたこの言葉だって全く知らず呑気に寝ていたのだ。
本当に勿体無い事をした!
「ぼく、ふぁるしゅたーよ。ふぁる、よんでね」
ちびっ子は嫌だ。
折角、ギル兄様にカッコいい名前をつけて頂いたのだ。
名前以外で呼ばれても返事をする気は無いが、ギル兄様の先輩なら一度だけ大目に見ようではないか。
「すまん、ファルだな。このバカはエグリオ。さっきからずっと不貞腐れててな。ファルと遊びたいらしい」
グリフォンが遊んでくれるらしい。
思ったよりグリフォンは幼いのかもしれないが、自分とは大きさが違いすぎる。
一緒に遊びたいが、近付けば踏み潰されそうだ。
「エグちゃ、ちいちゃく、なる、できりゅ?」
熊や虎の様に小さくなってもらえれば、遊べそうだ。
グリフォンは頷くとぐんぐんと縮んでいった。
子供用の木馬くらいの大きさになると、またしても可愛らしく首を上下に振っている。
とりあえず、撫でておこう。
「エグちゃ、なに、あしょぶ?おいかけっこ、しゅる?」
正直、勝てる気はしないが何も遊び道具が無いのだから仕方ない。
靴を手に入れた自分なら、走る事くらい出来る筈だ。
ただ、ここで犬と狐が参戦表明する様に小さくなりだした。
グリフォンと同じくらいのサイズになると、なにやら4匹で相談している。
仲良しか。
羨ましいぞ、このヤロー。
「ギル、エグリオが背中に乗せたいと言っているが、ファルは大丈夫か?」
グリフォンに乗れるのなら、自分は問題ないのだが過保護なギル兄様はどう思うだろうか。
とりあえず先手必勝でおねだりしよう。
「にいしゃま、ぼく、のりぇましゅ!エグちゃ、のりちゃい、でしゅ!」
「ふふ。わかってるよ。ソラ、落ちない様に魔法で固定出来る?危ないと思ったら、お終いにするからね」
ギル兄様がグリフォンの背中に乗せてくれた。
首に抱き着くと、虎が魔法を使ったのか密着する。
準備万端だ。
犬と狐が走り出した。
どうやら、自分とグリフォンが追いかける側らしい。
「エグちゃ、かんばりぉね」
自分はただ乗っているだけで何もしないが、専属応援団としてエールを贈ろう。
「フレー、フレー、エグちゃ!」
グリフォンがやる気に満ちている様だ。
大きく翼をはばたくと、60cmくらい浮かび上がった。
なんと、自分は今、飛んでいる。
高くはないので全く恐怖感はない。
グリフォンは翼を広げたまま足を動かすと、そのまま犬と狐を追いかけはじめた。
宙を走っている。
「エグちゃ、すごいのぉ」
斬新的な追いかけっこだ。
犬も狐も本気では走らず、適度な距離になると魔法でシャボン玉を飛ばしたり、虹を出してくぐれる様にしたりと、楽しませてくれる。
時折、熊が氷、虎が水で作った鳥を飛ばしてくれるのもいい味を出している。
「にいしゃま!すごいの!たのちい!」
大興奮のまま、満面の笑みでギル兄様に手を振る。
気分はパレードの主役だ。
手を振りかえしてくれるギル兄様の方が、明らかに主役のオーラが出ているがそこは仕方ない。
神様はきっとパレード慣れしているのだろう。
手の動きすら優雅である。
昨日からの疲れと、朝からの興奮で急激な眠気に襲われてしまい、グリフォンの背にしがみつきながらウトウトしてしまうが、寝るのが惜しい。
無駄な抵抗とわかっていても、なんとか起きようと頑張ってみる。
だが、グリフォンの毛の柔らかさと適度な揺れがまるでゆりかごの中の様だ。
やはり3歳児の体力では限界があった。
知らない間に寝落ちしていたのだ。
なんとも勿体無い事をしてしまった。
また一緒に遊んでくれると嬉しい。
だから自分は知らなかったのだ。
ぐっすりと寝てしまった自分をまるで宝物の様に大事に抱えたギル兄様も。
4匹がもっと遊びたかったと騒がしくするのを、熊と虎が一喝して黙らせた事も。
団員達が自分の相棒の成長を喜んでいた事も。
「まさか、コイツらが2匹で複合魔法を使える様になるなんてな」
「ノインなんて尻尾が増えましたよ。自分の代で完全体になるかもしれませんね」
「エグリオも魔法使えたんだな。バカだから物理攻撃しか出来んと思ってた」
「静かにしてもらえますか?弟が起きてしまいます。ファルは動物が好きなので獣は諦めますが、人はあまり近寄らないでくださいね。この子は僕のですから」
ギル兄様の独占欲に溢れたこの言葉だって全く知らず呑気に寝ていたのだ。
本当に勿体無い事をした!
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