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本編
犯人はお前か!
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「お名前、教えてくれる?僕はギルバートだよ」
そうだった。
どさくさ紛れにおねだりしたが、やはり気付いてはもらえなかった様だ。
噛み噛みでかっこいいを連発していただけなのだから仕方ない。
「ぼく、ないの。ぎるにいしゃま、つけて、ほしいの」
本当は神様とお呼びしたいが、理性をフル動員させてギル兄様と呼ばせていただく事に決めた。
様付けは絶対に外せないが。
「どういう事?…痛いところは無い?」
何故か痛みの確認をされるが、空腹ではあるが健康体な為、首を横に振って否定する。
記憶喪失だと説明しようと口を開く前に、ちょうど団長とルイの元に着いてしまった。
名残惜しいが虎から下ろしてもらう。
「ソラちゃ、ありかとぉ。また、のせちぇ」
ギル兄様の横にお座りしている虎に抱きつきながらお礼と願望をしっかりと伝えた。
「ギルバート、よかったな」
団長は何故か少し涙目だ。
「はい、父上。僕の天使が檻から出してくれたんです。もう、大丈夫です」
衝撃的な発言が聞こえたが、幻聴だろうか。
ギル兄様が檻に入っていたと言っている。
勿論、ギル兄様が嘘をいう訳がないと確信しているので本当なのだろうがこれはアレだ。
虐待だ。
犯罪行為であり、許してはいけない。
団長とギル兄様は何か笑顔で話しているが、怒りが爆発して抑えられなかった。
「だんちょ!だれ、でしゅか。ぼくの、ぎるにいしゃま、ぎゃくちゃい、したの。ぼくが、かたき、とってくるのぉ」
いや、この場合1番可能性があるのは父親である団長ではないだろうか。
やっと自分の罪を知り、涙目になっていたのだろう。
「うぅ、だんちょ、やさしい、おもったのにぃ。ぎるにいしゃま、とじこめちゃ、だめなのぉ」
本当なら頬を思い切り殴り飛ばしてやりたかったが、身長が足らなすぎて、団長の足を殴る事しか出来ないのがもどかしい。
「だんちょ、ごめんちゃい、してぇ」
またしても泣き虫が発動してしまった。
泣きながら何度も団長の足を殴ってしまっている。
「違うよ、父上じゃないよ。ほら、泣かないで。おてても痛くなっちゃうから」
ギル兄様が抱っこしてくれるが、なかなか涙がとまらない。
「ぎるにいしゃま、うぇっ、びやぁぁぁ」
大号泣してしまった。
「ふふ。大丈夫だよ。ほら、泣き止んで。ソラもシーザーも心配してるよ?」
目尻や頬、額に何度も口付けてくれる。
今日はもう、カピカピになろうが顔は洗わない。
さっきまでギル兄様の横で大人しくお座りしていた虎が熊の横に移動して何やら土を掘っているのが見えた。
砂遊びだろうか。
熊も一緒に遊ぶなら混ぜてもらおうかな。
虎が掘った穴の中に熊が手を突っ込むと、一瞬で大きな氷の花が咲いた。
「ぎるにいしゃま、おなにゃ、さいたのぉ」
まさか熊も魔法が使えるのか。
「ソラが触ってみてって言ってるよ。行ってみようか?」
大きな氷の花は透き通っていて繊細な彫刻の様で美しい。
抱っこされたまま、恐る恐る触ってみるとパリンと音がして花が砕けてしまった。
「あーー!こわし、ちゃった。ごめ」
謝り終わる前に今度はなんと、砕け散った花の下、最初に虎が掘った穴一杯に色とりどりの花びらが敷き詰められている。
虎も魔法が使えるのか。
そうだった。
どさくさ紛れにおねだりしたが、やはり気付いてはもらえなかった様だ。
噛み噛みでかっこいいを連発していただけなのだから仕方ない。
「ぼく、ないの。ぎるにいしゃま、つけて、ほしいの」
本当は神様とお呼びしたいが、理性をフル動員させてギル兄様と呼ばせていただく事に決めた。
様付けは絶対に外せないが。
「どういう事?…痛いところは無い?」
何故か痛みの確認をされるが、空腹ではあるが健康体な為、首を横に振って否定する。
記憶喪失だと説明しようと口を開く前に、ちょうど団長とルイの元に着いてしまった。
名残惜しいが虎から下ろしてもらう。
「ソラちゃ、ありかとぉ。また、のせちぇ」
ギル兄様の横にお座りしている虎に抱きつきながらお礼と願望をしっかりと伝えた。
「ギルバート、よかったな」
団長は何故か少し涙目だ。
「はい、父上。僕の天使が檻から出してくれたんです。もう、大丈夫です」
衝撃的な発言が聞こえたが、幻聴だろうか。
ギル兄様が檻に入っていたと言っている。
勿論、ギル兄様が嘘をいう訳がないと確信しているので本当なのだろうがこれはアレだ。
虐待だ。
犯罪行為であり、許してはいけない。
団長とギル兄様は何か笑顔で話しているが、怒りが爆発して抑えられなかった。
「だんちょ!だれ、でしゅか。ぼくの、ぎるにいしゃま、ぎゃくちゃい、したの。ぼくが、かたき、とってくるのぉ」
いや、この場合1番可能性があるのは父親である団長ではないだろうか。
やっと自分の罪を知り、涙目になっていたのだろう。
「うぅ、だんちょ、やさしい、おもったのにぃ。ぎるにいしゃま、とじこめちゃ、だめなのぉ」
本当なら頬を思い切り殴り飛ばしてやりたかったが、身長が足らなすぎて、団長の足を殴る事しか出来ないのがもどかしい。
「だんちょ、ごめんちゃい、してぇ」
またしても泣き虫が発動してしまった。
泣きながら何度も団長の足を殴ってしまっている。
「違うよ、父上じゃないよ。ほら、泣かないで。おてても痛くなっちゃうから」
ギル兄様が抱っこしてくれるが、なかなか涙がとまらない。
「ぎるにいしゃま、うぇっ、びやぁぁぁ」
大号泣してしまった。
「ふふ。大丈夫だよ。ほら、泣き止んで。ソラもシーザーも心配してるよ?」
目尻や頬、額に何度も口付けてくれる。
今日はもう、カピカピになろうが顔は洗わない。
さっきまでギル兄様の横で大人しくお座りしていた虎が熊の横に移動して何やら土を掘っているのが見えた。
砂遊びだろうか。
熊も一緒に遊ぶなら混ぜてもらおうかな。
虎が掘った穴の中に熊が手を突っ込むと、一瞬で大きな氷の花が咲いた。
「ぎるにいしゃま、おなにゃ、さいたのぉ」
まさか熊も魔法が使えるのか。
「ソラが触ってみてって言ってるよ。行ってみようか?」
大きな氷の花は透き通っていて繊細な彫刻の様で美しい。
抱っこされたまま、恐る恐る触ってみるとパリンと音がして花が砕けてしまった。
「あーー!こわし、ちゃった。ごめ」
謝り終わる前に今度はなんと、砕け散った花の下、最初に虎が掘った穴一杯に色とりどりの花びらが敷き詰められている。
虎も魔法が使えるのか。
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