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102 お茶会
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サンサンと輝く太陽、
適度に湿気を帯びた心地よい風、
様々な属性の魔力を含んだ空気(違いが分からん)
「メルルルル、天候に恵まれましたな!」
ただいま、世界樹さんの“元頂上付近”に作られたテラスで、お茶会の真っ最中。
少し前にお客さんの寝床として提供した場所ですが、元になった枝の成長が止まった為、世界樹さんの成長に比例して、頂上から遠のいて仕舞った。まぁ、高さ自体は同じですし、絶景であることに変わりは無いですけどね。
気持ち少々暑くなってきた気がするが、標高が高いお陰か、過ごしやすい気温となって居る。今までが春だとしたら、もうすぐ夏でしょうか。
……この世界に、四季は有るのでしょうか? 魔力の流れとか、属性の偏りとかで気候が変わったりしそうですけど、星とか宇宙とかこの星の自転とか、どうなっているんでしょうね。
……そもそも、星の形をしているかすら怪しい。平面の可能性とかもありそうです。
余裕ができたら、そっちの方面にも手を出してみるのもアリかも知れない。
「うま~~~」
(このジュース、おいし~~~!)
「ふ~~~……お茶、なかなかいいですわ」
「これって、どこで作ったキノコ?」
「あ、それクロカゲと俺が共同で作った、属性ガン積みキノコだ!」
「中々いけるな……」
「肥料にもこだわってるよ~♪」
ちなみに、何故お茶会かと言うと、皆さんが人の営みを知った為である。
ソースはゴトーさん。嬉々として人の営みを語るので、興味を持った子達が招集をかけ、会場から食料まで全て自力で準備し、開催まで至ったのだ。
その期間、たったの半日……早いよ!?
いや、まぁ、普段の行動に制限は掛けていませんし、行事自体は嫌じゃないですからいですけどね。
今回は、食品のお披露目みたいになっていますし、今度は品評会みたいに、作った物を持ち込んでみるのもアリかもしれない。
……ただ、せめて一言欲しかった。
「……」(ムッス~~~)
お陰で、世界樹さんが不機嫌になって仕舞った。頬を膨らませて、私、不機嫌ですと無言で訴えかけてくる。
人が行う行事って所が、気に入らないご様子。事前にフォローできて居れば、少しは変わったと思うんですけどね~。
「機嫌直してくださいよ」
「……」(プイ)
「折角作ってくれたのに、美味しいですよ?」(ポリポリ)
「……食べるなの」
まぁ、本気で嫌がっている訳では無いので、そこまで深刻でも無いですがね。
嫌なものは嫌、気持ちの問題ですから、こればっかりは仕様がない事です。世界樹さんの場合、事が事ですからね~。あ、このクッキーモドキ美味しい。
「マイロード、ミストレス、お茶のお代わりは如何ですかな?」
「いただきます」
「……なの」
今イベントの発信者が音も無く現れ、お茶のお代わりを進めてきた。
執事姿が板についてきましたね、動きも洗練され、違和感が無くなってしまった。一体どこで学んだのやら、冒険者として活動して、学べるとは思えないのですが。
エンバーに居たはずのゴトーさんですが、お茶会開催と聞いて、すぐさま戻ってきたのだとか。結構距離あったと思うんですがね~。
<神出鬼没>、ここまで優秀なスキルとは……あ、このブレンド茶美味しい。
―――
「最近、主様の気持ちが分かってきた気がします」
「ん~……何かありましたっけ?」
「砦建設に向かわせた一団が、休憩時間も使って作業に没頭している様でして……」
あー、成る程。とうとう種族全体が、ワーカーホリック化しましたか。同じ種族ですから、なってもおかしくないですね。
「それと同時に、主様にこのような心労を掛けていたかと思うと……」
「あぁ、いえいえ、クロスさんは割とそこまで心配していませんでしたよ? 話せば分かって貰えると思っていましたし、実際そうでしたから」
最近は、クロスさんもいろんな事に挑戦している様で、時たま見せていた、思いつめる様な雰囲気も無くなりましたからね。
それに、話をしてからクロスさんとの距離が縮まった気がする。今回のように相談をしに来るようになりましたし、一人で抱え込むことも無くなりましたからね、安心して見ていられます。
「で、現地はどんな感じなんですか?」
「責任者を付けた幾つかのグループに分け、それぞれのエリアを担当させているのですが、自主活動の様でして、自由時間なのだから、好きな事をしたいと言っている様です。地表部分を担当している蜂の方も、同様の様でして……」
「おおぅ、妙な知恵を付けてからに。う~~~ん、なら、様子見で良いのでは? やりたいことを無理に止めるのも、やる気自体を削いでしまう可能性も有ります……体調管理はできて居るのでしょう?」
「……そうですね、頻繁に様子を見る事に致します」
話が一区切りした所で、ゴトーさんが淹れなおしてくれたお茶を、クロスさんと一緒に飲む。殆ど事務的な話しかしませんが、このぐらいの距離感が一番しっくりくる。
長閑な時間が流れていく、こういうのも良いな~~~……。
「ぬ~~~~し~~~~」
声がした方を見ると、ドッスンドッスンと、ゆっくりこちらに向かって来る巨体と、一緒に向かって来る一団が視界に入る。
「おや、テラさんがここまで来るなんて、珍しいですね」
「えへへ~~~~~~~~~、御呼ばれしました~~~」
テラさん。獣族の魔物で特に巨体なものが多い象。固い皮膚と厚い体毛に覆われており、水晶の様に透き通った二本の大きな牙が特徴。
主に世界樹さんの外、領域の(たぶん)南側に存在する雪原を主な活動範囲にしている子で、今一緒にいる、森を住処にしているモフモフさんやモコモコさん、世界樹さんを拠点にしているホロウさんとは接点は無いと思うのですが、どんな繋がりでしょうか?
「モコモコさんとモフモフさんが一緒なのはいつも通りですけど、テラさんとホロウさんまで一緒なのは珍しいですね?」
「そうですかな?」
「確かに~~~、ずっと~~~、外に~~~、居るから~~~」
「僕がテラと一緒に居ることが多いから、その繋がり?」
「成る程。モフモフさんは、ホロウさんと…てか、殆どの方と仲が良かったですね」
「うん! みんな大好き!」
「そうですか~、大好きですか~」
モフモフさんが鼻をひくひく、耳をきょろきょろさせながら膝の上に乗り、両前足を万歳させながら答えてくれた。
あらヤダ可愛い……可愛いのでモフッときます。ここかな? あ、こっちかな?
「キャフ~~~~~~……」
名付けの親である世界樹さんの方が、一緒にいる時間が長いですからね。モフモフさんをモフッたの、これが初めてかな? 中々の毛並みで。
嫌がってない……どころか、むしろ気持ちよさそうに目を細めていますし、撫で方間違ってなさそうですね……なので、その……モコモコさんや、世界樹さんや、そう睨むのをやめて下さいませんか?
「……ロリコン」
「……寝取られたなの」
「そんな言葉、どこで覚えて来るんですか……」
全く、事実無根である。そう言った言い掛かりが冤罪に繋がるんですよ。
確かに、動植物や子供は好きですけど、そんな感情、誰だって持っていても全くおかしくないでしょうに。
「なら、放す」
「う~~~ん、俺はやめても良いんですけど……ねぇ?」
「……止めちゃうんですか?」
モフモフさんが、それを望んでないんですよね~。だから、そんなに睨まないでくださいよ。警戒心が強いな~もう。仲間内くらい、信用したっていいでしょうに……
「ム~~~……」
「あ、なら私が代わりにモフルなの!」
「……主の方が……気持ち良い」
「やっぱり寝取られたなの!!! な~~~~~~~の~~~~~~~~!!!!!」
叫びながら、世界樹さんが走り去っていった。
ガチ泣きしていた様に見えましたけど……あ、転んだ。
「ふわ~~~~~~~ん!!!」
その日、少女の鳴き声がいつまでも響いたとか、響かなかったとか……後のフォローが大変そうだ。
適度に湿気を帯びた心地よい風、
様々な属性の魔力を含んだ空気(違いが分からん)
「メルルルル、天候に恵まれましたな!」
ただいま、世界樹さんの“元頂上付近”に作られたテラスで、お茶会の真っ最中。
少し前にお客さんの寝床として提供した場所ですが、元になった枝の成長が止まった為、世界樹さんの成長に比例して、頂上から遠のいて仕舞った。まぁ、高さ自体は同じですし、絶景であることに変わりは無いですけどね。
気持ち少々暑くなってきた気がするが、標高が高いお陰か、過ごしやすい気温となって居る。今までが春だとしたら、もうすぐ夏でしょうか。
……この世界に、四季は有るのでしょうか? 魔力の流れとか、属性の偏りとかで気候が変わったりしそうですけど、星とか宇宙とかこの星の自転とか、どうなっているんでしょうね。
……そもそも、星の形をしているかすら怪しい。平面の可能性とかもありそうです。
余裕ができたら、そっちの方面にも手を出してみるのもアリかも知れない。
「うま~~~」
(このジュース、おいし~~~!)
「ふ~~~……お茶、なかなかいいですわ」
「これって、どこで作ったキノコ?」
「あ、それクロカゲと俺が共同で作った、属性ガン積みキノコだ!」
「中々いけるな……」
「肥料にもこだわってるよ~♪」
ちなみに、何故お茶会かと言うと、皆さんが人の営みを知った為である。
ソースはゴトーさん。嬉々として人の営みを語るので、興味を持った子達が招集をかけ、会場から食料まで全て自力で準備し、開催まで至ったのだ。
その期間、たったの半日……早いよ!?
いや、まぁ、普段の行動に制限は掛けていませんし、行事自体は嫌じゃないですからいですけどね。
今回は、食品のお披露目みたいになっていますし、今度は品評会みたいに、作った物を持ち込んでみるのもアリかもしれない。
……ただ、せめて一言欲しかった。
「……」(ムッス~~~)
お陰で、世界樹さんが不機嫌になって仕舞った。頬を膨らませて、私、不機嫌ですと無言で訴えかけてくる。
人が行う行事って所が、気に入らないご様子。事前にフォローできて居れば、少しは変わったと思うんですけどね~。
「機嫌直してくださいよ」
「……」(プイ)
「折角作ってくれたのに、美味しいですよ?」(ポリポリ)
「……食べるなの」
まぁ、本気で嫌がっている訳では無いので、そこまで深刻でも無いですがね。
嫌なものは嫌、気持ちの問題ですから、こればっかりは仕様がない事です。世界樹さんの場合、事が事ですからね~。あ、このクッキーモドキ美味しい。
「マイロード、ミストレス、お茶のお代わりは如何ですかな?」
「いただきます」
「……なの」
今イベントの発信者が音も無く現れ、お茶のお代わりを進めてきた。
執事姿が板についてきましたね、動きも洗練され、違和感が無くなってしまった。一体どこで学んだのやら、冒険者として活動して、学べるとは思えないのですが。
エンバーに居たはずのゴトーさんですが、お茶会開催と聞いて、すぐさま戻ってきたのだとか。結構距離あったと思うんですがね~。
<神出鬼没>、ここまで優秀なスキルとは……あ、このブレンド茶美味しい。
―――
「最近、主様の気持ちが分かってきた気がします」
「ん~……何かありましたっけ?」
「砦建設に向かわせた一団が、休憩時間も使って作業に没頭している様でして……」
あー、成る程。とうとう種族全体が、ワーカーホリック化しましたか。同じ種族ですから、なってもおかしくないですね。
「それと同時に、主様にこのような心労を掛けていたかと思うと……」
「あぁ、いえいえ、クロスさんは割とそこまで心配していませんでしたよ? 話せば分かって貰えると思っていましたし、実際そうでしたから」
最近は、クロスさんもいろんな事に挑戦している様で、時たま見せていた、思いつめる様な雰囲気も無くなりましたからね。
それに、話をしてからクロスさんとの距離が縮まった気がする。今回のように相談をしに来るようになりましたし、一人で抱え込むことも無くなりましたからね、安心して見ていられます。
「で、現地はどんな感じなんですか?」
「責任者を付けた幾つかのグループに分け、それぞれのエリアを担当させているのですが、自主活動の様でして、自由時間なのだから、好きな事をしたいと言っている様です。地表部分を担当している蜂の方も、同様の様でして……」
「おおぅ、妙な知恵を付けてからに。う~~~ん、なら、様子見で良いのでは? やりたいことを無理に止めるのも、やる気自体を削いでしまう可能性も有ります……体調管理はできて居るのでしょう?」
「……そうですね、頻繁に様子を見る事に致します」
話が一区切りした所で、ゴトーさんが淹れなおしてくれたお茶を、クロスさんと一緒に飲む。殆ど事務的な話しかしませんが、このぐらいの距離感が一番しっくりくる。
長閑な時間が流れていく、こういうのも良いな~~~……。
「ぬ~~~~し~~~~」
声がした方を見ると、ドッスンドッスンと、ゆっくりこちらに向かって来る巨体と、一緒に向かって来る一団が視界に入る。
「おや、テラさんがここまで来るなんて、珍しいですね」
「えへへ~~~~~~~~~、御呼ばれしました~~~」
テラさん。獣族の魔物で特に巨体なものが多い象。固い皮膚と厚い体毛に覆われており、水晶の様に透き通った二本の大きな牙が特徴。
主に世界樹さんの外、領域の(たぶん)南側に存在する雪原を主な活動範囲にしている子で、今一緒にいる、森を住処にしているモフモフさんやモコモコさん、世界樹さんを拠点にしているホロウさんとは接点は無いと思うのですが、どんな繋がりでしょうか?
「モコモコさんとモフモフさんが一緒なのはいつも通りですけど、テラさんとホロウさんまで一緒なのは珍しいですね?」
「そうですかな?」
「確かに~~~、ずっと~~~、外に~~~、居るから~~~」
「僕がテラと一緒に居ることが多いから、その繋がり?」
「成る程。モフモフさんは、ホロウさんと…てか、殆どの方と仲が良かったですね」
「うん! みんな大好き!」
「そうですか~、大好きですか~」
モフモフさんが鼻をひくひく、耳をきょろきょろさせながら膝の上に乗り、両前足を万歳させながら答えてくれた。
あらヤダ可愛い……可愛いのでモフッときます。ここかな? あ、こっちかな?
「キャフ~~~~~~……」
名付けの親である世界樹さんの方が、一緒にいる時間が長いですからね。モフモフさんをモフッたの、これが初めてかな? 中々の毛並みで。
嫌がってない……どころか、むしろ気持ちよさそうに目を細めていますし、撫で方間違ってなさそうですね……なので、その……モコモコさんや、世界樹さんや、そう睨むのをやめて下さいませんか?
「……ロリコン」
「……寝取られたなの」
「そんな言葉、どこで覚えて来るんですか……」
全く、事実無根である。そう言った言い掛かりが冤罪に繋がるんですよ。
確かに、動植物や子供は好きですけど、そんな感情、誰だって持っていても全くおかしくないでしょうに。
「なら、放す」
「う~~~ん、俺はやめても良いんですけど……ねぇ?」
「……止めちゃうんですか?」
モフモフさんが、それを望んでないんですよね~。だから、そんなに睨まないでくださいよ。警戒心が強いな~もう。仲間内くらい、信用したっていいでしょうに……
「ム~~~……」
「あ、なら私が代わりにモフルなの!」
「……主の方が……気持ち良い」
「やっぱり寝取られたなの!!! な~~~~~~~の~~~~~~~~!!!!!」
叫びながら、世界樹さんが走り去っていった。
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