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25 雨ですよ~

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【創造】中~、【創造】中~




~領域拡張が終了いたしました~

ん? うぉ、もうこんな時間か。集中すると時間の流れが速いな。もう夜、日付が変わって深夜だ。

「ん~~~~~~~!」

伸びをして首を回す。肩の凝りをほぐす

「拡張100DP分追加で」

~承知いたしました~

さてさて、寝る前に様子でも見ましょうか。

「・・・ん? もしかして、雨降ってる?」

地上への穴から雨音がしており、チョロチョロと水が流れ入ってきていた。おぉ~、この世界に来てから初の雨だ、こっちにもちゃんと雨があるんだな。

・・・毒ってどうなるんだ? 流れるんじゃ? え? 水って毒の原料に成るのか? そしたら増えない、広がらない? ヤバくね!?
く! 外敵とかは考えていたが、自然現象を計算に入れていなかった。原料になるなり、溶けるなりするなら対処したほうがいいか?
原料にならないなら薄まるとも考えられるけど、範囲が広がる。
他には、原料が豊富なところに流れ込むと余計に増えることになるか? これについては現状対処の仕様がないか。世界樹に触れないなら、対処は後回しだな。
原料になるなら・・・そもそも水って、素材として優秀なのか? いや、優秀でなくても結局増えたら面倒だな。処理能力は追いついているんだ。今はもう、毒性よりも処理する量と範囲が増える方が問題だ。

急ぎ、流れてきている水を確認する。もし溶けるなら、今の場所も危ないことになる。そうなると、粘液達を集めないといけなくなって作業時間が潰れる事になる。それは避けたい。

見た感じ・・・普通の水だな。嫌な感じもしない。これなら?

「コアさん、この水『鑑定』して。」

【水】水。

うん、まごうことなき水である。毒も入っていないとのこと。とりあえずは一安心かな? いや、実際に見ておいたほうがいいか。

「誰か、毒吐き出せる子居ないかー?」

周りに軽く問いかけてみる。そうしたら、地上への穴から毒粘液ポイズン・スライムが何匹かおりてきた。・・・1mほどの大きさの子が。
あれ~? おかしいな、この子達って2~30㎝位の大きさだったよね?
そう思っていると、そのうちの一匹がぴゅ~と水を吐き出した。水を吸って大きくなっている様だ。そんな風にもなれるんだな、自分で【創造】しておいて知らなかった。

「集まってくれてありがと。君たちにお願いしたいことあるんだけど、その前に・・・君たちの中で浮かんでいる物は何かな?」

その子たちに中には赤紫色の物体が漂っていたのだ。いや、まあ何かは想像できているけどさ。
複数いる内の一匹がスライムボールの状態で吐き出してくれた。

【スライムボール】
【死毒】

ですよね~。つまり

水で満たされたスライムの体内+その中で浮かぶ死毒=混ざらない

である。結論、問題なかった。うん、何も問題なかった。
この毒、油性だ。水に全く溶けないし、この子たちが水と死毒を一緒にしているってことは、原料にもならないってことだろ。ほんと良かった。

念のため、直接死毒を水の上に出してもらったが、何の反応もせず浮かんだときは気が抜けた。増える様子も無かったし大丈夫だろ。

「は~~、焦った。ありがとね、この毒処理してもらっていい?」

(ポヨン、ポヨン♪)

水を吸って大きくなっているからか、いつもと動き方が違う。ちょっと重そうだ。本人たちは気にしていない、どちらかと言うと楽しそうだ。

解散した後、どっと疲れが押し寄せてきた。もう深夜だし、疲れていてもおかしくないだろうけどさ。

(パパ~、だいじょうぶ?)
「んぉ? おう、大丈夫だ、問題も片付いたしね」

そこには、いつぞやの毒錬金粘液ポイズン・スライム・アルケミストが居た。いつのまに来たんだ? 驚いて変な声が出てしまった。
ちょうどいいからこの子にも聞いておくかな? てか、<群体>を持っているから事情は知っているか?

「一応君にも聞いていいか? この毒って水に溶けたり、水が原料になったりする?」
(ん? ならないよ~、だいじょうぶ!)
「そっか、ありがとう、助かる」
(えへへ~♪)

うん、あざとかわいい。
安心したら眠くなってきた。今日はもう寝て明日に備えるか・・・。

(ねるの~?)
「うん、今日はもう休むわ」
(いっしょにねる~)
「ん? まぁいいけど」

俺は穴のある位置の反対側まで行き横に成った。濡れたくないし。
溢れないように窪みでも造ればよかったか? ・・・大丈夫か、量もそれ程でもないし、多くなっても近い下への穴の方に流れて行くでしょ。

コアさんに目覚ましを頼んだ後、毒錬金粘液ポイズン・スライム・アルケミストのプルプルを堪能しながら眠りについた。

俺はこの時、気が抜けてしまっていたのだろう。もう少し考えれば、この時点でこの後どうなるか位、予想できたはずなのに・・・。
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