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別視点
side ルイ
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side ルイ
俺の相棒は我儘で気まぐれな鳳凰と呼ばれる、神鳥だ。
俺の言う事を聞かないのはいつもの事で、その日も俺が書類作成で少し目を離した隙に消えていた。
「シーザーも死の森から帰ってこないし、ルアンも偵察してくれてるんじゃないかい?」
団長が笑いながらも凄い速さで書類を仕上げている。
俺は、通称、ケモノ騎士団と呼ばれる辺境領独自の騎士団に所属している。
辺境領は人族、獣人族が対等に暮している領地だ。
勿論、領主は我らが団長である。
人族と言っても外見に獣人の様に特徴が無いだけで、何かしらの血は混ざっているのだ。
俺も人族だが、オオワシの血が流れている。
この世界に混じり気の無い者は居ない。
それでも、獣人族は人族から良く思われない事があるのだ。
人族も身体的な能力は獣人族と変わらないのだが、彼らは総じて魔力が高い。
一部の人族はそれが妬ましいだけだと俺は思っている。
魔力が高ければ、それだけ高度な魔法が使える。
そしてそれは国からも重宝されるということだ。
ただの僻みだ。
馬鹿馬鹿しい。
それでも、下位貴族連中が公には言わないが獣人族を馬鹿にする様な発言をする為に、一部の人族達も同じ様な態度をするのだ。
我が辺境領は領主が獣人族であるし、昔から獣と一緒に生きてきた土地だ。
領民は大らかで気のいい者ばかりである。
ケモノ騎士団とは、その名の通り団員全員が獣と相棒関係を結んでいる。
獣は見た目は動物とほとんど変わらないが、知性が高く戦闘力がずば抜けている。
各々の個体と相棒関係を結んだ者だけがその恩恵を少しだけ与えて貰えるのだ。
獣が本気を出せば、獣人族だろうが人族だろうが瞬殺されるだろう。
何故かこの辺境領だけが獣と相棒になれる。
相棒関係と言っても選ばれる側はコチラだ。
ある日突然、獣に試される。
それをクリア出来れば晴れて相棒にしてもらえるのだ。
俺の相棒、鳳凰のルアンの試練は最悪だった。
急に髪の毛の一部や指先、足先が燃え出すのだ。
怪我をしないギリギリのラインを攻められ、それがいつ行われるかわからない不安と、いつ終わるのか期限がわからない不満。
それが1週間続いた。
1週間後、急に頭の中にルアンの声が聞こえた時は嬉しいと思うより先に殺意が湧いた。
明らかに俺を馬鹿にして喋ってきたのだ。
「まぁお前でいいや。ルアンって呼ぶ事を許してやるよ」
その後も常に上から目線。
本当に我儘で傲慢で高飛車な獣。
それが鳳凰のルアンだ。
「ルアンが勝手なのはいつもの事ですけど、シーザーが戻ってこないのは不思議ですね。森へも凄い速さで走って行きましたし、鬼気迫ってて怖かったですよ」
団長のシーザーは3メートルを超す巨大な魔熊だ。
いつもは穏やかに団長の傍らで過ごす事が多いが一旦戦闘になればその牙や爪で瞬殺。
氷魔法で相手を凍死させる事も出来る。
その魔熊が、今朝、死の森へ走り去ったのだ。
死の森とは訓練地の北に広がる森だが、名前の通り木以外の植物が全く育たない為、しっかりと準備して入らなければ無事に帰っては来れない。
反対に南に広がる森は楽園と呼ばれている。
魔熊なら問題なく死の森から帰ってこれる筈だが、既に5時間程経過していた。
「シーザーにしては珍しいけど、彼は獣の王者だからね。異変があったなら対処して帰ってくるさ」
団長とシーザーの信頼関係は尊敬に値する。
俺とルアンの関係の歪さよ。
泣けてくるぜ。
俺の相棒は我儘で気まぐれな鳳凰と呼ばれる、神鳥だ。
俺の言う事を聞かないのはいつもの事で、その日も俺が書類作成で少し目を離した隙に消えていた。
「シーザーも死の森から帰ってこないし、ルアンも偵察してくれてるんじゃないかい?」
団長が笑いながらも凄い速さで書類を仕上げている。
俺は、通称、ケモノ騎士団と呼ばれる辺境領独自の騎士団に所属している。
辺境領は人族、獣人族が対等に暮している領地だ。
勿論、領主は我らが団長である。
人族と言っても外見に獣人の様に特徴が無いだけで、何かしらの血は混ざっているのだ。
俺も人族だが、オオワシの血が流れている。
この世界に混じり気の無い者は居ない。
それでも、獣人族は人族から良く思われない事があるのだ。
人族も身体的な能力は獣人族と変わらないのだが、彼らは総じて魔力が高い。
一部の人族はそれが妬ましいだけだと俺は思っている。
魔力が高ければ、それだけ高度な魔法が使える。
そしてそれは国からも重宝されるということだ。
ただの僻みだ。
馬鹿馬鹿しい。
それでも、下位貴族連中が公には言わないが獣人族を馬鹿にする様な発言をする為に、一部の人族達も同じ様な態度をするのだ。
我が辺境領は領主が獣人族であるし、昔から獣と一緒に生きてきた土地だ。
領民は大らかで気のいい者ばかりである。
ケモノ騎士団とは、その名の通り団員全員が獣と相棒関係を結んでいる。
獣は見た目は動物とほとんど変わらないが、知性が高く戦闘力がずば抜けている。
各々の個体と相棒関係を結んだ者だけがその恩恵を少しだけ与えて貰えるのだ。
獣が本気を出せば、獣人族だろうが人族だろうが瞬殺されるだろう。
何故かこの辺境領だけが獣と相棒になれる。
相棒関係と言っても選ばれる側はコチラだ。
ある日突然、獣に試される。
それをクリア出来れば晴れて相棒にしてもらえるのだ。
俺の相棒、鳳凰のルアンの試練は最悪だった。
急に髪の毛の一部や指先、足先が燃え出すのだ。
怪我をしないギリギリのラインを攻められ、それがいつ行われるかわからない不安と、いつ終わるのか期限がわからない不満。
それが1週間続いた。
1週間後、急に頭の中にルアンの声が聞こえた時は嬉しいと思うより先に殺意が湧いた。
明らかに俺を馬鹿にして喋ってきたのだ。
「まぁお前でいいや。ルアンって呼ぶ事を許してやるよ」
その後も常に上から目線。
本当に我儘で傲慢で高飛車な獣。
それが鳳凰のルアンだ。
「ルアンが勝手なのはいつもの事ですけど、シーザーが戻ってこないのは不思議ですね。森へも凄い速さで走って行きましたし、鬼気迫ってて怖かったですよ」
団長のシーザーは3メートルを超す巨大な魔熊だ。
いつもは穏やかに団長の傍らで過ごす事が多いが一旦戦闘になればその牙や爪で瞬殺。
氷魔法で相手を凍死させる事も出来る。
その魔熊が、今朝、死の森へ走り去ったのだ。
死の森とは訓練地の北に広がる森だが、名前の通り木以外の植物が全く育たない為、しっかりと準備して入らなければ無事に帰っては来れない。
反対に南に広がる森は楽園と呼ばれている。
魔熊なら問題なく死の森から帰ってこれる筈だが、既に5時間程経過していた。
「シーザーにしては珍しいけど、彼は獣の王者だからね。異変があったなら対処して帰ってくるさ」
団長とシーザーの信頼関係は尊敬に値する。
俺とルアンの関係の歪さよ。
泣けてくるぜ。
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