ブチ切れ世界樹さんと、のんびり迷宮主さん

月猫

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164 竜王とダンマス⑧(決着)

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何度も手足をもがれ、再生を諦めたら鱗を剥ぎ取り、骨を砕き、肉を抉る。
自然回復までは抑えられないですからね。<流血>も相まって、嫌でもリソースを削られる。

「フン! 取り敢えず、こんなもんですわね」

そして、今の状態がこちら。

名称:激竜
氏名:ゴドバルド
分類:半虚現体
種族:竜族
LV:  23 / 50 <流血(大)><欠損(大)><幻覚(大)><錯乱(大)><乱魔(大)>
HP: 213 / 7437 
SP: 12 / 7583 
MP:  5 / 2462 
筋力:6111 (-2500)
耐久:3550 (-2000)
体力:3550 (-2000)
俊敏:3550 (-2000)
器用:3550 (-2000)
思考:1100 (-1000)
魔力:1100 (-1000)
適応率:10(Max100)
変異率:10(Max100)
スキル
・肉体:<竜鱗LV5><竜爪LV5><竜牙LV5><竜骨LV5>
・技術:<魔力操作LV3><身体操作LV3><飛行LV3><跳躍LV3>
・技能:<身体強化LV2><全力攻撃LV5><威圧LV5><自己回復LV3>
称  号:<捕食者><同族殺し><共食い>

う~ん、状態異常によるバットステータスも有って、ボロボロである。<枯渇>や<崩壊>まで行っていないので、死ぬことは無いでしょうけど。

しかし、これだけのステータスさが在って、負けるとはね~。やっぱりステータスは、参考程度にしかなりませんね。

LV5を超えたスキルが無いのも特徴ですね。
スキルのLV5は、言わば一種の壁。何もしないで至れる限界値。これを超えるかで、その者の在り方が見えると言うものです。そしてトカゲモドキは軒並みLV5以下。何もやってねぇな、こいつ。更に称号についても、碌なもんが見当たらないですね。

「お父様。終わりましたわ!」
「うん、ご苦労様でした。憂さは晴れましたか?」
「う~ん、まぁまぁですわね。後はお任せ致しますわ」

それでは、後は裏方さんに任せましょうか。回復しない様に、適度に削り続けて貰いましょう。

(物理的に削るなり、魔石の中の魔力DPを直接吸うなり、やり方はお任せします、障壁も解除してください)
(((了解!)))

広場を覆っていた障壁が消え、通路からワラワラと裏方組が会場に現れる。うむうむ、ご苦労様です。
その様子見をしていたルナさんは、問題ないと判断したのか、こちらに飛んでーーー

「お父様~~~、勝ちましたわ~~~」
「ぐっふぅ!?」

―――そのまま俺に突っ込んできた。
痛くはない、痛くは無いですけど、衝撃は感じるんですって。うっぷ、気持ち悪い……

「凄いね、ゴドバルドに正面から当たって勝つなんて」
「ルナちゃん、こんなに強かったの?」
「ふふん、当然の結果ですわ」

 エディさんとエレンさんの言葉に、余裕の態度を示すルナさん。見栄っ張りなんですから。

「ま…まぁ、このダンジョンの中で、個としての最高戦力ですからね」
「クワ! 所詮、ステータスなんて飾りですわ! エレンお姉さまも、そう思いましょう?」
「えぇ? そ、そうね。因みにルナちゃんって、どのぐらい強いの?」
「お父様」
「良いので? ルナさんが良いなら構いませんが。ハイどうぞ、ルナさんのステータスです」

名称:月光竜
氏名:ルナ
分類:半虚現体
種族:竜族
LV: 21 / 25
HP:4900 /  4900 
SP:3287 /  4877 ( 500 /  500)
MP:8327 / 12500 (57000 / 80000)
筋力:750 
耐久:750 
体力:2400 
俊敏:2400 
器用:3100 
思考:3100 
魔力:3500 
適応率:80(Max100)
変異率:80(Max100)
スキル
・肉体:<尾LV9><上位状態異常耐性LV3><上位状態異常無効LV3>
<魔力耐性LV8><物理耐性LV8><精神耐性LV8><属性耐性LV8>
<瘴気耐性LV3><概念耐性LV1>…
・技術:<全魔法LV8><補助魔法LV4><合成魔法LV1><魔術LV7><魔力掌握LV5>
<身体掌握LV5→6><飛行LV LV8→9><跳躍LV8→9><潜るLV8>
<立体移動LV8→9><体術LV3><回避LV8→9><急所抜きLV6>
<魔力察知LV2><属性察知LV2><気配察知LV2><存在感知LV9>
<動体察知LV2><危険察知LV2>…
・技能:<存在強化LV3→4><瞬撃LV7><一点突破LV1><没頭LV5→6>
<電光石火LV1→2><魔王威圧LV3><自己修復LV8><限界突破LV3>
<念話LV7><鑑定LV3>…
称  号:<迷宮主の愛娘><幹部ボス><足掻く者><死線を越えし者>
<求道者><下剋上>NEW

「「「はぁ!?」」」
「うっわ、とんでもないね。LV5以上の中位スキルと、上位スキルのオンパレードじゃ無いか。これを一ヵ月そこらで習得とは…その内私より強くなるんじゃないかい?」
「最強の名は、伊達では無いですね…魔力量が異常では?」

皆の反応に対して、俺とルナさんは顔を見合わす。そんな複雑そうな顔をしないで下さいよ、言いたいことは分かりますけど。

「ん? どうしたんだい?」
「いえ、最高戦力であって、最強では無いのですわ……」
「え˝? ルナちゃんよりも強い方が居るの!?」
「個ではルナさんが一番ですけど、何でもありとなると…ねぇ?」
「プル様には勝てる気がしませんわ…てか、どうやって勝てと! あんなのムリですわ!!」
「俺に言われましても……」

うん、プルさんは色々とヤバイ。一つ一つのスキルは普通なのですが、数と構成が鬼畜過ぎるし、粘液スライムという種族の特徴が相まって、とんでもない存在に成っていますからね。

「そんなに強いのかい?」
「あ~~~、何でもありなら、エディさんも狩れるかもしれませんね」
「「「……は?」」」
「……いくら何でも、それは傷つくな」

おっと、トーンと感情が一段階下がりましたね。流石に自分の実力には自信がりますか。けど…ねぇ?

「隠密ガン積みの相手に、休憩なしで、一年中狙われて耐えられますか?」
「四方八方から、常に遠・中・近距離攻撃を叩きこまれて、平気ですか?」
「攻撃するたびに、その耐性を習得する相手を、圧し切れますか?」
「殺しても再生し、絶え間なく襲ってくる相手を、殺せますか?」
「住んでいる所に、ありとあらゆる毒を撒かれて、耐えられますか?」
「周囲の食料を根絶やしにされて、生きていられますか?」
「そもそも! ありとあらゆる攻撃を吸収するとか、チートですわ! クワァ!」 
「何その生き物……」

うん、想像できませんよね、ですがそれがうちの本当の最強、プルさんなのですよ。
やろうと思えば、国の一つや二つ、簡単に潰せるんじゃなかろうか? 本当に、温厚な子に育ってよかったです。

「エディさん云々は言い過ぎとして、他の竜の方達は……うん、全て殺せますね」
「つくづく、君と敵対にならなくて良かったと思うよ」
「世界樹さんは知りませんが、俺は理由も無く、関係ない相手に喧嘩を吹っ掛けたりしないのでご安心を」
「世界樹か……一応聞くが、意識はあるんだよね? どんな性格なんだい?」
「鱗だらけで、興味が湧かないとかで引っ込んでいますけど、呼んでみます?」

世界樹さんを検索っと、あれ? 木の中じゃない? ここは…獣人さんの村の中?

(おい、こら、鬣を撫でるな!)
(ぐへへへへ、良いではいか、良いではないか~)

獅子の猫人ワーキャットの鬣を撫でる、世界樹さんが映し出される。あかん、これはあかん。人に見せられない顔だ。

「…これ、この子が世界樹?」

― ブチ -

「「……」」

咄嗟に画面を切る……うん、この行動、肯定しているのと同じですね。

「…そうです」
「そっか…ふふふ、良かった。あれはアイツじゃないね」

良かった? アイツじゃない? ふむ、何のことでしょう? 世界樹さん関係である事は、間違いないでしょうけど……

「200年位に、ちょっとね」
「……あぁ、災厄樹の件ですか」
「知っているのかい? それは、世界樹が話したのかな?」
「いえいえ、ちょっと調べたんですよ。因みに本人は無関係だと思いますよ、樹齢100年位らしいですし、本人も記憶にないようですし」

コアさんの【世界の記憶ワールドレコード】で検索しただけなので、詳細までは知りませんけどね。何と言えばいいでしょうか、学校の歴史の教科書に乗っている、年表をイメージすれば分かりやすいですかね?
それに、この世界の者が知らない事は、今のセキュリティレベルじゃ検索できないんですよね~、おのれショタ神め。少し位緩めてもいいんじゃないか?

「……意外と情報収集能力が高いのかな? それも対価にならないか~」
「あ、情報はいくらあっても足りないので、あるだけ欲しいです。此方も何かあったら、お伝えしますので」
「そうかい? あ、情報と言えば、君の事を他の知り合いに話しても良いかい? 君と敵対して、あれと同じ目に合うのは避けたいからね」

あれとは、現在糸でグルグル巻きにされて居る、トカゲモドキの事でしょう。本能でしょうか、蜘蛛タラントさん方が集団で、楽しそうに回している。あ、呼吸はできる様にしておいてくださいね、そのままだと窒息しますよ?

「構いませんが、話を聞いて敵対を躊躇いますかね?」
「大丈夫だよ、その時は私が敵対するとでも言っておく。友の味方をするのは当然だろう?」

何とも頼りになるお言葉、これは有り難いですね。確固たる地位を持った方の後ろ盾を得られるのは、大きいですよ。

「御師匠様、そろそろ…」
「ぇ、もうそんな時間?」
「おや、何かありましたか?」

とても悲しそうな、名残惜しいような、そんな顔をしながらこちらに向き直る。

「あ~…うん。これに込めた魔力は、2~3日程度しか持たなくてね、ここに来るのに1日は経ったから、余裕をもって、そろそろ戻らないといけないんだ。流石に魔力が切れると、情報に何らかの損傷が付くかもしれなくてね」

あぁ、それは困りますね、何度も同じ話をするのは、好きではありません。

「では、すぐに戻られますか?」
「そうだね、一方的に問題を持ち込んだ気がしなくは無いけど」
「お気になさらず。あ、スカウトは良いので?」
「「「そうだった!?」」」

のんびりしているな~とは思っていましたが、忘れてたんかい。時間が無いとか俺らは知らんがな。

「う~ん、どうしよう」
「…瘴気が沢山溢れているんですよね? こちらで、募集を掛けて送りましょうか?」
「本当かい? 頼むよ!」
「はいはい、あ、粘液スライムも連れて行きます? 環境改善のプロフェッショナルですし、彼等を経由すれば、何時でも会話が出来ますよ?」
「おぉ、そんなのも居るんだね!」
(情報伝達は任せろ~ばりばり)

まぁ、その子達が、最強ことプルさんなのですがね。

「はぁ…もういっその事、あの土地を君に明け渡したいよ」
「竜王様!?」

なんてことを言っているんですか、この竜は。自分の縄張りを、会ったばかりの迷宮主に渡すとか。

「だってねぇ、私が浄化しないと、瘴気が溢れ続ける土地とか、どう治めろと言うんだい。自然に出来た物でないから、普通なら修復のためにダンジョンができるはずなのにできないし、離れた所にできたダンジョンを谷まで伸ばす案も、放置しただけでは、その前に役目を終えて消えてしまうし。かと言って刺激すると、竜族特攻の魔物を大量に生み出すし、迷宮主ダンジョンマスターに接触するのも、そもそも迷宮主ダンジョンマスターのいるダンジョンに会える可能性が低いし……こんなチャンス、もう絶対ないと思うんだよ」

エディさんの瞳から光が消え、色々熟成されたドロリとした感情が溢れ出す。あ~、うん。今まで苦労したのは分かりましたから、落ち着きましょう? 

「そんな大地が裂けて谷になる様な大事、何時頃の事でしょうか?」
「えっと、ローバン爺さんが生まれた頃だから…5千年位前かな?」

あ、最下級神の集団襲撃事件の時期と被りますね。もしその余波なら、大地位裂けてもおかしくないですわな。
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