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134 ブチ切れダンマスさんと、ショタ神チャマ

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(甲に対して、乙は絶対従属する)……ねぇ?

「……こんな契約が必要ですか? ん?」
「……犯罪者を信用しろと?」

おう、開き直りやがった。そもそもそれ、冤罪ですし。

「へぇ……そうなの?」
「……本気で犯罪者だって思っていましたね? そもそも、信用して無いですね?」
「そんな事無いよ? 冤罪だったんだろう?」
「……それ、本気で言っています? だとしたら、俺は貴方の事を一生信用しませんよ?」
「……随分失礼な事を言うね、僕が嘘を言っているとでも?」
「これだけ感情が駄々洩れなら、分かりますって」

さっきから、喜び、悲しみ、不審に困惑。幾ら表情を装っても、中身の感情が“見えて”仕舞っては意味がない。
その手の能力を妨害、誤認させるような何かが有るのか、透明なフィルターの様なものが掛かったように見えるが、中身が丸見えだ。

「感情が見える? ハ! スキルも持っていないのに何を言っているんだか」
「スキルって言われましても、元の世界に居た頃からですし、関係ないと思いますよ?」

認識できていなかっただけで、元居た世界でもスキルとかあったのかもしれないですが、ショタ神様が言う通り、そんなスキルは持っていない。そもそも、スキル自体が殆どない。
可能性があるとしたら、ゴトーさんの様に、この能力が“俺が生きている上で当たり前”レベルのモノの、魂から生まれた結晶スキルではなく、魂自体の場合でしょうか?

「ふ~ん。だったら、僕が今、何を考えているか分かるのかい?」
「考えを読める訳ではないですけど……侮蔑……怒り…………疑惑……困惑……驚愕……恐怖…………殺意……俺の中に意識集中、魂への干渉ですか? さっきから言葉に乗せて、暗示? を掛けて来ていましたけど、通す訳無いでしょう? 意識は空間へ……空間に干渉して、俺の事を殺そうとでも思いましたか?」

もしこれがブラフでなく、本気の隠蔽なのだとしたら、お粗末も良い所です。

よく話すと思ったら、変な干渉をしてきていましたし。同格以下、それも神でもない奴に見抜かれる程度の能力しか無いのであれば、付いて行く気にもならない。

こちとら、守るべき家族が居ますからね、就くなら、しっかりした所に付きたい。巻き込まれて共倒れとか、勘弁です。
まぁ、敵対もしませんがね。これがブラフで、弱者を演じてこちらの対応を見るとかだと、対応の仕様がない。そんな相手と戦っても、勝てないでしょうし、そもそもこちらに利益も無い。

椅子から飛び上がり、距離を取るショタ神。今更遅いでしょうに。

「~~~……は? な、なんで!?」

― ビ~~~!! ビ~~~!! ビ~~~!! ―

~ 領域への不正なアクセスを確認。対象を追跡。対象の現在位置を確認  ~
~ 対象に対して、外部からのアクセス経路を確認。強制切断を実行します ~

「はぁ!? 上位権限だ、今すぐやめろ!」

~ 否定。パターン57「外部からのコアに対する、不正な干渉」に該当します。切断が完了するまで、マスター、上位クリアランスを含む全ての外部アクセスを拒絶します……切断が完了しました。登録されている全権限を初期化。防衛機能を残し、再起動を致します ~

「な…なん…」
「……本当に対応できないんですね。これがブラフなら、すぐに対応してください。でなければ、俺は貴方を能力、人格を合わせて、敵として対応しなければならなくなります」
「どうやって!? ダンジョンにこんな機能は無かったはずだ!?」
「ダンジョンは、世界に繋がっているんでしょう? つまりは、世界を経由して、こちらに干渉される可能性があるでは無いですか。ファイヤーウォールくらい設定していますよ」

だからこの空間を、“そのまま”で良いのか聞いたんですよ。領域が、コアさんのモノになっていることに、気が付いていなかったんですか? 
最初は、この程度取られても問題ないとでも思っているかと思いましたが……このショタ神って、もしかしてそんなに凄くない?

「先輩が…中級神が作ったシステムに、人間が干渉できるはずがない! 君は一体何なんだ!?」

ぶっちゃけ、こっちが聞きたい。この“相手の感情が見える能力”が何なのか分かりませんかね?
ショタ神様が分からないなら、その“中級神”って方でも良いのですよ? 呼べるならサッサと呼べ、糞ガキ。

―――

ガクガク・ブルブル

「おい、ショタ神」
「ひゃい!?」
「は~~~、神格ならもうちっとシャキッとしろ」

これが、コイツの本性か。体から切り離されただけで、本体が死んだわけでは無いでしょうに。(現時点で)格上相手だからとびくびくと……

「き、君、態度代わり過ぎじゃないかな!?」
「あ˝ぁ?」
「ひぃ~~~!?」

それは貴方もでしょうに、なに怯えているんですか。
外部からの接続が切れても、このショタ神が消えないって事は、遠隔操作でなく、思考分離か疑似人格的なものだったのでしょう。

初めて対面した時から、こちらに侮蔑の感情を向けていましたからね。端から信用していない相手に、本体が直接来るなんて、馬鹿な真似をするはずがない。

「つまり……最悪、これを壊す殺すのも有りか」
「ダメだ! それだけは本当にダメ!!」

随分必死ですね、まだ交渉の余地があるとでも思っているのでしょうか? 
そもそも、この端末ショタ神が壊れた程度で、神がどうにかなるとは思えない。何かあるなら、後でもう一度接触しに来てください。ショタ神これは迷惑料として、DPに変換させてもらいます。

「~~~~~~~~~~~~……本体だから」(ボソ)
「……は?」
「ここに居るのは、本体なの! 力の大半は、君が消えない様に僕の領域に置いてきただけで、これが本体なの!」

……嘘を言っている感情は見えないですね。って事は、マジで本体? これを殺すって事は、皆が居る世界の管理者が居なくなるって事ですか?
所有者が居ない土地は、荒れるのが常。俺の様に、更に外から何がやってくるか、分かったもんじゃない。
いや、今はそれよりも……

「え~~~と、つまり、それが本当だとして……お前、馬鹿なの?」
「うわ~~~~ん! もうヤダコイツ~~~~!!」

うんうん、よく言われます。だからこの能力、あまり頼りたく無いんですよね。交友関係滅茶苦茶になるから……

―――

ボリボリ・バクバク・ムシャムシャ・ゴックン

「ヒグ……美味しい……グスン」
「……落ち着きました?」
「…………はぃ」

今にも消え入りそうな声で返事を返すショタ神。
今までの高圧的(気配だけ)な態度は消え、今では見た目通りの幼い感情を露呈している。
……こっちが本性か。見下していたのも本心でしたけど。

「あ…あの……僕を殺すのは、やめて貰えないですか?」
「俺は言ったよな? 敵として対応するって、信用できないって。対応を変えなかったのはそっちだろ? 殺そうとまでして今更なに言っているんだ?」
「僕はただ、抑え込もう「あぁ˝?」排除しようとじま˝じた。ごめんなざい!」

まったく、ここに来て、まだ言訳しますか。神格の方々が住んでいる世界が、どんなものかは知りませんが、良くそんなので生き残っていましたね。

「ほ、他の……」
「他の奴には、こんな態度を取らなかったと?」
「う~~~……」
「じゃぁ、なんで俺に対しては、そんな態度だったんだ?」
「げ、下界の奴に会うの、初めてだったから、同僚に話をして、こ、こうすれば良いって」
「……正確には?」
「対面すれば、相手は勝手に崇めて来るし、生意気な奴には、<言霊>を使えば問題ないって……」

<言霊>ってのは、言葉と共に俺の中に入ってきた、あの暗示みたいなものですか。
成る程、神の啓示ってやつですね。確かにあれなら、抵抗されなければ信用されるでしょうね。完全に掛からなくても、違和感位は覚える。
神の啓示を受ける話がありますが、妄信したり、唯の夢だと疑いながらも無視できなくなるのは、何故なんだと思った事が有りましたが、これのせいですか。悪質な。

これでは、唆した同僚も信用できませんね。
話すなら……話に出て来た、先輩の中級神ですかね? 責任も取って貰いたいですし。

「先輩は、その、今は眠っているんです」
「起こせば?」
「その、本当に動けないって言うか、そのために、僕がこの世界を代わりに担当していると言いましょうか」
「……何があったんだ?」
「う~~~、下界の住人に、神界の出来事を話す訳にはいかないんだよ。だから、使徒になって、関係者になって貰いたかったのに……」
「俺自身は、神格と敵対したくなかったですけど、行動を起したのはそっちだろ?」

こちらとしては、情報さえ提供して頂ければ、何も言うことは無いのです。むしろ、情報料として、できる限りの事はしするくらいの心算だったと言うのに……よし。

「じゃぁお前に、素敵な言訳を提供してやるよ」
「え?」
「死にたく無けりゃ、全部話せ♪」
「ひゃい……」

ちょっと<威圧>してやれば、ショタ神の目から光が消えた。
軽くやった心算だったんですが、状況が状況なだけに、ちょっと効き過ぎましたかね?
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