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131 神様、拉致する

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細かい事は追々で、アルベリオン王国の事はこの辺で良いでしょう。
その後も、獣人側の生活水準やマナー、必要な物資などなど。チェットさんが行ってしまったので、色んな種族を知っているエルフ爺様が中心となって、話を聞いて行く。聞いておきたい事その二! 半分森人エルフで思い当たる事は?

「ふむ…恐らくハーフエルフじゃのう」
(ハーフエルフ? 森人エルフと他種族との混血児ですか?)
「その通り、その中でもお互いの特徴が出た、特殊な者達じゃ」

通常の場合、生まれて来る子供は母親の種族が優先されるが、極稀に両親の特徴が、半々に現れる者たちが居る。
その者達の事をハーフエルフ、ハーフビーストなどと言うらしい。

で、森人エルフのハーフが、世界樹さんの邪魔をした者たちの正体ですか。
はて、何とのハーフだったのやら。世界樹さんが見れば、その存在もはっきりするでしょうし、機会が有れば積極的に動きましょうか。

それでは次! 獣人さん方の今後についてです。

「住処は、森の隅を使わせもらえれば、幸いかのぅ」
(今皆さんの仲間が居る所ですか? 別に、森の中でも大丈夫ですよ?)

寧ろ、その方が回収できるDPが増えますし、そこが獣人さん方の領域になったら、余計なDPが掛かってしまう、それは避けたい。

「しかし、それでは森の魔物に狙われることになる」
(今までも、森の中で生活していたのでは?)
「ここの魔物は、我々にとって強すぎる。倒すことはできても、生活することはできないじゃろうな」

それで、森の隅に拠点って事になるんですね。しかし、う~ん。

(今は、西のエンバーを目指して領域を伸ばしていますが、その内南北にも広げますから、結局森に飲まれることになりますよ?)

今は西に伸ばす関係で拡大が止まっていますが、そこも領域を拡大する予定の場所なんですよね。
結局、森に飲まれるなら、魔物の強さ云々は変わらないですし。始めから森の中で生活してもらいたい。領域拡張の先が、獣人さん方の領域に成るのを避けたいですからね。

うん、丁度いい場所もありますし、そこを紹介しておきましょう。

(領域内の魔物の強さは、魔力の濃さで分かれています。魔力の薄い所は、強い魔物とっては住みにくいのでしょうね、皆さんはそこを拠点にしてはどうでしょうか?)
「そんな場所が、このダンジョンにあるのかのぅ?」
(ありますよ、【魔吸石】と言いまして、周りの魔力を吸い取る結晶が有ります。その付近は空気中の魔力濃度が低下するんです。後で紹介しますね、好きな所に住んで下さい)
「そんなものが有るのか、初めて聞いたのぅ」

そりゃそうでしょうね、なんせ魔力結晶と同じく、【創造】で創った新しい物質ですから。
構造は、魔力結晶とほとんど同じ、違うところは、魔力を吸収し魔法を発動する魔力結晶に対して、魔吸石は空気中の魔力を吸収し、地中(接触した個体)にそのまま流すだけ。

地中と空中で、魔力に流れを作る為に創ったモノですが、空気中の魔力濃度を変えるのにも使える。これが無いとダンジョン内の魔力濃度は、ほぼ均一になって仕舞って、住める魔物の種類が限られて仕舞いますからね。世界樹さんが放出する魔力が多すぎるって理由もある。その対策に領域内の至る所に設置している。
ダンジョンの機能に、濃度を変えれそうなモノがありますけど、【創造】で対処できるなら、そっちの方が安上がりである。いろいろな用途で使えますしね。

そうそう、色々なもので思い出した。
うちの職人たちが作った魔道具ですが、獣人さん達に、その性能チェックでもして貰うのはどうでしょうか。
人種にとって、どの程度のレベルのモノか知らないと、外に出していいモノか分からないですからね。報酬に、その魔道具を提供するのもありですね。道具は使ってなんぼです。
薬の件もそうでしたが、か~な~り~、外との認識がずれている気がしますし。世界の常識を覆す様なものを、ばら撒くわけにもいかない。ここらで確認しておきましょう。

粗方話し終わって、移動を開始しようとしている獣人さん方に、話を振る

(落ち着いてからでいいので、お願いしたいことが有るのですが)
「なにかのぅ?」
(魔道具なんですがね? 皆さんから見て、どの程度のモノ―――

突然視界が歪み、全身から力が抜ける。<神出鬼没>を使った時の様な感覚に襲われる。
これは……魂が引っ張られている?
そのまま、抗うこともできずに倒れ伏す。

「(パパ!?)」
「フビェラ!?」

近くに居たプルさんと……モコモコさんから驚きの声が上がる。
貴方、俺の事パパって呼んでいたんですね。世界樹さんに名付けられたので、俺に対して、そんな感情を抱いているとは、思っていませんでした。
てか、世界樹さんが落ちましたよ?

「あ~~~……ちょっと、席外します。後をお願いします」

何とか口は利けたので、後の処理を頼む。俺が動けない場合の担当を、決めておいてよかった。
まぁ、大丈夫だと思いますよ。獣人さん方に聞かないといけない事は、粗方聞きましたし、魂への直接干渉って事は、コアさんが関わっているでしょうしね。
コアさんが、全く抵抗せずに受け入れているって事は、まぁ、そうゆう事なのでしょう。
漸く上司の登場ですか……何か、不味い事したかな~?

―――

気が付いたら、真っ白な何もない空間に漂っていた。
継ぎ目の見えない真っ白な部屋、もはや何処までが壁で何処までが床なのかも解らない。地に足が付いている様な、浮いている様な曖昧な感覚。

う~ん、この空間には、覚えが有るな~。

しっかしコアさんや、運ぶにしても、いくら何でも急すぎるだろ。せめて一声掛けるとか、有っても良いと思うぞ?
……最近、事務的な事でしか話していなかったから、拗ね ~否定~ あ、ハイ。

久しぶりの食い気味否定、頂きました。本当に意思が無いのかと突っ込みたくなるな。
取り敢えず、コアさんの存在は確認っと。これで、ちょっとは安心かな。

次に、自身の状態を確認。

腕、ナーシ
足、ナーシ
目、360度確認可能、そもそも頭ナーシ
その他、全部ナーシ

うん、体無い。完全に魂だけだな。
この状態だと、ちょっと精神的に不安定な感じがすっから、自分の体をイメージ。

胴体、腕、足、頭、目、耳、口……内臓等の中身は良いとして、外見をイメージで固めていく。

……こんなもんでしょうか?
手を払い、体の調子を確かめる。あ、服忘れてた……うん、これで良いですね。

「ちょっと君、慣れ過ぎじゃない?」

体が完成したかと思うと同時に、声を掛けてくる存在が一つ。
想像力は、【創造】でかなり鍛えられましたからね。この程度、軽いものですよ。

さて、俺を連れてきたのは、コアさんよりも、目に前の白い球体の方だと考えるのが自然ですかね……何故でしょうか、超不機嫌なご様子。

「冷静だね。大体の人は、この状態になると慌てふためくって言うのに」

はぁ、何か申し訳ありません。なんせ、突然攫われるの、これで三回目なもんで。

「……君も、数奇な運命をたどっているね」

そう言いながら、白い球体は形を変え、小さな人の形を取って行く。

「早速で悪いけど、やってくれたねぇ~君」

現れたのは、超美形の男の子。その見た目からは想像できない、威圧感を放っている。
間違いなく俺よりも、神の使いであるコアさんよりも、上位の存在。
う~ん、そんな方にお呼び出しを受ける様な事、しましたかね?

【創造】し過ぎたでしょうか? それとも、ダンジョンを大きくし過ぎた? はたまた、タイミングからして、獣人さん方を受け入れたのがイケなかったのでしょうか?

そもそも、貴方はどなたなのでしょうか?

「君なら、予想位付いているんじゃないかな?」

まぁ、何となく?

真っ白な何もない空間。これは、魂だけの状態で入ることができる【魂の間】、俺がダンマスになった時に入った空間と同じもの。

更に、世界樹さんの警戒網を無視し、コアさんが警告する間もなく、俺の魂だけをこの空間に引きずり込める。
そして何よりも、俺以上の権限で、コアさんに命令できる存在。

……神様。

「正解」

何で、こんなタイミングでお呼び出しを受けたんでしょうか? 普通は、転移する時に話をするもんじゃ無いので?

「こっちにも色々事情が有ったんだよ。僕が君を見つけたのだって、つい最近なんだから」

見つけた? つまり、俺がこの世界に来たのは、神様の采配では無いって事ですか。

「ま~、そうだね。不幸な事故だと思っていいよ。本来なら、何の手順も踏まずに、他の世界から迷い込むことはないからね」

ふむふむ、成る程。事故なら仕方が無いですね。その過程に何があったかは別として。
……なぜ、目線を逸らすんですかね~。

「ん、ん˝! 君をここに呼んだのは他でもありません、君が作った魔道具の事です」

……魔道具? 全く予想していなかったとこが来ましたね。理由を伺っても?

「魔道具もそうですが、魔術の術式検索方法、これが世に流れると困るんだよ」

あぁ、そっちですか。あれ位、思いつく人は居ると思うんですがね~。
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