ようこそ異世界へ！男子水泳部員共

5話 ついてた

「え！？どこも……っておい！！なんじゃこりゃ～～！」

「どうした！？翔！」

「手…手が…俺の左手が……」

翔の左手を見ると、シワシワで爪が長い。

「こ、これって！鬼の手！？」

「ぬ～べ～みたい」

「ほっほっほっ！それは魔女の手じゃ。えげつない魔力が封じ込まれておる。ありとあらゆる魔法が使えるじゃろう！この魔法の杖もお主に授けよう」

「やったー！魔法使える俺様、かっこよすぎる！はーっはっはっはー！」

「あれ？翔だけ？」

「ほれ！湊の目を見てみろ。綺麗な緋色をしておるじゃろ。サキュバスの瞳じゃ。こちらもなかなかの魔力を秘めておる。」

「ほんとだ！すげぇー綺麗！」

「えー自分じゃ見えないからわからないよぉ」

「うん、湊にめっちゃ似合ってる」

ぐはっ！可愛い過ぎて直視できん。落ち着け俺。

「ところで太一は何か変わった？」

「太一の背中を見てみ！ドラゴンの翼じゃ！普段は小さくなっておるが、いざ空を飛ぶ時は大きくなるぞ！そしてドラゴンの力もお主に備わり、力が強くなっておるはずじゃ！皆の盾となることじゃろ」

「ほんとだ！太一の背中の筋肉かと思ったら違う！」

「ちょうど肩甲骨サイズになってる」

「うおーっ！カッコいい！よし！じゃあ、最後は俺だな！俺どこ変わったんだ？」

「よし！雅人よ、お主の足を見てみ」

「え？足？……別にどこも変わってない気がするんだけど」

 全然いつもの自分の足だ。すね毛が少し増えた？いや、それ誰のすね毛だよ！ぜってー違うし。わかんね。

「ほれ！足の指！」

「え？……あーっ！」

よく見ると足の指の間に水かきのようなものがある。

「半魚人の水かきじゃ」

「えーーー！これだけ！？地味っ！」

「いつもより少し速く泳げるのじゃ⭐」

「少し！？この能力弱すぎっ！他のやつらチートだろ！俺のなんなんだよ！」

「はいはいはい、そうなると思ってましたー。じゃあ、お主には剣士になってもらおう！」

「キタキタキタ！それそれ！そういうやつだよ！勇者といえば剣士だぜ！」

「ではこの剣を授けよう！これ、『つっこみ剣』ね」

「何だよこれ！」

「カッコ悪！」

「ウケる！」

「よっ！つっこみ剣士！」

 「こんな剣、笑いの掴みはOKだけど、ぜってー弱いだろ」

「お主のツッコミの切れ味が上がれば、自ずと剣のキレも上がる。我ながらよくできたと思う」

「つるぺた女神！お前が作ったんかい！」

「いらないんならいいんだよ～水かきだけで頑張ってね～⭐」

「あーごめんごめん！水かきだけじゃ不安すぎだわ。ください。お願いします」

「わかればよろしい！」

「つるぺた女神様、１つ質問が」

「つるぺた言うな！何だ質問とは」

「この手とか目とか翼とかって、元の持ち主を殺して奪いとったものなのか？」