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本編

義兄は超人、自分はなりきりコロポックル

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居候のつもりだったが、話が大きくなっている。
わざわざ、養子縁組をしてくれるつもりらしい。

「おうち、おいてくりぇる、だけでいいの」

熊と一緒なら床でも寝れる。
昨日は野宿もしたのだ。
屋根がある所にお邪魔させてもらえるだけでありがたい。

「何を言ってるんだい!こんなに可愛い子、すぐに我が家で保護しないと拐われてしまうよ。私の息子に手を出す馬鹿はいないからね。シーザーも居るし安心してね」

コロポックル愛が凄い。

「団長に任せられるなら安心だ。…これであの3匹も大丈夫だろ、いつでも会えるし」

ルイは団長の案に賛成の様だ。

「…でも、団長。ギルは大丈夫ですか?」
「そうだね。大丈夫だとは思うけど最初に顔を見せておこうかな」
「そうしてあげて下さい。ダメだった時は俺が面倒みるんで心配しないで下さいよ」

息子はまさか、極度の人見知りなのか。
自分もコミュニケーション能力は高くないが、頑張ろう。

「むすこしゃ、コロポックル、すき?」

好きならこの小道具を持参します。


団長の息子はギルバート。
ルイ曰く、団長に似たイケメン。
おかしい。
会う人間が全員、イケメンなのは何故だ。
10歳だが身長は既に165cmを超えたスタイル抜群な体型で騎士団に所属している事からわかるが運動神経も凄いのだろう。
加えて、団長の家を継ぐ為の勉強も得意らしいく、成績は常にトップクラス。
超人ですか。

自分で言うのもなんだが、痩せ過ぎた肉のない平均より小さい身体。
記憶が無いから、勿論勉強なんてさっぱりだ。
先程の無様な落下からわかる様に運動神経も無いのだろう。

こんな義弟、いや愚弟、超人のお兄様には要らないどころか迷惑だと思う。
話しかけるなとか言われたらどうしよう。
一緒の空気を吸いたくないとかで部屋から出てこなくてなってしまったら家庭崩壊だ。
しかも団長の奥様は数年前に亡くなっているらしい。

コロポックル用の葉っぱが緊張の為か震えてしまう。
団長は白熊の獣人だが、義兄は隔世遺伝で竜人だという。
竜人だから超人なんですか。
それとも超人になると竜人になれたりするんですか。
どちらにせよ、カッコいい。
もし嫌われたら、陰からこっそり見る事にする。
熊との楽しい生活の為にも、是非とも一緒に住める様に頑張ろう。

「ギルはね、滅多に見ない竜人だからかな。ちょっと周りが煩くてね。注目を浴びるのが嫌だって、必要以外は誰とも交流しないんだよ」

クール。
孤独に耐え切れず、熊にさえ甘えまくった自分が恥ずかしい。

「感情もあまり出さないしね。まだ10歳なんだよ」

たぶん3歳位だと思われる自分は現在進行形で泣き虫ですが、大丈夫ですか。
共通点が見つからなさ過ぎて、好かれる要素が思い浮かばない。
せめて団長と同じくコアなコロポックルマニアで居てくれないだろうか。
今のところ長所はコロポックルに似ている事だけだ。
一応、団長とルイの強い希望で葉っぱは両手でしっかり掲げている。

不安しかない。
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