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本編
挙動不審の虎
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「それなら君は、僕の天使だ」
ちょっと、時間をとめてください。
義兄が抱きしめてくれているんですが。
大丈夫ですか。
臭くないですか。
義兄はいい匂いもするんですね。
自分はたぶん、昨晩は野宿だった事もあるが熊のペロペロや馬のはむはむ、その他に擦り付けられた獣臭が酷い事になっていると思う。
そういえば団長に治癒魔法をかけてもらった。
消臭効果のある魔法はないのだろうか。
あるなら是非、お願いしたい。
義兄がそのまま抱っこして団長達の方へ向かってくれる様だ。
「ご飯ちゃんと食べてる?軽すぎるよ」
「きのみ、たべちゃよぉ」
「…今から、おやつ食べようね」
優しさが爆発していませんか。
クールと聞いていたが、気配り屋さんだ。
「おにいちゃ、あれ、とってぇ」
自分が捨てた物を見つけたので拾ってもらう。
「ぼく、てんし、ちがうにょ」
「違わないよ、僕の可愛い天使だよ」
「ちがうにょ。コロポックルなにょ」
仮装用の小道具を両手で掲げて笑ってみせる。
「フハッ…!!」
団長、見てますか。
この神がかった笑顔を。
息子さんはちゃんと感情、出せてますよ。
義兄が笑ってくれるなら、コロポックルも悪くない。
「アハハッ!可愛い!僕の天使はコロポックルなんだね!可愛すぎるよ!」
義兄の笑顔が素敵すぎです。
頬擦りまでしてくれますが、空気が甘過ぎてどうしていいかわからない。
勿論、全く嫌ではない。
むしろめちゃくちゃ嬉しい。
団長とルイはこの空気をどう思っているのだろう。
自分と義兄が話している間、2人は一言も喋っていない。
何かあったのだろうか。
2人は目を見開き、口を半開きにしたまま、コチラを見て固まっていた。
何があった。
自分の後ろを見てみるが、特に変わった様子は無い。
いや、あった。
虎がソワソワしている。
お座りしたり、伸びをしたり、顔を洗ったりと落ち着きがない。
大きな猫みたいだ。
「おにいちゃ、とらちゃ」
相棒に置いていかれそうになって、どうしようか迷っているのかもしれない。
只々、自分が間近で虎が見たいだけだが義兄に呼んでもらおうと声をかけた。
「僕の相棒を紹介し忘れてたね。ソラ!」
一瞬だった。
瞬間移動でもしたのだろうか。
虎は義兄に呼ばれた次の瞬間にはもう、横にいた。
長い尻尾がゆらゆらと揺れている。
「僕の相棒のソラだよ。大きいけど怖くないからね。ソラ、僕の天使だ。…何があっても最優先で守って」
「ソラちゃ、かっこいい。よろちくなのぉ」
虎に手を振りながらニコニコと挨拶をする。
だが虎は不機嫌そうに尻尾で地面を何度も叩いている。
やはり相棒に抱っこされている自分が気に入らないのだろうか。
「…嫌だよ。僕が抱っこするから、今日はダメだ。お前に乗せるのは落ちない様に鞍かなにか準備してからしか許可出来ない。…僕と一緒…うーん…」
どうやら義兄は虎と会話が出来るようだ。
羨ましい。
自分も熊と会話したい。
相棒関係を結ぶと話せるのかもしれないが、それなら熊とは永遠に喋れない。
熊は団長の相棒だ。
そうだ。
いつか自分の相棒を介して熊とも意思の疎通がとれるかもしれない。
希望は捨てずに持っておこう。
ちょっと、時間をとめてください。
義兄が抱きしめてくれているんですが。
大丈夫ですか。
臭くないですか。
義兄はいい匂いもするんですね。
自分はたぶん、昨晩は野宿だった事もあるが熊のペロペロや馬のはむはむ、その他に擦り付けられた獣臭が酷い事になっていると思う。
そういえば団長に治癒魔法をかけてもらった。
消臭効果のある魔法はないのだろうか。
あるなら是非、お願いしたい。
義兄がそのまま抱っこして団長達の方へ向かってくれる様だ。
「ご飯ちゃんと食べてる?軽すぎるよ」
「きのみ、たべちゃよぉ」
「…今から、おやつ食べようね」
優しさが爆発していませんか。
クールと聞いていたが、気配り屋さんだ。
「おにいちゃ、あれ、とってぇ」
自分が捨てた物を見つけたので拾ってもらう。
「ぼく、てんし、ちがうにょ」
「違わないよ、僕の可愛い天使だよ」
「ちがうにょ。コロポックルなにょ」
仮装用の小道具を両手で掲げて笑ってみせる。
「フハッ…!!」
団長、見てますか。
この神がかった笑顔を。
息子さんはちゃんと感情、出せてますよ。
義兄が笑ってくれるなら、コロポックルも悪くない。
「アハハッ!可愛い!僕の天使はコロポックルなんだね!可愛すぎるよ!」
義兄の笑顔が素敵すぎです。
頬擦りまでしてくれますが、空気が甘過ぎてどうしていいかわからない。
勿論、全く嫌ではない。
むしろめちゃくちゃ嬉しい。
団長とルイはこの空気をどう思っているのだろう。
自分と義兄が話している間、2人は一言も喋っていない。
何かあったのだろうか。
2人は目を見開き、口を半開きにしたまま、コチラを見て固まっていた。
何があった。
自分の後ろを見てみるが、特に変わった様子は無い。
いや、あった。
虎がソワソワしている。
お座りしたり、伸びをしたり、顔を洗ったりと落ち着きがない。
大きな猫みたいだ。
「おにいちゃ、とらちゃ」
相棒に置いていかれそうになって、どうしようか迷っているのかもしれない。
只々、自分が間近で虎が見たいだけだが義兄に呼んでもらおうと声をかけた。
「僕の相棒を紹介し忘れてたね。ソラ!」
一瞬だった。
瞬間移動でもしたのだろうか。
虎は義兄に呼ばれた次の瞬間にはもう、横にいた。
長い尻尾がゆらゆらと揺れている。
「僕の相棒のソラだよ。大きいけど怖くないからね。ソラ、僕の天使だ。…何があっても最優先で守って」
「ソラちゃ、かっこいい。よろちくなのぉ」
虎に手を振りながらニコニコと挨拶をする。
だが虎は不機嫌そうに尻尾で地面を何度も叩いている。
やはり相棒に抱っこされている自分が気に入らないのだろうか。
「…嫌だよ。僕が抱っこするから、今日はダメだ。お前に乗せるのは落ちない様に鞍かなにか準備してからしか許可出来ない。…僕と一緒…うーん…」
どうやら義兄は虎と会話が出来るようだ。
羨ましい。
自分も熊と会話したい。
相棒関係を結ぶと話せるのかもしれないが、それなら熊とは永遠に喋れない。
熊は団長の相棒だ。
そうだ。
いつか自分の相棒を介して熊とも意思の疎通がとれるかもしれない。
希望は捨てずに持っておこう。
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