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198 人間のクズ

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はい、今日も今日とてお仕事お仕事。

エレンさんの見送りで、カッターナを一日空けていましたが、たった一日で新たに問題が起こり……やがったよ。

 早朝、元奴隷商の館であり、今ではカッターナの第二の拠点となっている屋敷へ足を運べば、待ってましたと言わんばかりのエッジさんに連れられ、屋敷の中で一番の広間に通される。

「……で? こいつ等、何?」
「おっかねぇなぁ。そう凄まねぇでくれよ、旦那」

目の前には、手足を拘束され、身動きのできないケルド ケルド ケルド……

「一晩で侵入してきた人間だ」
「はぁ~~~~~……全部で何体?」
「全部で37人。チームで言えば15組ってところだな」

 ここはゴキブリホイホイじゃ無いんですがねぇ……初日でこれとか、計画も下調べも無しに侵入しましたね? なんて無謀な。
 そもそも、他人の敷地に無断で入る事に、躊躇いが無さすぎるでしょう。

「まぁ、人間だからねぇ……人間以外は家畜とでも思ってんじゃねぇ?」

 ………………否定できねぇ。 あぁもう、朝っぱらから、面倒な仕事を持ち込みやがって。
そもそも、こいつ等は何で侵入してきたんですかねぇ。

「そりゃ旦那。あれだけの物をポンっと市場に、それも大量に出せば、馬鹿だって金の匂いを嗅ぎ付けるってもんだろ」

だからって、限度があるでしょう……入って行った奴が戻って来なければ、警戒位するでしょうに。感知なんて便利なスキルが有るんだから、出て来ているかどうか、分かりそうなもんですがねぇ。

「警戒してこれだと思うぜ? 鼻が利いても馬鹿だからな。鼻と頭がいい奴は、この中には見当たらねぇしな」
「と、言いますと?」
「誰にも雇われて居ない、その日暮らしの野良野郎って事だ」

 成る程成る程……じゃぁ、放置で良いか。あ、でも、皆さんに迷惑が掛かってはいけないので、護衛を増やして置きましょう。
裏で処分しても良いのですが、それだと表で絡んでくる相手は処理できない。ここでは、人間が優遇され、他は下等生物扱いですからね。俺の領域内ならどうとでもできますが、営業妨害は避けたい。そこら辺の、相手を害することに限っては、優秀そうですもんね。
ちょっと威圧できる、且つ人族とコミュニケーションが取れる子を、表の護衛として募集でも掛けておきましょう。興味がある子は、少なく無いはずです。

裏については、放って置けばその内警戒して、入って来なくなりそうですね。因みに、ケガをしたり、何か取られたり、壊されたりしたものはありますか? 無いですか、それは良かった。

「で? あなた達は何故「臭っせぇ口で、人間様に話しかけてんじゃねぇぞ! あぁ!?」……」

 …………イラ。

「さっさと外せ、劣等種共。今なら命は助けてやるよ」
「いひひひ、人間様に手を出した時点で、お前らは終わりだがな!」
「馬鹿な連中だ、これだからゴミ共は、学習ってもんをしねぇ。自分がどれだけ優遇されてるか分かってねぇんだからな!」
「俺たち人間に奉仕できる権利を無下にしやがって、お前らだけじゃねぇ、親も子も全員犯罪者だ、あっははははは!」

 許可なく、身勝手に、各々見下した態度を崩すことなく、愉悦と侮蔑の感情を隠しもせずに口を開く……何言ってんだこいつら?

「旦那」

 エッジさんが、困った顔でこちらに伺いを掛けてくる。エッジさんも何を言っているか分からない、え、違う? ま、良いや。

「ん。確か奴隷の首輪が、大量に在庫されて居ましたよね?」
「あぁ、そりゃここは奴隷商だったからな…って、旦那、まさか」

 面倒ですから、あの肉塊と同じ扱いで良いでしょう。今は土地と情報の取得が最優先なので、派手には使えませんが、その内使い道も出できそうですしね。

「馬鹿だ! 馬鹿が居るぞ!」
「俺達は人間だぞ、これだから下等生物の家畜は、頭の中までゴミか!」

はぁ、そっすか。

「俺らに手を出した時点で、お前らは終わりなんだよ!」
「なんで?」
「あああああ! さっさとしろって、言ってんだろうがぁ!! ゴミが!!」
 
 話が通じなくて苛立ったのか、会話を放棄して暴れ出す人間ケルド。不快なのは、こっちの方なのですがねぇ……。

「旦那、人間に手を出した時点で、そいつは犯罪者として処分されるんだよ」
「その土地のルールで?」
「その土地のルールで、だな……あ、ここなら関係無いのか」

 ですです、ここは俺の領域。俺が定めたルールが適応されます。
 それに、雇われて侵入してきた奴はいないのでしょう? だったら、こいつ等がどうなろうと、誰もツッコミを入れて来ないでしょう。うん、何の問題も無い!

「この気狂いが!」
「死ね!」
 
 突然、二体の人間ケルドが拘束を外し、俺に向けて真っ直ぐ向かって来た。手には、小型のナイフがありますね。あれで拘束を切ったのでしょう。
 その行動を見て、周りで警戒していた護衛達が一斉に動き出す。ほうほう、いい反応しますね、これならここに到着する前に、無効化できるでしょう。

そんな事を、<思考加速>で引き延ばした感覚の中で感じ取っていると、彼等が取り押さえる前に、人間ケルドの頭がぐちゃりと、音を立てながら潰れた。

「ゴトーさ~ん?」
「申し訳ありません、マイロード。余りに聞くに堪えない声だった為、つい手が」

 もう、人間ケルドだって資源なんですよ? ちょっと汚くて、キモくて、臭くても、有効活用しないとダメじゃないですか。
ま、一体二体程度なら良いですがね。こいつ等の命より、皆さんの精神安定の方が大事ですから。

残った奴らは、向かって行った奴がアッサリ死んだことが信じられないようで、混乱と驚愕に染まり上がっていた。手を出して来たことが、心底理解できない様だ。まぁ、静かになったなら、それで良いか。

「ま、待て! そうだ、俺をこ、殺、いや、逃がしてくれたら、凄い奴だって、コックチー様に紹介「要らん」へ? へぶ!?」

 いい加減気持ち悪くなってきたので、頭を踏み付ける事で物理的に黙らせる。こっちは、お前らの近くに居るだけで、不愉快なんだよ。

「お前らは、頭の天辺から足の先まで、全てにおいてゴミだ、生きているだけで有害だ、存在自体が罪だ。汚物に塗れたコネなんぞ、何の価値も無い」
「や! やべて!?」

 ミシミシと軋む音を無視して、そのまま足に力を籠める。ぶちゅりと不快な音を立てながら、辺りに汚物を撒き散らし、折角皆が用意してくれた靴を汚してくる……ッチ。死んだ時まで不愉快にさせやがって。

「マイロード。ここは、私めが処分して置きますゆえ、お部屋にお戻りになられてはどうでしょうか」

ゴトーさんが退室を進めて来る。これは、心配をさせてしましましたかね。
表情は変わりませんが、配慮と不安が入り混じった様な感情をして居る。周りの人達からも、遠慮がちな視線を向けられているし、
 ぐぬぬ、これは上司として、明らかな失態ですね。ちょっと口調が乱暴になってたっぽいですし…ここは、素直に従っておきましょう。

「うん、後は全部任せた」
「御意」

 ゴトーさんの勧めに従い、そそくさとその場を後にする。
人間ケルドのくっさい匂いも染み付くし、見てるだけで気持ち悪いし、これ以上近くに居ると、ストレスで体調不良になりそうだ。
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