ブチ切れ世界樹さんと、のんびり迷宮主さん

月猫

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56 お散歩①

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~ピピピ・ピピピ・ピピピ~
~おはようございます、マスター~
~DP300を回収しました~
~迷宮化が終了しております~

「ん~~~~~! おはようございます」
「おはようなの!」

世界樹さんが、苗木から若木へと成長してから、五日目の朝になります。
あれから、問題らしい問題もなく、のんびりゆったり、迷宮と領域の拡張を進めている。ちなみに今の状態はこちら。

薬樹の迷宮(仮) LV(レベル):6
特性:植物・水
DP:196万9300
【迷宮】【創造】【作成】【倉庫】【観覧】【その他】
処理能力:7,800/8,000(使用率97%)
機能容量:7,000/8,000

表示をカスタマイズできたので、ちょっと弄りました。レベルも5から6に上がり、次ももう少しですね、領域拡張分が終われば上がるかな?
生活空間の充実にも、手を出し始めた。椅子とか机とか、ベッドとかですね。素材が木材な為、DPが安いこと安いこと。世界樹さんが成長して、それに伴い不要になって切り落とした枝が、手に入ったんですよね。
一部は肥料や、欲しい子が居たら渡し、余った分は【倉庫】にしまっている。素材があるから、DPは加工分しかかかっていない訳です。
ちなみに、風呂場はそのままです。拠点を移し、風呂の近くにしようかとも思いましたが、結局コアルームに落ち着きました。居心地が良いんです、ここ。あれです、銭湯通いだと思う事にしました。銭湯に行った事ないですけど。

DPの<回収>機能も、きちんと機能しています。初日が途中からだった事もあり、期待していなかったのですが、なんと! 1DPも入ったのだ! 土地がこんな状態ですから、0も覚悟していたんですけどね~。
それよりも、日に日にDPの回収量が上昇していることの方が大きいですね。領域が広がり、それに合わせて植物と属性付きの魔力が広がっているからだと思いますが、ここに魔物が加わったら、どうなるんでしょう? 今から楽しみです。

ほかにも、迷宮のレベルが上がって、処理能力が上昇した為か、領域の<拡張速度>を取らなくても、領域拡張の速度も効率も上がっているみたいなんですよね。
レベル1の時は、100DPで12時間程かかっていたところ、広がり方を見たら。11時間程度? まで、効率アップしていました。レベルさえ上がれば、効率アップ系は取らなくても行けるみたいですね……このことは、世界樹さんには言わない事にしましょう。効率を求めて、散々突っ込まれましたからね。その関係で、容量も残っています。何を取りましょうかね?

「……さっきから何をしてるなの?」
「朝ごはんの用意です」

現状確認をしながらも、作業の手は止まらない。朝食を食べる習慣が付いてきたので、今回は本格的な調理に挑戦中です。材料の種類もそこまで多くないですし、シンプルに行きましょう。

ご飯の代わりに、ポロポロ草の実を炊き、帯魔草を湯がいて“おひたし”と、各種キノコの白ペパー(塩味)焼きを作る。
甘みのあるホロロンの実を擦り下ろし、各種ペパーと合わせ、蓄魔草の根を炒めて作った“きんぴら”モドキの作り置きを【倉庫】から出し、ホロホロ草はそのまま“サラダ”にする。ホロホロ草は切らなくても千切りになっているから便利だ。
最後に、世界樹の葉の上に盛り付け完成です! 
……あれ~? 元の世界で食べていた物よりもまともな食事な気がするのは、気のせいかな?

「いただきます!」
「い、いただきます? なの」

うん、なかなか行けるじゃ無いですか。いろいろと触感とか、味とか違いますけど、十分食べられるレベルだ。
世界樹さんは……ちょっと味が感じにくいみたいですけど、意外と気に入ったご様子? 味よりも、食べる行為自体が気に入ったみたいです。
これからも、食事を作る時は二人分作りましょう。成長し、食事に慣れれば、世界樹さんの味覚も鋭くなることでしょう。
その後も、世界樹さんと雑談しながら食事を取る……こういうのも、悪くないですね。

「今日は何をするなの?」
「そうですね~、滅茶苦茶だった迷宮の修正も出来てきましたし、今日はぶら~と、散策でもしましょうか」
「迷宮内を散歩なの? 付いて行くなの!」

そうですね~、まずは何処から回りましょうか。

―――

ぶらぶらと、迷宮内を練り歩く。特に罠等は仕掛けられていないので、気兼ねなく進んでいく。そうすると、通路の先に白い糸が頻繁に見られるようになってきた。最初にたどり着いたのは、蜘蛛タラントが住んでいるエリアですね。

アルトの様に、群れで行動する子達は分かるんですけど、単独で行動する子達も、近い場所に拠点を置くんですよね。ご近所付き合い、みたいな感じだ。集まりはするけど、他者の巣には上がらない、程よい距離感というやつですね。野生になったら、違うかもしれないですけど。

「やぁ、こんにちは」
「なの!」
「…へ」

エリアへの入り口付近にいた、一匹の蜘蛛タラントに声を掛ける。
この数日の間に、皆さんと顔合わせは済ませてあるので、向こうもこちらの事は分かっている。コアルームで数匹に会っただけで、彼らの巣に直接上がるのは初めてですけど。
特に、蜘蛛タラントはドライな所がある子達なので、自分の縄張りに他人が入っても、そこまで気にしないみたいです。奥まで進んで行くと、蜘蛛タラントの集団が見えてきた。

魔力結晶を眺める子
巣の調整をしている子
糸を丸めて玉にしている子

他の事をしている子も居るが、やっていることは、大体こんな感じですかね。

「結晶を見るのと、巣を整えるのは分かるんですけど、糸玉を作るのはなんでなんです?」
「…へ」

…何言っているか、わかんね。

「ふ~ん、蜘蛛タラントも大変なの」
「え、何を言っているか分かるんですか?」
「当然なの」

マジですか……そう言えば、世界樹さんにとって、魔物はお友達でしたね。会話ができてもおかしくないのか。
しかし何でしょう、この敗北感は……相手が世界樹さんだからですかね?

「……なぜなの? バカにされてる気がするなの」
「そんなまさか、世界樹さんは凄いなと、改めて思ったダケデスヨ」
「そ、そうなの? ふふ~ん! もっと褒め称えると良いなの!」

やっぱ、チョロい。こら蜘蛛そこ、世界樹さんを可哀想な子を見る様な目で見ない!

「それで、なんて言っているんですか? 翻訳をお願いします」
「なの! 糸の元が溜まっちゃうから、外に出しているらしいなの」

あら、そうでしたか。【創造】で作る時、そこは考えていなかったですね。余りに大変なら、対処したほうがいいですかね?
今から【創造】で変えるのは無いですね、今の子は変わらないですし。やるとしたら、まだ居ない進化後の種類からですかね?

「なのなの…、特に気にして無いみたいなの。むしろ、暇な時の手遊びに丁度いいらしいなの」
「おや、そうでしたか」
「…へ」
「? ……なの。それに、自分の意志で作らない分、楽らしいなの」

成る程、あれですね。人間で言うところの、血液を勝手に作るようなもんですかね。古い材料が体内に残っているのも体に悪いでしょうし、このままでいいかな?
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