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197 【影】
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~ピピピ・ピピピ・ピピピ~
~おはようございます、マスター~
~領域より25,500 DPを回収しました~
~侵入者を撃退し、46,450 DPを取得しました~
~所持DPの端数を利用し、世界樹に対して<成長>を執行します~
~所持DPの超過分を利用し、<深化>を使用します~
~迷宮化が終了しております~
―――
さてと。カッターナは暫く様子見ですね。考えうる嫌がらせの対策はして置きましたが、ここは異世界ですからね。俺が思いもよらない方法を取る可能性はありますし、注意は配っておきましょう。
そして今日は、回復したエレンさんが漸く帰還することとなったので、その見送りと、物資の搬入準備をして居るところです。
この日の為に用意した荷車と籠に、どんどん資材が積み込まれていく。主に、食料と瘴気を払う薬がメインですね。あ、後は芸術品関係のお土産と、魔力結晶も有りました。
編成としては、荷車を引く、踏ん張りが効く足の速い子達と、籠を持って飛ぶ、長距離の飛行が可能な子達。それらの護衛として、接近された時用に、小回りと殲滅力が高い子と、範囲攻撃対策に、魔法関係が得意な子達が付く。
今までも遊び感覚で、護衛対象に触れさせないで目的地点まで移動する、鬼ごっこの亜種とか、目的地点を一定時間占領するとか、この手の事に経験が無い訳では無かったりする。まぁ、これだけの大規模移動は初めてですが、護衛を多めに着けたので大丈夫でしょう。
これで駄目なら、俺はダンジョンに引き籠りますからね!
~ 【転移門・北塔】の迷宮化が終了しました ~
「お、では<門>の設置をお願いします」
~ 了解、50,000DPを使用し、迷宮【転移門・北塔】に<門>を設置します ~
竜族一行が訪れてから、今日の為に新たに造っていた塔を迷宮化し、そこに<門>を設置する。折角の機能です、有効利用したくなるのが、人情ってモノでしょう。これによって、迷宮内部から、領域の端まで直ぐに移動できるので、移動時間が短縮できます。世界樹さんから森の中を突っ切って移動するのは、大変ですからね。
毎回フワフワさんに運搬をお願いして居ては、防衛力の低下を招きますし、他の子がやれるなら、そっちに仕事を廻した方が良いでしょう。やりたいとも言われましたしね。
「主、姉御! 来たぞ~」
「ん」
護衛のメインを張る、噴竜さんと、斬竜さんも到着した。
噴竜さんには、近づいてくる外敵を上空から一掃してもらい、斬竜さんには、先頭を切って進行方向の外敵を排除してもらう予定です。これにルナさんを加え、遊撃してもらいながら、他の子に細かい所を補う形になる。
これで、大体の準備は済みましたかね。
そして、今日のメインであるエレンさん達はと言うと……
「うわぁん。ルナちゃ~ん」
「もう、エレンお姉様は大袈裟ですわ」
「だって、だって、初日以外殆ど会えなかったんだもの!」
「エレン様が興奮するからです」
「面会謝絶、だっけ~?」
この発情ドラゴンは……ルナさんが会いに行くと、医者の命令も聞かず動き回るもんだから、拘束して会えない様にしていたのだ。その反動なのか、今は泣きながらルナさんをスーハ―スーハ―している。欲望を隠そうとしなくなっていますね、この駄竜は……この期に及んで自分から触れようとしないとは、ヘタレなのか紳士なのか。
「お~い、エレンさーん。もうそろそろ出発しますよ~」
「何か、名前の中に悪意を感じたんだけど!?」
「ははは、気のせい気のせい」
元気そうで何よりです。一時期、半端に回復して麻痺していた痛覚が戻った時なんて、痛みでのた打ち回って居ましたからね。
「えっと、その、ダンマスもありがとうね。治療とか世話とか……他にも色々」
ばつが悪そうにしながらも、礼を言って来るエレンさん。人生相談ならぬ、竜生相談とかもしていましたからね。安心して下さい、内容は言いませんよ。これでも口は堅い方ですからね。
「お世話になりました」
「また来るね~」
「はい、いつでもお持ちしております」
シスタさんとテレさんとも挨拶を終える。
まぁ、皆さんエディさんに、親善大使的なポジションで扱われている感があるので、一旦帰っても、すぐにまたこっちに戻って来そうですけどね。
「準備完了、いつでも出られます!」
荷を積み終えた子達が、門の前に整列し終わる。そして<門>が開き、北の塔へ続く道が開かれる。
「行ってらっしゃい、気を付けて下さいね」
「「「はーーーい」」」
―――
【世界樹の迷宮】の西に南北に連なる山脈の頂。その切立った斜面に空いた小さな穴から、新たに出来た塔を観測する者達が居た。
「こちら影七番、現在異常事態発生、ど~ぞ」
(あ~、こちら本部、異常事態ならもう少し緊張感を出せ。状況説明を求む)
彼等の名前は【影】、その七番隊。エスタール帝国の裏の情報網を担う、隠密、観察のスペシャリストである。
そんな彼等が居る場所は、未だに迷宮の領域と成っていない地中。
その為、上空から観測されることも無く、魔法と魔道具、スキルによって掛けられた二重三重の隠蔽が彼等の存在を覆い隠し、この数日間、誰に見つかる事も無く、スタンピードの発生源だと思われる森の観測を続けていたのだ。
そして今、滅多に使われる事のない<念話>の魔道具によって、遠方の対となっている魔道具に向け、通信が行われていた。
「例の塔から、魔物が溢れ出した」
(スタンピードか!?)
周囲の高く深い森の木々よりも高い、灯台のように頂上が光る塔。
数日前より、複数の魔物が寄り集まり、昼夜問わず造り上げたこの円錐状の塔は、螺旋を描くようにスロープが備え付けられており、頂上の広場と思わしき空間から、その規模以上の魔物の大群が、空に、大地に、群れを成しながら溢れ出していたのだ。
その報告を受けたエスタールの本部に、緊張が走る。
つい二カ月程前に、スタンピードが起きたばかりである。再発したと思ってもおかしくないだろう。
しかし、観測を行っていた【影】達は、慌てることなく、冷静にその姿と行動を観察していた。
「い~や~……これは、真っ直ぐ北に向かって行っているな。何かしらの目的が有って行動しているように見える。列を乱すことなく、一定の間隔で走ってるな。上空を飛んで行ってる奴も同じだ」
「付け加えるのでしたら、群れの中でもチームが分かれてる感じですね。地上は土煙で見難いですが、上空の魔物を見ると良く分かります。ほら、5体1チームで飛んでますよ」
「二体が何か持って居ますね。他がその個体を庇う様に飛んで、もう一体が上空から周囲を警戒している感じでしょうか」
「……荷運び、か?」
「誰かが使役している? あの大群を?」
通常、魔物と言うものは自分勝手に行動する。群れで行動する種もいるが、大半は同種の魔物としか動かない。
多種多様な種族が入り混じり、完璧な統率の元に行動するなど、まずありえない。それこそ、何者かがそれ用に調教し、使役でもしなければ不可能だろう。
(ダンジョンの魔物は外に出ると、統率が取れなくなると聞いていたが?)
「それは、今までの統計からそう判断しただけじゃ無かったか?」
実際、ダンジョン内では統率の取れていた魔物達が外に出ると、野生の魔物と同じように、自分勝手に行動するのが通常だ。その姿を見て、ダンジョンの何かが、その魔物達を支配しているからではと仮説を立てているが、仮説は仮説である。理由が証明された訳では無く、例外が有っても何らおかしくない。
「ん?」
(どうした?)
「あれは……人か?」
<望遠>の魔道具を通して、塔の頂上を観測する者の目に、人らしき姿が映り込む。
黒髪の若い男。仕立ての良い黒い服を身に纏い、魔物だらけの中で、その姿は明らかに浮いていた。
そして、4~5mはあろう巨体が三体、その横の影から現れ、更に二体、脇をすり抜ける様にして、飛び出す。
一体は地上を滑る様に駆け、あっと言う間に群れの先頭に到着し、一体は上空を飛ぶ群れの更に上空に陣取り、共に群れの一部となる。
「おいおい、ありゃ竜族じゃねぇか。それも五体もかよ」
「竜……竜の谷ですか」
「このコースから行くと、多分な」
残った三体の竜族は、黒髪の人族と一言二言話したかと思えば、人族をその場に置いて飛び立っていく。
「あ、小さい竜も居た」
「合計六体だな」
飛び去った竜族を見送り、塔から飛び立つ魔物の群れと、螺旋状に降りていく魔物達を眺めていた黒髪の人族は、唐突に顔をピクリと上げ、視線を彷徨わせる。
「あ」
そして、黒髪の人族と彼等の視線が交差する。眉を寄せながら小首をかしげる黒髪だが、何かに気付いた様にハッとしたかと思えば、にっこり微笑みながら、明らかに彼等に向けて、控えめに片手を振ってきた。
「あ、バレたわ。撤収撤収」
(戻れるか?)
「あ~~~……まぁ、敵意も無さそうだし大丈夫だろ。刺激しない且つ迅速に逃げるぞ」
「「「了解」」」
そそくさと身支度を整える【影】。
装備や魔道具を回収し、穴を<土魔法>で埋め立てながらその場を後にする。山頂の反対側に空いた出入口まで全て埋め立てると、殆どの物理的魔力的証拠を消し去り、そのまま逃走を開始する。
彼等は【影】。隠密のエキスパート。それこそ、視界に入ったとしても、見つけることができない程に、その姿、気配を捕らえるのは至難の業である。
彼等は、無事に逃走を果たすだろう。その見聞きした情報を持って。
―――
「……逃げちゃった」
(どうしたの~?)
「なんでも無いですよ」
あれは、追いかけても無駄足になるでしょうね。敵意も無かったですし、下手に追いかけて、必要以上に警戒されるぐらいなら、そのまま帰して仕舞いましょう。
しかし、気配薄かったな~。感情が見えなかったら、勘違いで済ませて仕舞うところです。人間以外の人種は、侮れないですね~。あ~怖い怖い。
~おはようございます、マスター~
~領域より25,500 DPを回収しました~
~侵入者を撃退し、46,450 DPを取得しました~
~所持DPの端数を利用し、世界樹に対して<成長>を執行します~
~所持DPの超過分を利用し、<深化>を使用します~
~迷宮化が終了しております~
―――
さてと。カッターナは暫く様子見ですね。考えうる嫌がらせの対策はして置きましたが、ここは異世界ですからね。俺が思いもよらない方法を取る可能性はありますし、注意は配っておきましょう。
そして今日は、回復したエレンさんが漸く帰還することとなったので、その見送りと、物資の搬入準備をして居るところです。
この日の為に用意した荷車と籠に、どんどん資材が積み込まれていく。主に、食料と瘴気を払う薬がメインですね。あ、後は芸術品関係のお土産と、魔力結晶も有りました。
編成としては、荷車を引く、踏ん張りが効く足の速い子達と、籠を持って飛ぶ、長距離の飛行が可能な子達。それらの護衛として、接近された時用に、小回りと殲滅力が高い子と、範囲攻撃対策に、魔法関係が得意な子達が付く。
今までも遊び感覚で、護衛対象に触れさせないで目的地点まで移動する、鬼ごっこの亜種とか、目的地点を一定時間占領するとか、この手の事に経験が無い訳では無かったりする。まぁ、これだけの大規模移動は初めてですが、護衛を多めに着けたので大丈夫でしょう。
これで駄目なら、俺はダンジョンに引き籠りますからね!
~ 【転移門・北塔】の迷宮化が終了しました ~
「お、では<門>の設置をお願いします」
~ 了解、50,000DPを使用し、迷宮【転移門・北塔】に<門>を設置します ~
竜族一行が訪れてから、今日の為に新たに造っていた塔を迷宮化し、そこに<門>を設置する。折角の機能です、有効利用したくなるのが、人情ってモノでしょう。これによって、迷宮内部から、領域の端まで直ぐに移動できるので、移動時間が短縮できます。世界樹さんから森の中を突っ切って移動するのは、大変ですからね。
毎回フワフワさんに運搬をお願いして居ては、防衛力の低下を招きますし、他の子がやれるなら、そっちに仕事を廻した方が良いでしょう。やりたいとも言われましたしね。
「主、姉御! 来たぞ~」
「ん」
護衛のメインを張る、噴竜さんと、斬竜さんも到着した。
噴竜さんには、近づいてくる外敵を上空から一掃してもらい、斬竜さんには、先頭を切って進行方向の外敵を排除してもらう予定です。これにルナさんを加え、遊撃してもらいながら、他の子に細かい所を補う形になる。
これで、大体の準備は済みましたかね。
そして、今日のメインであるエレンさん達はと言うと……
「うわぁん。ルナちゃ~ん」
「もう、エレンお姉様は大袈裟ですわ」
「だって、だって、初日以外殆ど会えなかったんだもの!」
「エレン様が興奮するからです」
「面会謝絶、だっけ~?」
この発情ドラゴンは……ルナさんが会いに行くと、医者の命令も聞かず動き回るもんだから、拘束して会えない様にしていたのだ。その反動なのか、今は泣きながらルナさんをスーハ―スーハ―している。欲望を隠そうとしなくなっていますね、この駄竜は……この期に及んで自分から触れようとしないとは、ヘタレなのか紳士なのか。
「お~い、エレンさーん。もうそろそろ出発しますよ~」
「何か、名前の中に悪意を感じたんだけど!?」
「ははは、気のせい気のせい」
元気そうで何よりです。一時期、半端に回復して麻痺していた痛覚が戻った時なんて、痛みでのた打ち回って居ましたからね。
「えっと、その、ダンマスもありがとうね。治療とか世話とか……他にも色々」
ばつが悪そうにしながらも、礼を言って来るエレンさん。人生相談ならぬ、竜生相談とかもしていましたからね。安心して下さい、内容は言いませんよ。これでも口は堅い方ですからね。
「お世話になりました」
「また来るね~」
「はい、いつでもお持ちしております」
シスタさんとテレさんとも挨拶を終える。
まぁ、皆さんエディさんに、親善大使的なポジションで扱われている感があるので、一旦帰っても、すぐにまたこっちに戻って来そうですけどね。
「準備完了、いつでも出られます!」
荷を積み終えた子達が、門の前に整列し終わる。そして<門>が開き、北の塔へ続く道が開かれる。
「行ってらっしゃい、気を付けて下さいね」
「「「はーーーい」」」
―――
【世界樹の迷宮】の西に南北に連なる山脈の頂。その切立った斜面に空いた小さな穴から、新たに出来た塔を観測する者達が居た。
「こちら影七番、現在異常事態発生、ど~ぞ」
(あ~、こちら本部、異常事態ならもう少し緊張感を出せ。状況説明を求む)
彼等の名前は【影】、その七番隊。エスタール帝国の裏の情報網を担う、隠密、観察のスペシャリストである。
そんな彼等が居る場所は、未だに迷宮の領域と成っていない地中。
その為、上空から観測されることも無く、魔法と魔道具、スキルによって掛けられた二重三重の隠蔽が彼等の存在を覆い隠し、この数日間、誰に見つかる事も無く、スタンピードの発生源だと思われる森の観測を続けていたのだ。
そして今、滅多に使われる事のない<念話>の魔道具によって、遠方の対となっている魔道具に向け、通信が行われていた。
「例の塔から、魔物が溢れ出した」
(スタンピードか!?)
周囲の高く深い森の木々よりも高い、灯台のように頂上が光る塔。
数日前より、複数の魔物が寄り集まり、昼夜問わず造り上げたこの円錐状の塔は、螺旋を描くようにスロープが備え付けられており、頂上の広場と思わしき空間から、その規模以上の魔物の大群が、空に、大地に、群れを成しながら溢れ出していたのだ。
その報告を受けたエスタールの本部に、緊張が走る。
つい二カ月程前に、スタンピードが起きたばかりである。再発したと思ってもおかしくないだろう。
しかし、観測を行っていた【影】達は、慌てることなく、冷静にその姿と行動を観察していた。
「い~や~……これは、真っ直ぐ北に向かって行っているな。何かしらの目的が有って行動しているように見える。列を乱すことなく、一定の間隔で走ってるな。上空を飛んで行ってる奴も同じだ」
「付け加えるのでしたら、群れの中でもチームが分かれてる感じですね。地上は土煙で見難いですが、上空の魔物を見ると良く分かります。ほら、5体1チームで飛んでますよ」
「二体が何か持って居ますね。他がその個体を庇う様に飛んで、もう一体が上空から周囲を警戒している感じでしょうか」
「……荷運び、か?」
「誰かが使役している? あの大群を?」
通常、魔物と言うものは自分勝手に行動する。群れで行動する種もいるが、大半は同種の魔物としか動かない。
多種多様な種族が入り混じり、完璧な統率の元に行動するなど、まずありえない。それこそ、何者かがそれ用に調教し、使役でもしなければ不可能だろう。
(ダンジョンの魔物は外に出ると、統率が取れなくなると聞いていたが?)
「それは、今までの統計からそう判断しただけじゃ無かったか?」
実際、ダンジョン内では統率の取れていた魔物達が外に出ると、野生の魔物と同じように、自分勝手に行動するのが通常だ。その姿を見て、ダンジョンの何かが、その魔物達を支配しているからではと仮説を立てているが、仮説は仮説である。理由が証明された訳では無く、例外が有っても何らおかしくない。
「ん?」
(どうした?)
「あれは……人か?」
<望遠>の魔道具を通して、塔の頂上を観測する者の目に、人らしき姿が映り込む。
黒髪の若い男。仕立ての良い黒い服を身に纏い、魔物だらけの中で、その姿は明らかに浮いていた。
そして、4~5mはあろう巨体が三体、その横の影から現れ、更に二体、脇をすり抜ける様にして、飛び出す。
一体は地上を滑る様に駆け、あっと言う間に群れの先頭に到着し、一体は上空を飛ぶ群れの更に上空に陣取り、共に群れの一部となる。
「おいおい、ありゃ竜族じゃねぇか。それも五体もかよ」
「竜……竜の谷ですか」
「このコースから行くと、多分な」
残った三体の竜族は、黒髪の人族と一言二言話したかと思えば、人族をその場に置いて飛び立っていく。
「あ、小さい竜も居た」
「合計六体だな」
飛び去った竜族を見送り、塔から飛び立つ魔物の群れと、螺旋状に降りていく魔物達を眺めていた黒髪の人族は、唐突に顔をピクリと上げ、視線を彷徨わせる。
「あ」
そして、黒髪の人族と彼等の視線が交差する。眉を寄せながら小首をかしげる黒髪だが、何かに気付いた様にハッとしたかと思えば、にっこり微笑みながら、明らかに彼等に向けて、控えめに片手を振ってきた。
「あ、バレたわ。撤収撤収」
(戻れるか?)
「あ~~~……まぁ、敵意も無さそうだし大丈夫だろ。刺激しない且つ迅速に逃げるぞ」
「「「了解」」」
そそくさと身支度を整える【影】。
装備や魔道具を回収し、穴を<土魔法>で埋め立てながらその場を後にする。山頂の反対側に空いた出入口まで全て埋め立てると、殆どの物理的魔力的証拠を消し去り、そのまま逃走を開始する。
彼等は【影】。隠密のエキスパート。それこそ、視界に入ったとしても、見つけることができない程に、その姿、気配を捕らえるのは至難の業である。
彼等は、無事に逃走を果たすだろう。その見聞きした情報を持って。
―――
「……逃げちゃった」
(どうしたの~?)
「なんでも無いですよ」
あれは、追いかけても無駄足になるでしょうね。敵意も無かったですし、下手に追いかけて、必要以上に警戒されるぐらいなら、そのまま帰して仕舞いましょう。
しかし、気配薄かったな~。感情が見えなかったら、勘違いで済ませて仕舞うところです。人間以外の人種は、侮れないですね~。あ~怖い怖い。
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