秘密のYouTuber

ミズトキ クリコ

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6話 じゃなくて

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「ただいまーー!慧いる?手伝ってーー!」

 シェアハウスに住む他の住人が帰ってきた。


「はーい!今行くよーー!」


 慧は沙羅に優しく微笑み

「そこに新しい服用意したから着てね」

と言うと脱衣場から出ていった。


  沙羅は我に帰った。まだ頭の整理がつかない。

「俺なんで興奮しちゃったんだろ…上京してから一回も彼女できてないからか?恥ずかしすぎる」

少しサイズの大きな服を着るとその服から慧の匂いがした。

(いい匂い…)

沙羅は体が熱くなってくるのを感じた。


「沙羅くん、こっち来てくれる。紹介するよ」

 沙羅が行くと綺麗な髪の色をしたセクシーな顔立ちの男がいた。

「こちらはこれから一緒にシェアハウスに住む沙羅くん」

「どうぞよろしくお願いします」

「こちらは黒崎 優希(くろさき ゆうき)くん」

「初めまして!俺のことは『ゆう』て呼んで。これからよろしく!」

 気さくな感じの優希に沙羅は安心した。
さっきまでのことが川のようにさーっと流れていって、夢でも見ていたかのような、現実ではない感じがした。

「ねぇ、慧。2人ともお風呂場からきたけど、何かあったの?」

 優希の目付きが鋭くなった。
沙羅は一気にさっきのことを思い出し、夢ではなかったことを突きつけられ、顔が真っ赤になった。

「あ~沙羅くんに熱いコーヒーがかかっちゃってシャワーして着替えてもらったんだ」

慧は何事もなかったかのように普通に答えた。

「へーそうだったんだ。大丈夫?それで、慧は彼の裸見たんだ」

(は!?何を言い出すんだぁぁぁーー!!!)

沙羅は心の中で絶叫していた。

「うん。見たよ」

(えーーっ!!はっきり答えたぁーー!!)

もう沙羅の心の中はぐちゃぐちゃだ。

「そこまで酷い火傷にはなってなかったよ」

「じゃなくて」

(じゃなくてーーー!?)

「あ、あの、俺夜からバイトあるんで帰ります。」

沙羅は一刻も早くこの場を立ち去りたくなった。

「そっか、じゃあ送るよ!また引っ越しできる日教えて!部屋は空けてあるからいつでも大丈夫」

「はい、荷物少ないから次の日曜日にでも来れそうです」

ほんとにここへ来ていいのか……一抹の不安を抱える沙羅であったが、自宅へ帰ると、どうしよもない現実がそこにあった。


「もう、あのシェアハウスに行くしかないんだ」


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