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本編
増殖するの?
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そしてなんと、この団員からハンカチを2枚譲ってもらえた。
足に巻いてもらえば簡易靴の完成である。
ギル兄様への失礼な発言は許し難いが、背に腹はかえられない。
有り難く頂戴し、しっかりとお礼を伝えた。
靴を手に入れた自分に怖いものはない。
早速、犬に近づいて行く。
犬は本当に大人しい子の様だ。
尻尾は千切れんばかりに振っているが、キチンとお座りしている。
「チャーちゃ、チロちゃ、なかよくちてねぇ」
手が2本あってよかった。
1度に2匹の頭を撫でられた。
思った通り、もふもふしていてなんとも心地よい。
いつかこの背中にも乗せてくれと、願いを込めて丹念に全身を撫で回しておく。
「ファルシュター君、もしよかったらこの子も撫でてあげてくれるかい?ノイン、ほら、恥ずかしがってないで行っておいで」
狐は恥ずかしがり屋さんだった。
おずおずと近付いてくるのが可愛い。
「ノイちゃ、おいでぇ。だいじょぶよ、ぼく、こわくないよぉ」
さあ、さあ、近うよれ。
可愛がってやろうではないか。
臆する事はない。
この胸に飛び込んでくるがいい。
両手を目一杯広げて待っていると、狐はゆっくりと擦り寄ってきた。
「ちゅかまえたの」
ギュっと抱きしめて、黄金色の毛並みに顔を埋めてみる。
スンスンと匂いを嗅がれているが、臭かっただろうか。
「ごめんちゃい、ぼく、くちゃい?」
狐が慌てた様子で頬を舐めてくる。
コレは大丈夫という事か。
それとも、あまりの臭さに舐めて綺麗にしてくれているのか。
判断がつかず助けを求めて相棒の団員を見ると苦笑していた。
「全然、臭くないって。いい匂いだからいっぱい嗅いじゃって、ごめんねって言ってるよ」
よかった。
自分は今、臭いには人一倍敏感になっている。
ギル兄様に不快に思われたくないからだ。
いい匂いの筈は無いが、臭く無いのなら良しとしよう。
「ノイちゃ、ちっぽ、しゃわって、いい?」
折角なので、ふさふさの尻尾も触ってみたい。
コンと小さく鳴くと、触ってと言わんばかりに尻尾を振ってくれた。
ふさふさの尻尾で身体全体を撫でられると、くすぐったさに笑ってしまった。
しかし、おかしい。
さっきまで5本だった尻尾が6本になっている。
一本づつ触って確認したので間違いない。
何故だ。
そんなに急に、何処から生えたのだ。
「まさか、成長したのか…」
団員が驚きで凝視しているのにも気付かず、自分も狐の尻尾を持ち上げたり、根元を覗き込んだりと確認に勤しんだのだった。
足に巻いてもらえば簡易靴の完成である。
ギル兄様への失礼な発言は許し難いが、背に腹はかえられない。
有り難く頂戴し、しっかりとお礼を伝えた。
靴を手に入れた自分に怖いものはない。
早速、犬に近づいて行く。
犬は本当に大人しい子の様だ。
尻尾は千切れんばかりに振っているが、キチンとお座りしている。
「チャーちゃ、チロちゃ、なかよくちてねぇ」
手が2本あってよかった。
1度に2匹の頭を撫でられた。
思った通り、もふもふしていてなんとも心地よい。
いつかこの背中にも乗せてくれと、願いを込めて丹念に全身を撫で回しておく。
「ファルシュター君、もしよかったらこの子も撫でてあげてくれるかい?ノイン、ほら、恥ずかしがってないで行っておいで」
狐は恥ずかしがり屋さんだった。
おずおずと近付いてくるのが可愛い。
「ノイちゃ、おいでぇ。だいじょぶよ、ぼく、こわくないよぉ」
さあ、さあ、近うよれ。
可愛がってやろうではないか。
臆する事はない。
この胸に飛び込んでくるがいい。
両手を目一杯広げて待っていると、狐はゆっくりと擦り寄ってきた。
「ちゅかまえたの」
ギュっと抱きしめて、黄金色の毛並みに顔を埋めてみる。
スンスンと匂いを嗅がれているが、臭かっただろうか。
「ごめんちゃい、ぼく、くちゃい?」
狐が慌てた様子で頬を舐めてくる。
コレは大丈夫という事か。
それとも、あまりの臭さに舐めて綺麗にしてくれているのか。
判断がつかず助けを求めて相棒の団員を見ると苦笑していた。
「全然、臭くないって。いい匂いだからいっぱい嗅いじゃって、ごめんねって言ってるよ」
よかった。
自分は今、臭いには人一倍敏感になっている。
ギル兄様に不快に思われたくないからだ。
いい匂いの筈は無いが、臭く無いのなら良しとしよう。
「ノイちゃ、ちっぽ、しゃわって、いい?」
折角なので、ふさふさの尻尾も触ってみたい。
コンと小さく鳴くと、触ってと言わんばかりに尻尾を振ってくれた。
ふさふさの尻尾で身体全体を撫でられると、くすぐったさに笑ってしまった。
しかし、おかしい。
さっきまで5本だった尻尾が6本になっている。
一本づつ触って確認したので間違いない。
何故だ。
そんなに急に、何処から生えたのだ。
「まさか、成長したのか…」
団員が驚きで凝視しているのにも気付かず、自分も狐の尻尾を持ち上げたり、根元を覗き込んだりと確認に勤しんだのだった。
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