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本編

コロポックルの土下座は危険

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どうしたらいい。
ルイは背中を向け震えている。
この状況を楽しんでいるのだ。
団長は自分にハチミツを舐めさせようとしている。

「小さいお口だね。もっと小さいスプーンはあったかな。ゆっくり舐めるんだよ。たくさんあるからね」

もう、居た堪れない。
結果として騙してしまった事に後悔してまた泣いてしまった。

「ごめんちゃいぃ」
「あぁ、声まで可愛い。…ダメだ落ち着け。泣かなくていいんだよ。大丈夫だよ。もう森へ帰りたくなっちゃったかい?」

コロポックルと信じられているから仕方ないが、森へ帰されてしまうかもしれない恐怖で一向に涙が止まらない。

「ちがうのぉ、にんげんなのぉ」
「もりは、いやぁ」
「ごめんちゃいぃ」

泣きながら謝るが、団長からは反応がない。
騙した以上、怒られる事は覚悟しているが反応が無いのは困る。
それ程までに許し難い事なのかもしれない。
もう謝り続けるしか無い。

涙と鼻水で顔はぐちゃぐちゃだが、団長の服が汚れない様になんとか距離を取る。
なんとなく抱っこされている腕の力が弱まった様な気がして、急いで飛び降りた。
着地は無様に失敗し、うつ伏せのまま床に辿り着いたが、このまま謝ろう。
打ち付けた膝と額は痛いが、絨毯の上だ。
血が出ている事はない筈だ。
もう怖くて団長の顔が見れないので土下座のまま起き上がれないが許して欲しい。

自分も泣いて謝っている為、とても煩いが、団長の部屋の外がやけに騒がしいのに気付いた。

「しまった!ヤバい!坊主、泣き止め。団長は怒ってないから大丈夫だ。団長、怒ってないですよね!?」

今まで笑っていたルイが慌てている。

「あぁ!!怪我してないかい?こんな高い所から飛ぶなんて。怒ってなんかいないよ。何処が痛いの?あんよ?おてて?」

団長に優しく抱き起こされてしまった。

「あぁ…お膝とおでこが赤くなってるじゃないか。すぐに治療しようね」

魔法だろうか。
手を当ててくれた場所から痛みが引いていく。

「あんよの裏に血がついてる。こんなに小さいあんよが…痛かっただろうに」

足の裏まで治してもらった。

「だんちょ、ごめんちゃいぃ」

高級そうなハンカチで顔も拭いてくれる。

「あんまり可愛いコロポックルだったから、人間だなんて信じられなくて。思考が止まっちゃったんだ。私もごめんよ」

団長は物凄く良い人だった。

「だーいーじょーぶだー!坊主は元気だ!心配ないぞー!」

ルイが団長室の窓から叫んでいる。
もしかしたら外が騒がしいのは例の3匹が原因かもしれない。
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