53 / 195
本編
犯人はお前か!
しおりを挟む
「お名前、教えてくれる?僕はギルバートだよ」
そうだった。
どさくさ紛れにおねだりしたが、やはり気付いてはもらえなかった様だ。
噛み噛みでかっこいいを連発していただけなのだから仕方ない。
「ぼく、ないの。ぎるにいしゃま、つけて、ほしいの」
本当は神様とお呼びしたいが、理性をフル動員させてギル兄様と呼ばせていただく事に決めた。
様付けは絶対に外せないが。
「どういう事?…痛いところは無い?」
何故か痛みの確認をされるが、空腹ではあるが健康体な為、首を横に振って否定する。
記憶喪失だと説明しようと口を開く前に、ちょうど団長とルイの元に着いてしまった。
名残惜しいが虎から下ろしてもらう。
「ソラちゃ、ありかとぉ。また、のせちぇ」
ギル兄様の横にお座りしている虎に抱きつきながらお礼と願望をしっかりと伝えた。
「ギルバート、よかったな」
団長は何故か少し涙目だ。
「はい、父上。僕の天使が檻から出してくれたんです。もう、大丈夫です」
衝撃的な発言が聞こえたが、幻聴だろうか。
ギル兄様が檻に入っていたと言っている。
勿論、ギル兄様が嘘をいう訳がないと確信しているので本当なのだろうがこれはアレだ。
虐待だ。
犯罪行為であり、許してはいけない。
団長とギル兄様は何か笑顔で話しているが、怒りが爆発して抑えられなかった。
「だんちょ!だれ、でしゅか。ぼくの、ぎるにいしゃま、ぎゃくちゃい、したの。ぼくが、かたき、とってくるのぉ」
いや、この場合1番可能性があるのは父親である団長ではないだろうか。
やっと自分の罪を知り、涙目になっていたのだろう。
「うぅ、だんちょ、やさしい、おもったのにぃ。ぎるにいしゃま、とじこめちゃ、だめなのぉ」
本当なら頬を思い切り殴り飛ばしてやりたかったが、身長が足らなすぎて、団長の足を殴る事しか出来ないのがもどかしい。
「だんちょ、ごめんちゃい、してぇ」
またしても泣き虫が発動してしまった。
泣きながら何度も団長の足を殴ってしまっている。
「違うよ、父上じゃないよ。ほら、泣かないで。おてても痛くなっちゃうから」
ギル兄様が抱っこしてくれるが、なかなか涙がとまらない。
「ぎるにいしゃま、うぇっ、びやぁぁぁ」
大号泣してしまった。
「ふふ。大丈夫だよ。ほら、泣き止んで。ソラもシーザーも心配してるよ?」
目尻や頬、額に何度も口付けてくれる。
今日はもう、カピカピになろうが顔は洗わない。
さっきまでギル兄様の横で大人しくお座りしていた虎が熊の横に移動して何やら土を掘っているのが見えた。
砂遊びだろうか。
熊も一緒に遊ぶなら混ぜてもらおうかな。
虎が掘った穴の中に熊が手を突っ込むと、一瞬で大きな氷の花が咲いた。
「ぎるにいしゃま、おなにゃ、さいたのぉ」
まさか熊も魔法が使えるのか。
「ソラが触ってみてって言ってるよ。行ってみようか?」
大きな氷の花は透き通っていて繊細な彫刻の様で美しい。
抱っこされたまま、恐る恐る触ってみるとパリンと音がして花が砕けてしまった。
「あーー!こわし、ちゃった。ごめ」
謝り終わる前に今度はなんと、砕け散った花の下、最初に虎が掘った穴一杯に色とりどりの花びらが敷き詰められている。
虎も魔法が使えるのか。
そうだった。
どさくさ紛れにおねだりしたが、やはり気付いてはもらえなかった様だ。
噛み噛みでかっこいいを連発していただけなのだから仕方ない。
「ぼく、ないの。ぎるにいしゃま、つけて、ほしいの」
本当は神様とお呼びしたいが、理性をフル動員させてギル兄様と呼ばせていただく事に決めた。
様付けは絶対に外せないが。
「どういう事?…痛いところは無い?」
何故か痛みの確認をされるが、空腹ではあるが健康体な為、首を横に振って否定する。
記憶喪失だと説明しようと口を開く前に、ちょうど団長とルイの元に着いてしまった。
名残惜しいが虎から下ろしてもらう。
「ソラちゃ、ありかとぉ。また、のせちぇ」
ギル兄様の横にお座りしている虎に抱きつきながらお礼と願望をしっかりと伝えた。
「ギルバート、よかったな」
団長は何故か少し涙目だ。
「はい、父上。僕の天使が檻から出してくれたんです。もう、大丈夫です」
衝撃的な発言が聞こえたが、幻聴だろうか。
ギル兄様が檻に入っていたと言っている。
勿論、ギル兄様が嘘をいう訳がないと確信しているので本当なのだろうがこれはアレだ。
虐待だ。
犯罪行為であり、許してはいけない。
団長とギル兄様は何か笑顔で話しているが、怒りが爆発して抑えられなかった。
「だんちょ!だれ、でしゅか。ぼくの、ぎるにいしゃま、ぎゃくちゃい、したの。ぼくが、かたき、とってくるのぉ」
いや、この場合1番可能性があるのは父親である団長ではないだろうか。
やっと自分の罪を知り、涙目になっていたのだろう。
「うぅ、だんちょ、やさしい、おもったのにぃ。ぎるにいしゃま、とじこめちゃ、だめなのぉ」
本当なら頬を思い切り殴り飛ばしてやりたかったが、身長が足らなすぎて、団長の足を殴る事しか出来ないのがもどかしい。
「だんちょ、ごめんちゃい、してぇ」
またしても泣き虫が発動してしまった。
泣きながら何度も団長の足を殴ってしまっている。
「違うよ、父上じゃないよ。ほら、泣かないで。おてても痛くなっちゃうから」
ギル兄様が抱っこしてくれるが、なかなか涙がとまらない。
「ぎるにいしゃま、うぇっ、びやぁぁぁ」
大号泣してしまった。
「ふふ。大丈夫だよ。ほら、泣き止んで。ソラもシーザーも心配してるよ?」
目尻や頬、額に何度も口付けてくれる。
今日はもう、カピカピになろうが顔は洗わない。
さっきまでギル兄様の横で大人しくお座りしていた虎が熊の横に移動して何やら土を掘っているのが見えた。
砂遊びだろうか。
熊も一緒に遊ぶなら混ぜてもらおうかな。
虎が掘った穴の中に熊が手を突っ込むと、一瞬で大きな氷の花が咲いた。
「ぎるにいしゃま、おなにゃ、さいたのぉ」
まさか熊も魔法が使えるのか。
「ソラが触ってみてって言ってるよ。行ってみようか?」
大きな氷の花は透き通っていて繊細な彫刻の様で美しい。
抱っこされたまま、恐る恐る触ってみるとパリンと音がして花が砕けてしまった。
「あーー!こわし、ちゃった。ごめ」
謝り終わる前に今度はなんと、砕け散った花の下、最初に虎が掘った穴一杯に色とりどりの花びらが敷き詰められている。
虎も魔法が使えるのか。
130
お気に入りに追加
3,386
あなたにおすすめの小説
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

日本で死んだ無自覚美少年が異世界に転生してまったり?生きる話
りお
BL
自分が平凡だと思ってる海野 咲(うみの
さき)は16歳に交通事故で死んだ…………
と思ったら転生?!チート付きだし!しかも転生先は森からスタート?!
これからどうなるの?!
と思ったら拾われました
サフィリス・ミリナスとして生きることになったけど、やっぱり異世界といったら魔法使いながらまったりすることでしょ!
※これは無自覚美少年が周りの人達に愛されつつまったり?するはなしです

兄たちが弟を可愛がりすぎです
クロユキ
BL
俺が風邪で寝ていた目が覚めたら異世界!?
メイド、王子って、俺も王子!?
おっと、俺の自己紹介忘れてた!俺の、名前は坂田春人高校二年、別世界にウィル王子の身体に入っていたんだ!兄王子に振り回されて、俺大丈夫か?!
涙脆く可愛い系に弱い春人の兄王子達に振り回され護衛騎士に迫って慌てていっもハラハラドキドキたまにはバカな事を言ったりとしている主人公春人の話を楽しんでくれたら嬉しいです。
1日の話しが長い物語です。
誤字脱字には気をつけてはいますが、余り気にしないよ~と言う方がいましたら嬉しいです。
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる