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6話 じゃなくて
しおりを挟む「ただいまーー!慧いる?手伝ってーー!」
シェアハウスに住む他の住人が帰ってきた。
「はーい!今行くよーー!」
慧は沙羅に優しく微笑み
「そこに新しい服用意したから着てね」
と言うと脱衣場から出ていった。
沙羅は我に帰った。まだ頭の整理がつかない。
「俺なんで興奮しちゃったんだろ…上京してから一回も彼女できてないからか?恥ずかしすぎる」
少しサイズの大きな服を着るとその服から慧の匂いがした。
(いい匂い…)
沙羅は体が熱くなってくるのを感じた。
「沙羅くん、こっち来てくれる。紹介するよ」
沙羅が行くと綺麗な髪の色をしたセクシーな顔立ちの男がいた。
「こちらはこれから一緒にシェアハウスに住む沙羅くん」
「どうぞよろしくお願いします」
「こちらは黒崎 優希(くろさき ゆうき)くん」
「初めまして!俺のことは『ゆう』て呼んで。これからよろしく!」
気さくな感じの優希に沙羅は安心した。
さっきまでのことが川のようにさーっと流れていって、夢でも見ていたかのような、現実ではない感じがした。
「ねぇ、慧。2人ともお風呂場からきたけど、何かあったの?」
優希の目付きが鋭くなった。
沙羅は一気にさっきのことを思い出し、夢ではなかったことを突きつけられ、顔が真っ赤になった。
「あ~沙羅くんに熱いコーヒーがかかっちゃってシャワーして着替えてもらったんだ」
慧は何事もなかったかのように普通に答えた。
「へーそうだったんだ。大丈夫?それで、慧は彼の裸見たんだ」
(は!?何を言い出すんだぁぁぁーー!!!)
沙羅は心の中で絶叫していた。
「うん。見たよ」
(えーーっ!!はっきり答えたぁーー!!)
もう沙羅の心の中はぐちゃぐちゃだ。
「そこまで酷い火傷にはなってなかったよ」
「じゃなくて」
(じゃなくてーーー!?)
「あ、あの、俺夜からバイトあるんで帰ります。」
沙羅は一刻も早くこの場を立ち去りたくなった。
「そっか、じゃあ送るよ!また引っ越しできる日教えて!部屋は空けてあるからいつでも大丈夫」
「はい、荷物少ないから次の日曜日にでも来れそうです」
ほんとにここへ来ていいのか……一抹の不安を抱える沙羅であったが、自宅へ帰ると、どうしよもない現実がそこにあった。
「もう、あのシェアハウスに行くしかないんだ」
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