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魔王誕生

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不審な病は、邪神教の信者が散布した毒物で解毒の効いたものは快癒したが、なぜそこまで大量の死者が必要だっか信者は誰一人語らなかった。

ーー 邪神の復活


邪神教の拠点を幾つか捜索した結果、
「邪神復活」
と言う計画書が見つかった、どうやらかなりの魂を使わなければ邪神は健在できないようだが、それも短い時間のようだ。
その代わり眷属である魔族を使役でき利用で、魔王の復活もありうるそうだ。

「ここで魔王が出てくるのか!」
私は、嫌な予感を感じながら王国内の邪神教の信者の摘発を急いだ。


ーー 邪神教幹部


「邪神様を復活顕現させるためには、最低でも10万人の御霊が必要だ。セガール王国での計画は失敗したが、トラザール王国、ミセール王国での計画は順調であるため、何とかなりそうだ。」
「それは僥倖です、しかしセガール王国での失敗痛いですね。あそこはなんとかしておきたい王国なんですが・・次に手を考えますか。」
と、まだ年若い幹部と思われる男が言えば。
「はい、司祭様の言われる通りあの王国には、魔神を倒したと言われる貴族がおります。大願成就まではあの国に手を出すのは控えておいた方がよろしいかと。」
といかにも教団の幹部という感じの男が言えば、司祭と言われた男も
「そうだな、今度の仇は邪神様が復活してから考えようか。」
と応じた。

その後、トラザール王国とミセール王国で大規模な災害が発生し、多くの王国民が亡くなったという噂が流れてきたのは、3ヶ月ほどした頃だった。


ーー 青の休み


邪神教の取り締まりについては、雪解けと共に王国内の徹底的な捜索が始まったが、あれ以外の情報や信者の発見には至らなかった。
「邪神教の信者は王国内から全員退去した模様です。」
という報告が最終的に上がった。

現在隣接する友好国にも犯罪ハンターの組織を作っている最中であるが、邪神教の情報収集については特別に国王経由で協力と情報共有をお願いしている。


何事も無く春の訪れを感じながら、いつもの春を感じていた。


ーー 青の季節


「報告しまし。トラザール王国とミセール王国において、災害が発生し多くの王国民が亡くなったと連絡がありましたが、時期やその災害についてほぼ同じような災害のため、人為的な要素が多大にあるとの情報です。」
と王宮で情報を収集していた黒のもの達が報告してきたのが、あの邪神教の捜索をして3ヶ月ほど経った頃だった。

「怪しいですね。誰か調査に向かわせてください。」
と私は指示をした。


ーー 魔王の誕生と神託の巫女


女神教の中に「神託の巫女」と呼ばれる巫女が、必ず一人選ばれて毎日女神に祈りを捧げているそうで、大事な神託が巫女を通じて行われると言われている。

その巫女がその季節の終わる頃に
「女神からの神託を受けました。」
と教会の司祭に報告をした。

「女神様からは何と?」
「「魔法が誕生した。災悪が訪れるその準備をしろ。」と。」
「魔王が・・誕生したか。」


女神教は世界中の教会に「魔王誕生」を伝達した。
セガール王国の教会にもその情報が入り、国王へ報告が行われた。


ここはセガール王国の王宮、王国の主だった者が集められて
「対魔王」についての話し合いが行われた。
「魔王誕生の神託を受けたが、魔王が何処に生まれたかは未だ不明。女神からの災悪が訪れるからその準備をしろとの神託、ということでよろしいですか?」
教会の司祭を前に宰相が再度確認を行うと司祭は
「その通りです。未だ魔王の出現は報告されていません。」
と答えた。

この報告を受けて各貴族から
「魔王は伝説通り魔物を率いて現れると考えて良いのでしょうか?」
「何処かの大森林に生まれたと考えて良いのでしょうか?」
という質問に司祭は、
「魔王が生まれた場所の可能性は、大森林で大量に死者が出たトラザール王国かミセール王国に隣接する場所と考えたれます。」
と答えた。

国王はその話を聞き
「我が国は大森林に接する貴族領に騎士団を派遣し、魔王に対処することにしよう。」
という話で、今回の会議は終了した。


ーー 中央大森林東のミセール王国   side


3万人規模の街が2つ突然住民が全て死に絶える災害が発生し、その後片付けに奔走していた王国に新たに災悪の報告がもたされた。
「魔王誕生だと。何処かの大森林に生まれた可能性が高いということか。」
報告を受けた宰相は国王に報告すると共に、大森林に接する辺境伯に警戒を高めるように指示を出した。

それから10日後、辺境伯から
「中央大森林にて、魔物が大量発生。魔王の誕生の可能性が高い、騎士団の派遣を大至急お願いする。」
という報告がきた後、辺境伯からの報告は途絶えた。

「騎士団は直ちに辺境伯領に向かうと共に情報の収集を行へ、周辺貴族に対して早急に現状報告を求めよ。」
国王が大号令を出し非常事態となる。

隣国にもその情報は伝わる。

中央大森林を隔てて西側に位置するセガール王国にもその情報は届く、直ちに中央大森林と接する各貴族に非常事態の通達を出すと共に、情報を密にするよう厳命した。

その情報が私のところまで伝わり、王宮からの呼び出しとなった。

「エストニア伯爵、貴殿に特命を言い渡す。中央大森林にて魔王の存在を確認せよ。」
という王命を受けた私は直ちに中央大森林に向かうこととなった。


ーー 中央大森林にて


転移魔法を駆使して私はわずかな時間で中央大森林へと辿り着いた。
「ここからは空から確認するのが良かろう。」
と思い、飛行魔法で大森林の上空へ舞い上がるが、流石大森林直ぐには異常がわからなかった。
そこで西側に飛行しながらミセール王国側の状況を確認することにした。

すると飛行魔法で飛ぶこと3時間、大森林の西側にたどり着いたところで、その被害に気付いた。

大森林の中央付近から東に大規模な魔物の移動の跡が見つかった。
魔物は真っ直ぐ川を沿って王都方面に向かっているようだ。
途中の村や街は、廃墟と化している。
更に飛行魔法で東に飛ぶと、今まさに王都に雪崩れ込もうとする魔物の大群を見つけた。
既にかなりの数の魔物が、城壁を越えているようで攻撃することもできない。

王都の西側城壁から魔物が襲ったために、北や西門から多くの王都民が逃げているのが見えた。
これ以上の被害を防ぐために、私は王都西門の内側にて魔物の進行を止めるべく身構える。
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