174 / 330
164 竜王とダンマス⑧(決着)
しおりを挟む
何度も手足をもがれ、再生を諦めたら鱗を剥ぎ取り、骨を砕き、肉を抉る。
自然回復までは抑えられないですからね。<流血>も相まって、嫌でもリソースを削られる。
「フン! 取り敢えず、こんなもんですわね」
そして、今の状態がこちら。
名称:激竜
氏名:ゴドバルド
分類:半虚現体
種族:竜族
LV: 23 / 50 <流血(大)><欠損(大)><幻覚(大)><錯乱(大)><乱魔(大)>
HP: 213 / 7437
SP: 12 / 7583
MP: 5 / 2462
筋力:6111 (-2500)
耐久:3550 (-2000)
体力:3550 (-2000)
俊敏:3550 (-2000)
器用:3550 (-2000)
思考:1100 (-1000)
魔力:1100 (-1000)
適応率:10(Max100)
変異率:10(Max100)
スキル
・肉体:<竜鱗LV5><竜爪LV5><竜牙LV5><竜骨LV5>
・技術:<魔力操作LV3><身体操作LV3><飛行LV3><跳躍LV3>
・技能:<身体強化LV2><全力攻撃LV5><威圧LV5><自己回復LV3>
称 号:<捕食者><同族殺し><共食い>
う~ん、状態異常によるバットステータスも有って、ボロボロである。<枯渇>や<崩壊>まで行っていないので、死ぬことは無いでしょうけど。
しかし、これだけのステータスさが在って、負けるとはね~。やっぱりステータスは、参考程度にしかなりませんね。
LV5を超えたスキルが無いのも特徴ですね。
スキルのLV5は、言わば一種の壁。何もしないで至れる限界値。これを超えるかで、その者の在り方が見えると言うものです。そしてトカゲモドキは軒並みLV5以下。何もやってねぇな、こいつ。更に称号についても、碌なもんが見当たらないですね。
「お父様。終わりましたわ!」
「うん、ご苦労様でした。憂さは晴れましたか?」
「う~ん、まぁまぁですわね。後はお任せ致しますわ」
それでは、後は裏方さんに任せましょうか。回復しない様に、適度に削り続けて貰いましょう。
(物理的に削るなり、魔石の中の魔力を直接吸うなり、やり方はお任せします、障壁も解除してください)
(((了解!)))
広場を覆っていた障壁が消え、通路からワラワラと裏方組が会場に現れる。うむうむ、ご苦労様です。
その様子見をしていたルナさんは、問題ないと判断したのか、こちらに飛んでーーー
「お父様~~~、勝ちましたわ~~~」
「ぐっふぅ!?」
―――そのまま俺に突っ込んできた。
痛くはない、痛くは無いですけど、衝撃は感じるんですって。うっぷ、気持ち悪い……
「凄いね、ゴドバルドに正面から当たって勝つなんて」
「ルナちゃん、こんなに強かったの?」
「ふふん、当然の結果ですわ」
エディさんとエレンさんの言葉に、余裕の態度を示すルナさん。見栄っ張りなんですから。
「ま…まぁ、このダンジョンの中で、個としての最高戦力ですからね」
「クワ! 所詮、ステータスなんて飾りですわ! エレンお姉さまも、そう思いましょう?」
「えぇ? そ、そうね。因みにルナちゃんって、どのぐらい強いの?」
「お父様」
「良いので? ルナさんが良いなら構いませんが。ハイどうぞ、ルナさんのステータスです」
名称:月光竜
氏名:ルナ
分類:半虚現体
種族:竜族
LV: 21 / 25
HP:4900 / 4900
SP:3287 / 4877 ( 500 / 500)
MP:8327 / 12500 (57000 / 80000)
筋力:750
耐久:750
体力:2400
俊敏:2400
器用:3100
思考:3100
魔力:3500
適応率:80(Max100)
変異率:80(Max100)
スキル
・肉体:<尾LV9><上位状態異常耐性LV3><上位状態異常無効LV3>
<魔力耐性LV8><物理耐性LV8><精神耐性LV8><属性耐性LV8>
<瘴気耐性LV3><概念耐性LV1>…
・技術:<全魔法LV8><補助魔法LV4><合成魔法LV1><魔術LV7><魔力掌握LV5>
<身体掌握LV5→6><飛行LV LV8→9><跳躍LV8→9><潜るLV8>
<立体移動LV8→9><体術LV3><回避LV8→9><急所抜きLV6>
<魔力察知LV2><属性察知LV2><気配察知LV2><存在感知LV9>
<動体察知LV2><危険察知LV2>…
・技能:<存在強化LV3→4><瞬撃LV7><一点突破LV1><没頭LV5→6>
<電光石火LV1→2><魔王威圧LV3><自己修復LV8><限界突破LV3>
<念話LV7><鑑定LV3>…
称 号:<迷宮主の愛娘><幹部><足掻く者><死線を越えし者>
<求道者><下剋上>NEW
「「「はぁ!?」」」
「うっわ、とんでもないね。LV5以上の中位スキルと、上位スキルのオンパレードじゃ無いか。これを一ヵ月そこらで習得とは…その内私より強くなるんじゃないかい?」
「最強の名は、伊達では無いですね…魔力量が異常では?」
皆の反応に対して、俺とルナさんは顔を見合わす。そんな複雑そうな顔をしないで下さいよ、言いたいことは分かりますけど。
「ん? どうしたんだい?」
「いえ、最高戦力であって、最強では無いのですわ……」
「え˝? ルナちゃんよりも強い方が居るの!?」
「個ではルナさんが一番ですけど、何でもありとなると…ねぇ?」
「プル様には勝てる気がしませんわ…てか、どうやって勝てと! あんなのムリですわ!!」
「俺に言われましても……」
うん、プルさんは色々とヤバイ。一つ一つのスキルは普通なのですが、数と構成が鬼畜過ぎるし、粘液という種族の特徴が相まって、とんでもない存在に成っていますからね。
「そんなに強いのかい?」
「あ~~~、何でもありなら、エディさんも狩れるかもしれませんね」
「「「……は?」」」
「……いくら何でも、それは傷つくな」
おっと、トーンと感情が一段階下がりましたね。流石に自分の実力には自信がりますか。けど…ねぇ?
「隠密ガン積みの相手に、休憩なしで、一年中狙われて耐えられますか?」
「四方八方から、常に遠・中・近距離攻撃を叩きこまれて、平気ですか?」
「攻撃するたびに、その耐性を習得する相手を、圧し切れますか?」
「殺しても再生し、絶え間なく襲ってくる相手を、殺せますか?」
「住んでいる所に、ありとあらゆる毒を撒かれて、耐えられますか?」
「周囲の食料を根絶やしにされて、生きていられますか?」
「そもそも! ありとあらゆる攻撃を吸収するとか、チートですわ! クワァ!」
「何その生き物……」
うん、想像できませんよね、ですがそれがうちの本当の最強、プルさんなのですよ。
やろうと思えば、国の一つや二つ、簡単に潰せるんじゃなかろうか? 本当に、温厚な子に育ってよかったです。
「エディさん云々は言い過ぎとして、他の竜の方達は……うん、全て殺せますね」
「つくづく、君と敵対にならなくて良かったと思うよ」
「世界樹さんは知りませんが、俺は理由も無く、関係ない相手に喧嘩を吹っ掛けたりしないのでご安心を」
「世界樹か……一応聞くが、意識はあるんだよね? どんな性格なんだい?」
「鱗だらけで、興味が湧かないとかで引っ込んでいますけど、呼んでみます?」
世界樹さんを検索っと、あれ? 木の中じゃない? ここは…獣人さんの村の中?
(おい、こら、鬣を撫でるな!)
(ぐへへへへ、良いではいか、良いではないか~)
獅子の猫人の鬣を撫でる、世界樹さんが映し出される。あかん、これはあかん。人に見せられない顔だ。
「…これ、この子が世界樹?」
― ブチ -
「「……」」
咄嗟に画面を切る……うん、この行動、肯定しているのと同じですね。
「…そうです」
「そっか…ふふふ、良かった。あれはアイツじゃないね」
良かった? アイツじゃない? ふむ、何のことでしょう? 世界樹さん関係である事は、間違いないでしょうけど……
「200年位に、ちょっとね」
「……あぁ、災厄樹の件ですか」
「知っているのかい? それは、世界樹が話したのかな?」
「いえいえ、ちょっと調べたんですよ。因みに本人は無関係だと思いますよ、樹齢100年位らしいですし、本人も記憶にないようですし」
コアさんの【世界の記憶】で検索しただけなので、詳細までは知りませんけどね。何と言えばいいでしょうか、学校の歴史の教科書に乗っている、年表をイメージすれば分かりやすいですかね?
それに、この世界の者が知らない事は、今のセキュリティレベルじゃ検索できないんですよね~、おのれショタ神め。少し位緩めてもいいんじゃないか?
「……意外と情報収集能力が高いのかな? それも対価にならないか~」
「あ、情報はいくらあっても足りないので、あるだけ欲しいです。此方も何かあったら、お伝えしますので」
「そうかい? あ、情報と言えば、君の事を他の知り合いに話しても良いかい? 君と敵対して、あれと同じ目に合うのは避けたいからね」
あれとは、現在糸でグルグル巻きにされて居る、トカゲモドキの事でしょう。本能でしょうか、蜘蛛さん方が集団で、楽しそうに回している。あ、呼吸はできる様にしておいてくださいね、そのままだと窒息しますよ?
「構いませんが、話を聞いて敵対を躊躇いますかね?」
「大丈夫だよ、その時は私が敵対するとでも言っておく。友の味方をするのは当然だろう?」
何とも頼りになるお言葉、これは有り難いですね。確固たる地位を持った方の後ろ盾を得られるのは、大きいですよ。
「御師匠様、そろそろ…」
「ぇ、もうそんな時間?」
「おや、何かありましたか?」
とても悲しそうな、名残惜しいような、そんな顔をしながらこちらに向き直る。
「あ~…うん。鱗に込めた魔力は、2~3日程度しか持たなくてね、ここに来るのに1日は経ったから、余裕をもって、そろそろ戻らないといけないんだ。流石に魔力が切れると、情報に何らかの損傷が付くかもしれなくてね」
あぁ、それは困りますね、何度も同じ話をするのは、好きではありません。
「では、すぐに戻られますか?」
「そうだね、一方的に問題を持ち込んだ気がしなくは無いけど」
「お気になさらず。あ、スカウトは良いので?」
「「「そうだった!?」」」
のんびりしているな~とは思っていましたが、忘れてたんかい。時間が無いとか俺らは知らんがな。
「う~ん、どうしよう」
「…瘴気が沢山溢れているんですよね? こちらで、募集を掛けて送りましょうか?」
「本当かい? 頼むよ!」
「はいはい、あ、粘液も連れて行きます? 環境改善のプロフェッショナルですし、彼等を経由すれば、何時でも会話が出来ますよ?」
「おぉ、そんなのも居るんだね!」
(情報伝達は任せろ~ばりばり)
まぁ、その子達が、最強ことプルさんなのですがね。
「はぁ…もういっその事、あの土地を君に明け渡したいよ」
「竜王様!?」
なんてことを言っているんですか、この竜は。自分の縄張りを、会ったばかりの迷宮主に渡すとか。
「だってねぇ、私が浄化しないと、瘴気が溢れ続ける土地とか、どう治めろと言うんだい。自然に出来た物でないから、普通なら修復のためにダンジョンができるはずなのにできないし、離れた所にできたダンジョンを谷まで伸ばす案も、放置しただけでは、その前に役目を終えて消えてしまうし。かと言って刺激すると、竜族特攻の魔物を大量に生み出すし、迷宮主に接触するのも、そもそも迷宮主のいるダンジョンに会える可能性が低いし……こんなチャンス、もう絶対ないと思うんだよ」
エディさんの瞳から光が消え、色々熟成されたドロリとした感情が溢れ出す。あ~、うん。今まで苦労したのは分かりましたから、落ち着きましょう?
「そんな大地が裂けて谷になる様な大事、何時頃の事でしょうか?」
「えっと、ローバン爺さんが生まれた頃だから…5千年位前かな?」
あ、最下級神の集団襲撃事件の時期と被りますね。もしその余波なら、大地位裂けてもおかしくないですわな。
自然回復までは抑えられないですからね。<流血>も相まって、嫌でもリソースを削られる。
「フン! 取り敢えず、こんなもんですわね」
そして、今の状態がこちら。
名称:激竜
氏名:ゴドバルド
分類:半虚現体
種族:竜族
LV: 23 / 50 <流血(大)><欠損(大)><幻覚(大)><錯乱(大)><乱魔(大)>
HP: 213 / 7437
SP: 12 / 7583
MP: 5 / 2462
筋力:6111 (-2500)
耐久:3550 (-2000)
体力:3550 (-2000)
俊敏:3550 (-2000)
器用:3550 (-2000)
思考:1100 (-1000)
魔力:1100 (-1000)
適応率:10(Max100)
変異率:10(Max100)
スキル
・肉体:<竜鱗LV5><竜爪LV5><竜牙LV5><竜骨LV5>
・技術:<魔力操作LV3><身体操作LV3><飛行LV3><跳躍LV3>
・技能:<身体強化LV2><全力攻撃LV5><威圧LV5><自己回復LV3>
称 号:<捕食者><同族殺し><共食い>
う~ん、状態異常によるバットステータスも有って、ボロボロである。<枯渇>や<崩壊>まで行っていないので、死ぬことは無いでしょうけど。
しかし、これだけのステータスさが在って、負けるとはね~。やっぱりステータスは、参考程度にしかなりませんね。
LV5を超えたスキルが無いのも特徴ですね。
スキルのLV5は、言わば一種の壁。何もしないで至れる限界値。これを超えるかで、その者の在り方が見えると言うものです。そしてトカゲモドキは軒並みLV5以下。何もやってねぇな、こいつ。更に称号についても、碌なもんが見当たらないですね。
「お父様。終わりましたわ!」
「うん、ご苦労様でした。憂さは晴れましたか?」
「う~ん、まぁまぁですわね。後はお任せ致しますわ」
それでは、後は裏方さんに任せましょうか。回復しない様に、適度に削り続けて貰いましょう。
(物理的に削るなり、魔石の中の魔力を直接吸うなり、やり方はお任せします、障壁も解除してください)
(((了解!)))
広場を覆っていた障壁が消え、通路からワラワラと裏方組が会場に現れる。うむうむ、ご苦労様です。
その様子見をしていたルナさんは、問題ないと判断したのか、こちらに飛んでーーー
「お父様~~~、勝ちましたわ~~~」
「ぐっふぅ!?」
―――そのまま俺に突っ込んできた。
痛くはない、痛くは無いですけど、衝撃は感じるんですって。うっぷ、気持ち悪い……
「凄いね、ゴドバルドに正面から当たって勝つなんて」
「ルナちゃん、こんなに強かったの?」
「ふふん、当然の結果ですわ」
エディさんとエレンさんの言葉に、余裕の態度を示すルナさん。見栄っ張りなんですから。
「ま…まぁ、このダンジョンの中で、個としての最高戦力ですからね」
「クワ! 所詮、ステータスなんて飾りですわ! エレンお姉さまも、そう思いましょう?」
「えぇ? そ、そうね。因みにルナちゃんって、どのぐらい強いの?」
「お父様」
「良いので? ルナさんが良いなら構いませんが。ハイどうぞ、ルナさんのステータスです」
名称:月光竜
氏名:ルナ
分類:半虚現体
種族:竜族
LV: 21 / 25
HP:4900 / 4900
SP:3287 / 4877 ( 500 / 500)
MP:8327 / 12500 (57000 / 80000)
筋力:750
耐久:750
体力:2400
俊敏:2400
器用:3100
思考:3100
魔力:3500
適応率:80(Max100)
変異率:80(Max100)
スキル
・肉体:<尾LV9><上位状態異常耐性LV3><上位状態異常無効LV3>
<魔力耐性LV8><物理耐性LV8><精神耐性LV8><属性耐性LV8>
<瘴気耐性LV3><概念耐性LV1>…
・技術:<全魔法LV8><補助魔法LV4><合成魔法LV1><魔術LV7><魔力掌握LV5>
<身体掌握LV5→6><飛行LV LV8→9><跳躍LV8→9><潜るLV8>
<立体移動LV8→9><体術LV3><回避LV8→9><急所抜きLV6>
<魔力察知LV2><属性察知LV2><気配察知LV2><存在感知LV9>
<動体察知LV2><危険察知LV2>…
・技能:<存在強化LV3→4><瞬撃LV7><一点突破LV1><没頭LV5→6>
<電光石火LV1→2><魔王威圧LV3><自己修復LV8><限界突破LV3>
<念話LV7><鑑定LV3>…
称 号:<迷宮主の愛娘><幹部><足掻く者><死線を越えし者>
<求道者><下剋上>NEW
「「「はぁ!?」」」
「うっわ、とんでもないね。LV5以上の中位スキルと、上位スキルのオンパレードじゃ無いか。これを一ヵ月そこらで習得とは…その内私より強くなるんじゃないかい?」
「最強の名は、伊達では無いですね…魔力量が異常では?」
皆の反応に対して、俺とルナさんは顔を見合わす。そんな複雑そうな顔をしないで下さいよ、言いたいことは分かりますけど。
「ん? どうしたんだい?」
「いえ、最高戦力であって、最強では無いのですわ……」
「え˝? ルナちゃんよりも強い方が居るの!?」
「個ではルナさんが一番ですけど、何でもありとなると…ねぇ?」
「プル様には勝てる気がしませんわ…てか、どうやって勝てと! あんなのムリですわ!!」
「俺に言われましても……」
うん、プルさんは色々とヤバイ。一つ一つのスキルは普通なのですが、数と構成が鬼畜過ぎるし、粘液という種族の特徴が相まって、とんでもない存在に成っていますからね。
「そんなに強いのかい?」
「あ~~~、何でもありなら、エディさんも狩れるかもしれませんね」
「「「……は?」」」
「……いくら何でも、それは傷つくな」
おっと、トーンと感情が一段階下がりましたね。流石に自分の実力には自信がりますか。けど…ねぇ?
「隠密ガン積みの相手に、休憩なしで、一年中狙われて耐えられますか?」
「四方八方から、常に遠・中・近距離攻撃を叩きこまれて、平気ですか?」
「攻撃するたびに、その耐性を習得する相手を、圧し切れますか?」
「殺しても再生し、絶え間なく襲ってくる相手を、殺せますか?」
「住んでいる所に、ありとあらゆる毒を撒かれて、耐えられますか?」
「周囲の食料を根絶やしにされて、生きていられますか?」
「そもそも! ありとあらゆる攻撃を吸収するとか、チートですわ! クワァ!」
「何その生き物……」
うん、想像できませんよね、ですがそれがうちの本当の最強、プルさんなのですよ。
やろうと思えば、国の一つや二つ、簡単に潰せるんじゃなかろうか? 本当に、温厚な子に育ってよかったです。
「エディさん云々は言い過ぎとして、他の竜の方達は……うん、全て殺せますね」
「つくづく、君と敵対にならなくて良かったと思うよ」
「世界樹さんは知りませんが、俺は理由も無く、関係ない相手に喧嘩を吹っ掛けたりしないのでご安心を」
「世界樹か……一応聞くが、意識はあるんだよね? どんな性格なんだい?」
「鱗だらけで、興味が湧かないとかで引っ込んでいますけど、呼んでみます?」
世界樹さんを検索っと、あれ? 木の中じゃない? ここは…獣人さんの村の中?
(おい、こら、鬣を撫でるな!)
(ぐへへへへ、良いではいか、良いではないか~)
獅子の猫人の鬣を撫でる、世界樹さんが映し出される。あかん、これはあかん。人に見せられない顔だ。
「…これ、この子が世界樹?」
― ブチ -
「「……」」
咄嗟に画面を切る……うん、この行動、肯定しているのと同じですね。
「…そうです」
「そっか…ふふふ、良かった。あれはアイツじゃないね」
良かった? アイツじゃない? ふむ、何のことでしょう? 世界樹さん関係である事は、間違いないでしょうけど……
「200年位に、ちょっとね」
「……あぁ、災厄樹の件ですか」
「知っているのかい? それは、世界樹が話したのかな?」
「いえいえ、ちょっと調べたんですよ。因みに本人は無関係だと思いますよ、樹齢100年位らしいですし、本人も記憶にないようですし」
コアさんの【世界の記憶】で検索しただけなので、詳細までは知りませんけどね。何と言えばいいでしょうか、学校の歴史の教科書に乗っている、年表をイメージすれば分かりやすいですかね?
それに、この世界の者が知らない事は、今のセキュリティレベルじゃ検索できないんですよね~、おのれショタ神め。少し位緩めてもいいんじゃないか?
「……意外と情報収集能力が高いのかな? それも対価にならないか~」
「あ、情報はいくらあっても足りないので、あるだけ欲しいです。此方も何かあったら、お伝えしますので」
「そうかい? あ、情報と言えば、君の事を他の知り合いに話しても良いかい? 君と敵対して、あれと同じ目に合うのは避けたいからね」
あれとは、現在糸でグルグル巻きにされて居る、トカゲモドキの事でしょう。本能でしょうか、蜘蛛さん方が集団で、楽しそうに回している。あ、呼吸はできる様にしておいてくださいね、そのままだと窒息しますよ?
「構いませんが、話を聞いて敵対を躊躇いますかね?」
「大丈夫だよ、その時は私が敵対するとでも言っておく。友の味方をするのは当然だろう?」
何とも頼りになるお言葉、これは有り難いですね。確固たる地位を持った方の後ろ盾を得られるのは、大きいですよ。
「御師匠様、そろそろ…」
「ぇ、もうそんな時間?」
「おや、何かありましたか?」
とても悲しそうな、名残惜しいような、そんな顔をしながらこちらに向き直る。
「あ~…うん。鱗に込めた魔力は、2~3日程度しか持たなくてね、ここに来るのに1日は経ったから、余裕をもって、そろそろ戻らないといけないんだ。流石に魔力が切れると、情報に何らかの損傷が付くかもしれなくてね」
あぁ、それは困りますね、何度も同じ話をするのは、好きではありません。
「では、すぐに戻られますか?」
「そうだね、一方的に問題を持ち込んだ気がしなくは無いけど」
「お気になさらず。あ、スカウトは良いので?」
「「「そうだった!?」」」
のんびりしているな~とは思っていましたが、忘れてたんかい。時間が無いとか俺らは知らんがな。
「う~ん、どうしよう」
「…瘴気が沢山溢れているんですよね? こちらで、募集を掛けて送りましょうか?」
「本当かい? 頼むよ!」
「はいはい、あ、粘液も連れて行きます? 環境改善のプロフェッショナルですし、彼等を経由すれば、何時でも会話が出来ますよ?」
「おぉ、そんなのも居るんだね!」
(情報伝達は任せろ~ばりばり)
まぁ、その子達が、最強ことプルさんなのですがね。
「はぁ…もういっその事、あの土地を君に明け渡したいよ」
「竜王様!?」
なんてことを言っているんですか、この竜は。自分の縄張りを、会ったばかりの迷宮主に渡すとか。
「だってねぇ、私が浄化しないと、瘴気が溢れ続ける土地とか、どう治めろと言うんだい。自然に出来た物でないから、普通なら修復のためにダンジョンができるはずなのにできないし、離れた所にできたダンジョンを谷まで伸ばす案も、放置しただけでは、その前に役目を終えて消えてしまうし。かと言って刺激すると、竜族特攻の魔物を大量に生み出すし、迷宮主に接触するのも、そもそも迷宮主のいるダンジョンに会える可能性が低いし……こんなチャンス、もう絶対ないと思うんだよ」
エディさんの瞳から光が消え、色々熟成されたドロリとした感情が溢れ出す。あ~、うん。今まで苦労したのは分かりましたから、落ち着きましょう?
「そんな大地が裂けて谷になる様な大事、何時頃の事でしょうか?」
「えっと、ローバン爺さんが生まれた頃だから…5千年位前かな?」
あ、最下級神の集団襲撃事件の時期と被りますね。もしその余波なら、大地位裂けてもおかしくないですわな。
23
お気に入りに追加
5,444
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~
はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。
俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。
ある日の昼休み……高校で事は起こった。
俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。
しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。
……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる