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62 生誕祭!③
しおりを挟む~純妖【スポナー(中)】を設置します~
魔物【生産】ラッシュも大詰め。生まれたのは、黒い瞳がポチっとついた真っ白な毛玉が二匹だ。
「うひょ~~~」
モフモフ狂いになった世界樹さんが、優しくかつ、当然のごとく飛びつく……が
― スカ ―
「……?」
まるで空中に漂う羽毛を掴み損ねるかの様に、スルリと世界樹さんの手から逃れる。
― スカ ―
― スカ・スカ ―
― スカ・スカ・スカ・スカ・スカ…スカスカ ―
「むっきーーー!!」
「……」(……フ)
「あ~、バカにしたなの! もう手加減しないなの! 絶対捕まえて、モフリ倒してやるなの!!」
そんな二人を横目に、残りの一匹がふわりと俺の手に収まる。そうですよね~、無理やり掴まれたくは無いですよね~。
うんうんと同意するような感覚が、掌の子から伝わってくる。生まれたで言語は話せないけど、しっかりした自我は有る様だ。軽い上に存在が希薄なので、触り心地はちょっと物足りないかな?
~純獣【スポナー(中)】を設置します~
そんな俺の思いを察したのか、純獣の【スポナー】を設置してくれるコアさん、マジ有能。
【スポナー】から5匹、純獣が生まれてきた。縞模様や斑模様が有ったりと、こちらも個性豊か。体型等については、前回と同じなので省略。モフモフですわ~。癒されますわ~。
とうとう次が最後になる。ファンタジーと言ったら定番のこの子!
~純竜【スポナー(中)】を設置します~
「キュワ!」
これまたポッテっとした真っ白な体に、小さな手と翼、クリっとした瞳がチャームポイント。最強種の一角ドラゴン!
生れたのは一匹だけ。今までは2匹以上で生まれて来ていましたから、この数は初かな?
ポテンシャル高目に【創造】しましたからね~、しかたないですね!
ポテポテと、不安定ながらもこちらに向かって歩いて来る……あらヤダ可愛い。まるで歩けるようになったばかりの子供の様な歩き方だが、そこがまた保護欲をそそりますね~。歩くたびに、小さな翼もパタパタ動くのも好ポイント。
足元まで来たので持ち抱えると、思いの外ずっしり来た。意外と重いね。生れたての為か、鱗もまだ柔らかい、プニプニである。レベルが上がれば頑丈になるかな? あ、お腹が一番柔らかい。
「……キャウ」
居心地が悪かったのか、もぞもぞと身動ぎ俺の体をよじ登る。頭まで来ると、肩車をする様な形で足を放り出し、ポフっと頭の上に顎を乗せる。
「……キャフ~」
収まりがよかったのか、気の抜けたような声を上げる。肩車が気に入った様だ。気分がいいのか、背中をぺちぺちと尾で叩いてくる。先っちょだけ触れるのがちょっとこそばゆい。
これで、俺が【創造】した魔物の、基本であるピュア種は全て出ました。この子達がどんな風に進化するか、今から楽しみですね!
~純粘液【スポナー(中)】を設置します~
~純蟲【スポナー(中)】を設置します~
~純獣【スポナー(中)】を設置します~
~純鳥【スポナー(中)】を設置します~
~純魔【スポナー(中)】を設置します~
~純霊【スポナー(中)】を設置します~
~純種【スポナー(中)】を設置します~
~純蜥蜴【スポナー(中)】を設置します~
~純魚【スポナー(中)】を設置します~
~純貝【スポナー(中)】を設置します~
~純妖【スポナー(中)】を設置します~
~純竜【スポナー(中)】を設置します~
最後に、【スポナー】をそれぞれの部屋に設置する。ちなみに、全て基本機能に合った<解放>で生産設定してある。今後生まれてくる子達は、ダンジョンに所属していない、普通の魔物になる……倒したらDP入るのかな? 魂の繋がりが消える、三段階目からなら入るかな?
【生産】速度は統一する。その方がDPの計算が楽ですからね。それに、弱い種類の子ほど繁殖も早いですし、【スポナー】で生み出すのも初期だけ。その後は自然繁殖に任せますし、当初の予定通り、そこまで細かく管理するつもりはありません。環境に合わせた進化と繁殖をしてくれることでしょう。これだけ食料が有れば、餓死することも無いでしょうしね。
一番【生産】が遅い【スポナー】は…っと、純竜の24時間ですか……24時間に一匹。さ、流石にこれに合わせるのは無いですね。
竜種を強く設定しすぎたかな? でも、ほら、ドラゴンは純粋に強いイメージありません? 強いと言えばドラゴン、ドラゴンと言えば強い。これ、自然の摂理なり。他にも強い種族は居ますけど、スキルとか尖ったステータスなイメージが有る。物理無効のスライムとかですね。
次に遅いのは~、純魔、純妖、純霊の1時間に2匹ですね。では、この時間に合わせましょうか。
迷宮所属の魔物を増やす場合は、新たに【生産】するか、再契約の様に外から来た魔物を、ダンジョンに所属する魔物にすることも出来る<染魔>機能を取るか、配下の魔物の配下に入るかですね。容量に余裕ができたら取るか考えましょう。今はまだ必要ありませんし。
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ」
「まだやっていたんですか? もう全部終わりましたよ?」
純妖と戯れていた世界樹さんは、結局捕まえることができなかった様だ。息を荒げながら、項垂れている。
依り代でも疲れるんですね。そんな世界樹さんの頭の上に、あざ笑うかのように純妖が乗っている。完全に舐められていいますね……あ、ぶっ倒れた。
そのまま世界樹さんの依り代は、光の粒子になって消えていった。そこまで全力にならなくても……。
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