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52 完全復活・・・なの!
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久しぶりな風呂、体が変わって丈夫になったこともあって、大分長湯してしまった。そろそろ上がろうかと思った矢先のこと。
「ふへ~~~~~……なの」
大人しくなっていた世界樹さんから、気の抜けた声が上がった。
「これが風呂……中々なの」
何のことかと尋ねる前に、風呂の水位が急激に下がっていくことに気付いた。まさか、まさかこいつ!?
上流を見てみると、巨大な根が張っているのを確認できた。やりやがった! ?
「ちょっと世界樹さん! 大丈夫なんですか!?」
「なの? 何がなの?」
「熱湯なんて吸収して、焼けたりしないんですか?」
せっかく影響が出ないように、離した所に造ったのに、これでは意味がないじゃないですか。
「この程度、魔樹クラス以上に成れば、何ともないなの。世界樹を舐めるななの!」
そう言えば、焼かれても平気な世界樹でしたね。最近、残念なイメージしかなかったから、忘れていました。
「何か失礼な事、考えてないなの?」
「そんなまさか、世界樹さんの事が心配だったダケデスヨ」
「そ、そうなの? ……だったら……いいなの」
いや、世界樹さんや、チョロすぎませんか?
「は~、取り敢えず、体調が悪くならない程度にして下さいね? あと、毒薬みたいなのも在りましたから、ちゃんと避けて下さい」
「分かったなの、でも毒程度私には効かないなの!」
それもそうでした。死毒レベルでやっと効くかどうかでしたね、なら、そこまで気にしなくても大丈夫でしょうか? 粘液(スライム)さん達を常備させておけば、何かあっても対応できるかな? 粘液(スライム)からしたら、ここは居心地がいいでしょうし、頼んでおきましょう。
「てか、根が張っちゃいましたけど、ずっと風呂に入っている状態ですか?」
「ここから吸わなければ、問題ないなの」
吸う場所選択できるんですか……なら、もういいか~。(諦め)
「プルさ~ん、そろそろ上がりますよ~?」
(まだ、ここにいる~。ここにすむ~♪)
そんなに気に入りましたか……なら、丁度いいですね。
「住むなら、ここの管理でもしますか?」
(?)
「水温や水位の調整とかですね。異変が起きたら、知らせてくれるだけでもいいですよ」
(みんなも、きていいの~?)
「いいですよ~。好きに使ってください。他の種族の子達にも、使わせてくださいね?」
(わ~い♪)
うん、これでここの管理は大丈夫ですかね? 定期的に入りに来ますし、他の子達も利用する。ヤバい事にはならないでしょう。
プルさんを置いて、コアルームまで戻る。風呂に入るだけで、この道を往復するのはな~。機能にあった<配置設定>取ってしまいましょうか? あ、世界樹さんは、さっさと依り代を解除して先に戻りました。便利ですよね~。
―――
「決まったなの!」
コアルームに戻って早々、依り代を解除して先に帰っていた世界樹さんが、右手を突き出し、ふんぞり返りながら宣言した。どっかで見たようなポーズですね。
「他にも見てみたけど、やっぱり<成長>を取るなの!」
「やっぱりそれになりましたか、残り容量500ありますけど?」
「残りは任せるなの!」
「なら、俺は<吸収>にしましょうか」
「やっぱりそれなの」
「お互い単純ですね~」
「なのなの」
~容量500を使用し、<成長>を習得しました~
~容量500を使用し、<吸収>を習得しました~
「よしよし、これでDPが手に入りますね! コアさん、収支はどれ程で?」
~現在集計中になります~
「了解です。まぁ、それほど期待はして無いですけどね~」
「あれ、そうなの?」
「今の領域内の状態を考えると……ねぇ」
「あ~、なるほどなの」
速く結果が知りたいですね~。取得できるDPによって、領域内の生命の量が、豊かさが分かるでしょうから、今後の指標にできる。
「次は<成長>なの!」
「そうですね、試しに1,000以下の端数程使ってみますか」
成長…成長か。
「その前に、世界樹さんって根の時みたいに、成長の仕方を操作できますか?」
「なの? できるなの。止めたりはできないけどなの」
「なら、成長する方向をこっちにしてみては?」
俺は地図を出し、提案してみる。
「その方向は…」
「そう、世界樹さんを襲った“人間”が来た方向です」
世界樹さんの依り代から、黒い影がにじみ出てくる。が、自分を見失うようなことはない。少しは落ち着いてきたかな?
「…なぜなの」
「この方向は、害虫の被害が少ないです。殆どこっちに来ましたからね。簡単に領域拡張ができる方向に広がる必要は無いでしょう? それに、自然が回復する予定の領域を、占有することは無いです。人間共の生息地を貰いましょう」
「…ふふ、ふふふふふ、あっはははははは!! 最高! 最高なの!! どうやって攻めてやろうかと思っていたけど、採用なの! 飲み込んでやるなの!!」
あ~、やっぱり駄目ですか。世界樹さん…あなたはまだ、狂っているんですね。
―――
「それでは行きましょうか」
「な~の!」
~766DPを消費し、【世界樹】に対して<成長>を実行します~
「お? おおおぉ!? 来たなの! 何かが来たなの!!」
ギチギチミチミチと、木が軋む音が響く。ちょっと世界樹さん、大丈夫ですか!?
「キターーーーーー!!!」
世界樹さんの依り代が光り輝き、辺り一面を白く染め上げる。
~【世界樹(苗木)】の状態異常が解除されました~
~【世界樹(苗木)】が成長しました。【世界樹(苗木)】LV100は【世界樹(若木)】LV1に戻りました~
~【世界樹(若木)】の弱体化が解消されました。残り猶予が解除されます~
「あ~ははははは! 私、完・全・復・活!! …なの!」
光が収まり、視界が晴れる。そこには、少し大きくなって幼児から幼女に成長した、世界樹さんの姿があった。
その口調は変わらないんですね。締まらない様な、安心した様な…。
―――
~領域より、1 DPを回収しました~
「ふへ~~~~~……なの」
大人しくなっていた世界樹さんから、気の抜けた声が上がった。
「これが風呂……中々なの」
何のことかと尋ねる前に、風呂の水位が急激に下がっていくことに気付いた。まさか、まさかこいつ!?
上流を見てみると、巨大な根が張っているのを確認できた。やりやがった! ?
「ちょっと世界樹さん! 大丈夫なんですか!?」
「なの? 何がなの?」
「熱湯なんて吸収して、焼けたりしないんですか?」
せっかく影響が出ないように、離した所に造ったのに、これでは意味がないじゃないですか。
「この程度、魔樹クラス以上に成れば、何ともないなの。世界樹を舐めるななの!」
そう言えば、焼かれても平気な世界樹でしたね。最近、残念なイメージしかなかったから、忘れていました。
「何か失礼な事、考えてないなの?」
「そんなまさか、世界樹さんの事が心配だったダケデスヨ」
「そ、そうなの? ……だったら……いいなの」
いや、世界樹さんや、チョロすぎませんか?
「は~、取り敢えず、体調が悪くならない程度にして下さいね? あと、毒薬みたいなのも在りましたから、ちゃんと避けて下さい」
「分かったなの、でも毒程度私には効かないなの!」
それもそうでした。死毒レベルでやっと効くかどうかでしたね、なら、そこまで気にしなくても大丈夫でしょうか? 粘液(スライム)さん達を常備させておけば、何かあっても対応できるかな? 粘液(スライム)からしたら、ここは居心地がいいでしょうし、頼んでおきましょう。
「てか、根が張っちゃいましたけど、ずっと風呂に入っている状態ですか?」
「ここから吸わなければ、問題ないなの」
吸う場所選択できるんですか……なら、もういいか~。(諦め)
「プルさ~ん、そろそろ上がりますよ~?」
(まだ、ここにいる~。ここにすむ~♪)
そんなに気に入りましたか……なら、丁度いいですね。
「住むなら、ここの管理でもしますか?」
(?)
「水温や水位の調整とかですね。異変が起きたら、知らせてくれるだけでもいいですよ」
(みんなも、きていいの~?)
「いいですよ~。好きに使ってください。他の種族の子達にも、使わせてくださいね?」
(わ~い♪)
うん、これでここの管理は大丈夫ですかね? 定期的に入りに来ますし、他の子達も利用する。ヤバい事にはならないでしょう。
プルさんを置いて、コアルームまで戻る。風呂に入るだけで、この道を往復するのはな~。機能にあった<配置設定>取ってしまいましょうか? あ、世界樹さんは、さっさと依り代を解除して先に戻りました。便利ですよね~。
―――
「決まったなの!」
コアルームに戻って早々、依り代を解除して先に帰っていた世界樹さんが、右手を突き出し、ふんぞり返りながら宣言した。どっかで見たようなポーズですね。
「他にも見てみたけど、やっぱり<成長>を取るなの!」
「やっぱりそれになりましたか、残り容量500ありますけど?」
「残りは任せるなの!」
「なら、俺は<吸収>にしましょうか」
「やっぱりそれなの」
「お互い単純ですね~」
「なのなの」
~容量500を使用し、<成長>を習得しました~
~容量500を使用し、<吸収>を習得しました~
「よしよし、これでDPが手に入りますね! コアさん、収支はどれ程で?」
~現在集計中になります~
「了解です。まぁ、それほど期待はして無いですけどね~」
「あれ、そうなの?」
「今の領域内の状態を考えると……ねぇ」
「あ~、なるほどなの」
速く結果が知りたいですね~。取得できるDPによって、領域内の生命の量が、豊かさが分かるでしょうから、今後の指標にできる。
「次は<成長>なの!」
「そうですね、試しに1,000以下の端数程使ってみますか」
成長…成長か。
「その前に、世界樹さんって根の時みたいに、成長の仕方を操作できますか?」
「なの? できるなの。止めたりはできないけどなの」
「なら、成長する方向をこっちにしてみては?」
俺は地図を出し、提案してみる。
「その方向は…」
「そう、世界樹さんを襲った“人間”が来た方向です」
世界樹さんの依り代から、黒い影がにじみ出てくる。が、自分を見失うようなことはない。少しは落ち着いてきたかな?
「…なぜなの」
「この方向は、害虫の被害が少ないです。殆どこっちに来ましたからね。簡単に領域拡張ができる方向に広がる必要は無いでしょう? それに、自然が回復する予定の領域を、占有することは無いです。人間共の生息地を貰いましょう」
「…ふふ、ふふふふふ、あっはははははは!! 最高! 最高なの!! どうやって攻めてやろうかと思っていたけど、採用なの! 飲み込んでやるなの!!」
あ~、やっぱり駄目ですか。世界樹さん…あなたはまだ、狂っているんですね。
―――
「それでは行きましょうか」
「な~の!」
~766DPを消費し、【世界樹】に対して<成長>を実行します~
「お? おおおぉ!? 来たなの! 何かが来たなの!!」
ギチギチミチミチと、木が軋む音が響く。ちょっと世界樹さん、大丈夫ですか!?
「キターーーーーー!!!」
世界樹さんの依り代が光り輝き、辺り一面を白く染め上げる。
~【世界樹(苗木)】の状態異常が解除されました~
~【世界樹(苗木)】が成長しました。【世界樹(苗木)】LV100は【世界樹(若木)】LV1に戻りました~
~【世界樹(若木)】の弱体化が解消されました。残り猶予が解除されます~
「あ~ははははは! 私、完・全・復・活!! …なの!」
光が収まり、視界が晴れる。そこには、少し大きくなって幼児から幼女に成長した、世界樹さんの姿があった。
その口調は変わらないんですね。締まらない様な、安心した様な…。
―――
~領域より、1 DPを回収しました~
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