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15 アリの王①
しおりを挟むアルト・リーダー視点
(皆、聞いたな!)
(おう!)
(聞いたよ~♪)
(……うん)
(えっと、それで、あの……どうするの?)
我々は、ピュア・キャピターから進化してすぐに主様より命を受けた。これほどの喜びはない! この姿を選んだ私の選択は間違いではなかったのだ!
必ず成果を上げて見せる。主様の期待に応えねば!!
(うむ、まずは主様の命令に従い無事な根の部分を確認する!土と木の境を掘り進むぞ。)
(この数で全部やるのか?)
(いや、さすがに我々だけでは無理だ。)
(じゃぁ、どうすんの?)
(仲間を増やす!)
主様は、我々の所に進化前の者を増援として遣わすとおっしゃっていた。その者たちを仲間として勧誘するのだ。
(えっと……大丈夫なのかな?)
(問題ないんじゃね?ダメだったらなんか言ってくるっしょ♪)
(だな!それで?誰がやるんだ?俺はそういうのムリだぞ)
((ボソ)誰も脳筋には期待してないって)
(ア˝ァ?)
(け、喧嘩はダメだよ~)
全く、この二人は……しかし、誰に担当してもらうか……。
(……私、やる)
(ん? いいのか?)
(……ん)
意外だな、会話や説得みたいのには興味がないと思っていた……まあ、彼女なら問題ないか。
(では、任せた! 他のものは穴を掘るぞ!)
(おう!)
(了解~)
(うん、わかった)
早速、我々は掘り始めた。
ほりほりほいほり……
(だぁ~~!! やってられねー!!)
(始まったばっかりだぞ!?)
(手ごたえがね~んだよ!!)
ふむ、堪え性が無いのは問題だが、言いたいことは分かる。粘液方が毒を吸収した後の土は、凄く脆いのだ。すぐに崩れてしまう。
(ばふ!?)
……天井も崩れて危険だな。
(……だ~~~~!! 畜生が!!)
ドガ、と牙を幹へと叩きつける。
……おい、ナニヲシテイル? 腐ってしまっているとはいえ、我らの母たる世界樹に八つ当たりとは……後で説教だな。
(おぉ? お~、こっちのほうが手ごたえがあって進みやすいな!)
(なんで固いほうが、掘るの早いんだろうね~? ……さすが脳筋)
(あ˝ぁ?! 聞こえてんぞ!)
(ひぃ!? な、なになに!?)
(ん? 戻ったか。どうだ?)
(う~、運び出しが追い付かないです……、もっと持てたらいいんだけど……)
やはりそこが問題になるか……一度に運べる量が少ない、重さ的には問題ないのだが、脆くて崩れてしまうため一度に運べないのだ……ふむ、この方法を応用すればどうだ?
(試してみるか)
(?)
……
(これなら、沢山持てるよ!)
やったことは簡単だ、<糸>で土を固めてまとめたのだ。
同じように土を柱の様に固め、天井を支える……問題なさそうだな。これを繰り返し進もう。
(……)
(どうした?)
(いや~、おなかすいてきたな~って。それでこれ、食べられないかな~て)
(木を、か? 確かに昔は食べていたが……)
(……ものは試し!!)
もしゃもしゃ……ごっくん
(おいおい、大丈夫か?)
(……うん! おいしくない!!)
全く……だが食料か。我々は魔力さえあれば餓死することはない。だが、食べなくてもいい訳ではない。回復も遅くなるし、能力も低下する。
……現状どうすることもできない。今できる事をやろう。そのためにも掘り進む。
― ガキン! -
(うお!?)
そして、幹を掘り進んでいたところ、見事に跳ね返された。
(お、到着? 意外と早かったね)
(もともと主様が、最初から近くに着くように調整していてくれていたからな)
生まれたばかりの頃、主様の命令を理解できなかったのが悔やまれる!! そんな我々でも理解できるように命令して下さった……。
あぁ、主様! 今度こそ我はやり遂げてみせますぞ!
(あの、戻りました)
(うむ! ……後ろの者は?)
(えっと、勧誘した子達だそうです)
「「キキ!!」」
そこには、我が知らない蟻が二体居た。
(あの、他にも進化しそうな子が沢山いるから、一度戻ってきてほしい、だって)
(む、もうか? 分かった、すぐ戻ろう。後ろの二体は、他の者を手伝ってくれ)
「「キ!」」
(皆はそのまま作業を続行! 境目を剥ぐように掘り広げてくれ)
(任せろ!)
(了解~)
(うん。えっと、二人は運び出すのを手伝ってくれる?)
「「キ!」」
手短に指示を出し、すぐに戻る。道中、所々違和感があったが気のせいか?
(戻っ……)
(……ん……お帰り)
木と土との境目、いつの間にか小さな部屋の様に広くなっていたそこには、キュア・キャピターと、繭の形をした進化途中の者たちが所狭しに並んでいた。
(随分早いな、もうこんなに集まったのか……)
(? ……普通)
(そ、そうか)
少し侮っていたかもしれない。
(進化終わる……命令して)
言い終わると同時に、進化しアルトとなった者たちが繭から出てきた
「キ!」
「キキキ~!!」
「キ?」
先ほどの二体を合わせて、三十体か。
(……やはり、食料となるものが欲しいところだな)
(……これ)
指し示す方向を見ると、そこには光る何かがあった。あれは?
(……食べれる)
(!?)
先ほどの違和感はこれか? 光っていて明るくなっていたのか。確かこれは、主様の記憶ではキノコというものだったか? 試しに食べてみる。
……あぁ、主様! 主様!! 感謝いたします! 我々のためにこのような施しをして頂けるなんて!!
(皆のもの聞け!!)
「!!」
(我々は父である主様によって、母である世界樹様を助けるために生み出された! ……だが! そんな我々へ主様は惜しみない愛情を注いで下さっている。我らはその恩と期待に応えなければならない!!)
「「「キ!」」」
(我が全面的に指揮を執る!! 我々の忠義を主様へ示すぞ!!!)
「「「キ~~~~!!」」」
……
(随分騒がしいな)
(……いつもの病気)
(あ~)
(……なに?)
(いやな?こっちの馬鹿が腹壊したみたいでな)
(う~、う~……)
(食べれもしない木なんて食うからだ、アホ)
(……食料ある)
(!?)
(お? 俺も食っていいか?)
(う、うちも食べ、うぐっ)
(もぐもぐ、結構いけるな……それで? この後どうするんだ?)
(……作業続行)
(おう)
(う~~~!! うちも! うちも食べるんだ~!!)
(……もうここにはない)
(なん……だと?)
……
(では! 行動開始だ!!)
「「「キ~!!!」」」
(……ん? どうした?)
(リーダー~~、メシが! メシがもうないって~~、うちまだ食べてないのに~~~……)
(そんなに食いたいのか? ……そういえばお前は土の扱いが上手かったな。ならこの仕事をしてもらえるか?)
配下のものも一気に増えた。これから更に増えるだろう。まだまだ頑張らなければならない。主様! 我はやりますぞ!!!
~条件を満たしました。指揮蟻の適性が変化しました~
~特殊条件を満たしました。蟻の適性が変化しました~
~特殊条件を満たしました。蟻の適性が変化しました~
~特殊条件を満たしました。蟻の適性が変化しました~
~特殊条件を満たしました。蟻の適性が変……
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