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ダンジョン攻略前編とミノタウルス
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ーー 事前訓練。
僕らは森に通い、ダンジョン攻略の事前訓練を繰り返した。
装備の良し悪しもあるけど、それ以上に皆んな実力が付いたようでかなりスムーズに大物でも安全に狩れるようになった。
「これなら5日後のダンジョン攻略も期待できそうだね。」
と僕が言うと皆んな力強く頷いてくれた。
◇
ダンジョン攻略1日目。
チームに随行の冒険者が付いて1階層に入る。
「いいかい学生さん達、ダンジョンを舐めたらいけねえぜ。浅い階層でもたまに中層程度の魔物が出てくることがある。
そんときに慌ててしまうとアウトだ。相手をよく見て必ず誰かが助けを呼べるように手を尽くすんだ。守りの魔道具を持っていれば大概は何とかなるもんだ。これをよく覚えておいてくれよ。」
と意外と真面目な同行者のアドバイスを受けながら、スライムやゴブリンを討伐してゆく。
「このチームは慣れてるね、もう一つ二つ行っとくかい?」
と言いながら同行者と2階層にそして3階層に潜るが問題なく進む。
「これで予定終了だ、帰るとしましょうかね。」
と同行の冒険者が話しながら2階層に戻った途端、悲鳴が聞こえてきた。
早足で戻ると、他のチームが大きな魔物に襲われていた。
「何だと!あれはミノタウルスじゃねえか!皆さん隠れて。」
と言う冒険者。
しかしこのままではあのチームも命の補償は難しいだろう、ミノタウルスと言えばこのダンジョンでも40階層付近の大物。
今日ここに来ている冒険者では太刀打ちできないと思われた。
僕は皆に合図して装備を点検し始める。
「何を開いてるんで!学生どころか今のギルドにあいつに勝てる奴なんてほとんど居ませんぜ!」
僕達を押しとどめようとする冒険者に
「ご心配は嬉しいのですが、大丈夫ですよ。ここで見ていてください。」
と言い残して6人でミノタウルスに向かう。
襲われているチームの守りの魔道具の結界が壊れる音がした。
「もうダメだ!誰か助けてくれ!」
学生達の悲鳴が聞こえてきた。
ミノタウルスが大きな斧を振りかぶり学生達に振り下ろそうとする。
その時雷鳴が響く。
「ズドオオーン」
片膝をつき燻るミノタウルスが攻撃者である僕らを認め、殺意を持って走り寄る。
「ストーン・バレット」
魔法を連続でクロニアル君が打ち込む、ミノタウルスの足が止まるそこにマッケンジー君とレリーナ嬢が魔剣で斬りかかる。
その剣を己の硬い身体で受け止めようと左腕を出したミノタウルスの左腕が、バターのように切り取られる。
「グオオオオ」
叫び上げるミノタウルスにさらに魔剣が、慌てて間合いを取ろうとしたミノタウルスの足に僕の魔法が炸裂し、膝をつく。
そこにマッケンジー君の魔剣が振り抜かれる。
ミノタウルスの首がゆっくり地面に落ちる。
「あんたらすげーな。あれ!誰かと思ったら子爵様じゃないですか。何だそれなら俺の同行なんていらなかったですね。」
と言う冒険者に
「いいえ貴方の説明は非常に良かったですよ。他のチームにも同じように良くしてくださいね。」
と言いながら僕は金貨3枚を手渡し
「後の報告を頼んでいいですか。僕らはこのまま戻ります。」
と言い残して上に戻った。
ーー 王都の冒険者ギルド
「大変だ!ダンジョンの2階層にはぐれのミノタウルスが現れた。」
と駆け込んだ連絡員。
ギルド内は騒然とし始めた。
「ミノタウルス!誰が助けに行けるんだ?」
「今ここにはランクCしかいないぜ、無理だろ」
ざわつく冒険者。
報告を聞いた職員がギルマスの部屋に飛び込み報告を伝える。
飛び出してきたギルマスは、
「一緒に行ける奴は何人だ。行けるやつはすぐに来い。」
と言いながら駆け出すギルマス。
馬車に飛び乗りダンジョンへ向かうギルマス。
ギルド内では副ギルマスが
「確か今日のダンジョンには、子爵様が潜っていることだよね。大丈夫ですね。」
と言いながら何処かに連絡を入れていた。
◇
王都のはずれにダンジョンの入り口はある。
ギルマスが着いたのは連絡を受けて15分後、発生してから30分くらいだ。
入り口の警備の兵士が止めるのも無視して、ギルマスがダンジョンに飛び込む。
2階層に着くと、グッタリした学生のチームと同行の冒険者が数人。
「おい、怪我人居るか?ミノタウルスは何処だ?」
大きな声で、ギルマスが冒険者に尋ねると。
「ギルマス、落ち着いてください。ミノタウルスは討伐済みです。
怪我人はいますが大した怪我ではありません。」
と一人の冒険者がギルマスに伝えると。
「討伐済みだと!ミノタウルスを?誰が倒したんだい?」
と今度はその冒険者ににじり寄るギルマス。
「ギルマス、ミノタウルスを退治できるような冒険者は今いないでしょ。
学園の生徒が潜っていたんですよ、分かるでしょ。子爵様ですよ。」
と他の冒険者が言うとやっと理解したギルマスが
「あいつがいたのか。早く言えよ。」
と言いながら戻っていった。
その日のうちにダンジョンのミノタウルス出現の情報は、王城にも伝わった。
◇
王城。
騎士団長セルグナ伯爵。
「ダンジョンの2階層にミノタウルスが出てきたと言うのは本当だったのか。」
と言う団長に報告に来た副ギルマスが
「間違いありません。この目で首を落とされたミノタウルスを見ました。」
と言うと
「エストニア子爵が倒したのかね。」
の問いに
「いいえ、彼は補助をしただけでチームで倒したと。止めについてはマッケンジー君と聞きましたのでここに報告に来ました。」
と騎士団長の息子の名前を出した副ギルマス。
「そうかマッケンジーが止めを。いい経験をさせてもらったようだ。」
と機嫌が良くなった。
「良くぞ知らせてくれた、他のメンバーは聞いているか?」
「はい。ここに」
と紙を差し出す。
「侯爵の息子も居たのか。後は同じ派閥か、分かった今回の事は借りておこう。」
と礼を言って国王に報告に向かった。
◇
国王の間。
「・・と言うことのようです。」
騎士団長の報告を聞いた国王は
「被害は軽微か。討伐者はエストニア子爵率いるチーム6人。お主の息子が止めか、よくやったものだ。何か褒賞を考えておこう」
と答えて報告は終わった。
その日の夜、セルグナ騎士団長はケンドール公爵に面会し報告をすると
「我が息子もミノタウルスを前にして剣を触れるだけの男になったようです。ご子息エストニア子爵には感謝の念に耐えません。」
と興奮気味に伝えると帰っていった。
◇
その足で自宅に帰ったセルグナ騎士団長は、マッケンジーを部屋に呼びつけると
「報告を聞こうか。」
と息子を座らせると、ダンジョンのことを詳しく聞ことにした。
「話は分かった、わしが耳にした事と食い違いはない。良くぞミノタウルスに止めを刺した。我が家の誇りである。国王も何か褒賞をと仰っていた、心待ちにしておくが良い。」
とご機嫌で息子を誉めた、その夜の酒はことのほか美味かったと言う。
ーー サンドール侯爵家
「クロニアル、今日のダンジョンの話をしてくれないか。」
侯爵が息子を呼んでダンジョンの詳しい話をする様に言い付けた。
そばには妻のクレアもいる。
「はい、お父様。」
と言う返事から話は始まった。
【先ず、今日のダンジョンのお話をする前に、今までの訓練やそれぞれの役割からお話しした方がいいと思いますので、そこからお話しします。
10日ほど前から森で魔物の狩りをしながら僕達特に僕のレベル上げをしておました。
チームの皆んなは既にかなりの腕を持っていたので、僕が足を必発可能性が大きかったからです。
訓練の結果僕はかなりの攻撃魔法を使えるようになったので、魔物もオーク、ビッグボア、フォーハンドベアー、ダイアウルフを単独で狩れるようになりました。
連携もうまくできるようになり僕は後衛としてダンジョンに挑むことになったのです。
装備はエスト君が用意した防具や剣を装備してダンジョンに望んだのが、朝の9時頃のことでした。
同行の冒険者が僕らの腕がかなり良いことに気付き初日ですが3階層までダンジョンに潜り、無事に攻略しました。
事件が起きたのは、その帰りのことです。
2階層に戻ると遠くで悲鳴が聞こえたのです。僕らは直ぐに救出に向かいましたが、そこで見た魔物はミノタウルス一頭でした。
僕らはミノタウルスに対して安全に倒す自信があったので、エスト君の指示に従い役割分担をしながら討伐して見せたのです。
ちなみに僕は土魔法で突進してくるミノタウルスを足止めする役目で、うまく足止めをすることができました。
止めはセルグナ伯爵家のマッケンジー君が首を斬り飛ばしました。
襲われていた学生らには大きな怪我人もなく無事だったので、僕らは同行の冒険者に後を任せて帰ってきたのです。】
と説明した。
息子の誇らしい顔にニヤけそうな自分を隠して
「話は良く分かった、そしてミノタウルス退治にクロニアルが十分活躍したこともな。この前まで不治の病で寝込んでいたクロニアルがダンジョンでも活躍した話を聞いて本当にお前が完治したと実感したよ。
今回の活躍は素晴らしい、良くやった。」
と褒めると、その横で妻が涙をそっと拭いていたのが見えた。
そして息子が剣を一振りと防具に袋を一つ持ってきて
「この装備は、エスト君が作って僕にくれたものだよ。お父様からもお礼をおしゃってください。」
と言うので剣を手に取り抜いてみると、そこまで詳しくない私でも分かるほどの魔剣が。
そして防具はドラゴンと思われる鱗で作られた物のようだ。
と言う事はこの袋は?
と思っていると
「それは魔法の収納袋です。」
と言う息子、魔法の収納袋を子供に・・いや他のものを見れば当然なのか?
「これはクロニアルだけが貰ったのか?」
と聞くと
「違います、皆がもらっています。」
と言う。信じられぬ。
しかしこれなら少々の場所でも安全が担保されそうだ、ミノタウルスを子供達で討伐できるのもこの装備のおかげも十分あるな。
しかし、エストニア子爵は息子と同じ歳と思えぬ英傑のようだ。
すると妻が
「貴方、クロニアルがここまで活躍できるのもエストニア様のおかげ、本当にあの子の薬で病気が治ったのよ。これで信じてくれるわよね。」
と言う言葉に流石の私も
「そうだなこれだけのことを見せられては、信じるしかないようだ。今後も良き友達として一緒に成長してくれ。」
と息子に言ってこの話は終わった。
すると息子が袋から一つの箱を取り出し
「これはエスト君が作ったお酒で、ケンドール公爵からお父様にといただいたものです。」
と琥珀色のガラス瓶入りのお酒を私に渡したのだった、そしてメモが。
[悪友に。お互い息子が活躍する年になった、これからは息子の活躍を見守りながら酒でも飲もうではないか。悪友から。]
と言うメモが、これは学園の頃一緒に悪いことをして良く罰を受けていた二人だけの呼び名だ。懐かしいじゃないか。
ーー トータル騎士爵家
レリーナが自宅屋敷に帰ったのは3日後のこと。
狩でかなりのお金を稼いでいたレリーナは、仕送りをして実家の建て替えをしていると連絡が来ていてその完成予定の日に里帰りしたのだ。
学園もダンジョン攻略中で、次の攻略予定が10日後だったので帰ってきたのだ。
自宅を目にしてレリーナは驚いた、そこには騎士爵には勿体無いほどの屋敷が出来上がっていたのだ。
「正しく小さめであるがお屋敷だ!私のお金でこれが建てられたの?」
と思いながら門の所にいた下働きのオッズに声をかけると
「これはレリーナお嬢様。お帰りなさいませ、ご当主様がお待ちですよ。」
とレリーナを恭しく案内した。
入り口の立派なドアを開けて中に入ると、今まで無かったホールが。
「凄いわほんと貴族のお屋敷ぽいわ。」
と呟きながら見ていると
「おかえりレリーナ。」
と母が迎えてくれた。
「ただいま戻りました。このお屋敷のお金あれでたちたの?」
と心配気味で言う私に母は
「ええ十分よ、まだ半分も使っていないわ。しかもね・・これから先の話はお父様からね。ささ奥に。」
と居間に通された。
そこもくたびれた家具はなく全て新品の調度品が揃い、以前の家が思い出せないほど。
「おかえりレリーナ。お前は我が家の誇りだ。さあここに来なさい話をしよう。」
と優しく声をかけられ半分不思議な思いで、父の前に座ると話をしてくれました。
【お前から大金が送られて家の改築でもしたらと言う手紙を読んでいたころ、公爵様からの手紙も来ていたんだ。
それにはエストニア子爵様のクラスメイトとして活躍しているお前に、将来エストニア子爵様の家臣として男爵位を与えると言う確約書だった。
それからと言うものうちでは、お前のためにと屋敷をって替えてお前に恥をかかせられないと思ったんだ。
それにお前の送ってきたお金はこの屋敷を立てても半分も減らないほどの大金だったからね。」
と嬉しそうに話すお父様を見て私は、少しでも親孝行ができたと目頭が熱くなったんです。
そして私は頂いた魔法袋からお土産を次から次に出して皆んなを驚かせたの。
「まあこれはなんて美しい布なの!これも凄いわ」
「この酒は美味すぎるぞ!かなり高そうだな。」
「レリーナなこの剣は相当な業物だぞ、俺にくれるのか。」
「レリーナ、私の結婚のための持参金ありがとう。これで何処にでも胸張ってお嫁にいけるわ。」
と兄や姉も喜んでくれて、本当に楽しい里帰りだった。
騎士爵の娘が男爵になるなんて、ほとんど例のないことだがエストニア子爵様が新しい領地を下賜されたことから当然家臣を雇うことになる。
そこで将来の家臣として爵位を約束しての引き抜きなのだ。
今、エストニア子爵様の周囲でこのようなことが数件行われているようで、公爵家の家臣団は少しでも縁を作りたようで。
トータル騎士爵家など縁のある家に情報を得にきているようだ。
僕らは森に通い、ダンジョン攻略の事前訓練を繰り返した。
装備の良し悪しもあるけど、それ以上に皆んな実力が付いたようでかなりスムーズに大物でも安全に狩れるようになった。
「これなら5日後のダンジョン攻略も期待できそうだね。」
と僕が言うと皆んな力強く頷いてくれた。
◇
ダンジョン攻略1日目。
チームに随行の冒険者が付いて1階層に入る。
「いいかい学生さん達、ダンジョンを舐めたらいけねえぜ。浅い階層でもたまに中層程度の魔物が出てくることがある。
そんときに慌ててしまうとアウトだ。相手をよく見て必ず誰かが助けを呼べるように手を尽くすんだ。守りの魔道具を持っていれば大概は何とかなるもんだ。これをよく覚えておいてくれよ。」
と意外と真面目な同行者のアドバイスを受けながら、スライムやゴブリンを討伐してゆく。
「このチームは慣れてるね、もう一つ二つ行っとくかい?」
と言いながら同行者と2階層にそして3階層に潜るが問題なく進む。
「これで予定終了だ、帰るとしましょうかね。」
と同行の冒険者が話しながら2階層に戻った途端、悲鳴が聞こえてきた。
早足で戻ると、他のチームが大きな魔物に襲われていた。
「何だと!あれはミノタウルスじゃねえか!皆さん隠れて。」
と言う冒険者。
しかしこのままではあのチームも命の補償は難しいだろう、ミノタウルスと言えばこのダンジョンでも40階層付近の大物。
今日ここに来ている冒険者では太刀打ちできないと思われた。
僕は皆に合図して装備を点検し始める。
「何を開いてるんで!学生どころか今のギルドにあいつに勝てる奴なんてほとんど居ませんぜ!」
僕達を押しとどめようとする冒険者に
「ご心配は嬉しいのですが、大丈夫ですよ。ここで見ていてください。」
と言い残して6人でミノタウルスに向かう。
襲われているチームの守りの魔道具の結界が壊れる音がした。
「もうダメだ!誰か助けてくれ!」
学生達の悲鳴が聞こえてきた。
ミノタウルスが大きな斧を振りかぶり学生達に振り下ろそうとする。
その時雷鳴が響く。
「ズドオオーン」
片膝をつき燻るミノタウルスが攻撃者である僕らを認め、殺意を持って走り寄る。
「ストーン・バレット」
魔法を連続でクロニアル君が打ち込む、ミノタウルスの足が止まるそこにマッケンジー君とレリーナ嬢が魔剣で斬りかかる。
その剣を己の硬い身体で受け止めようと左腕を出したミノタウルスの左腕が、バターのように切り取られる。
「グオオオオ」
叫び上げるミノタウルスにさらに魔剣が、慌てて間合いを取ろうとしたミノタウルスの足に僕の魔法が炸裂し、膝をつく。
そこにマッケンジー君の魔剣が振り抜かれる。
ミノタウルスの首がゆっくり地面に落ちる。
「あんたらすげーな。あれ!誰かと思ったら子爵様じゃないですか。何だそれなら俺の同行なんていらなかったですね。」
と言う冒険者に
「いいえ貴方の説明は非常に良かったですよ。他のチームにも同じように良くしてくださいね。」
と言いながら僕は金貨3枚を手渡し
「後の報告を頼んでいいですか。僕らはこのまま戻ります。」
と言い残して上に戻った。
ーー 王都の冒険者ギルド
「大変だ!ダンジョンの2階層にはぐれのミノタウルスが現れた。」
と駆け込んだ連絡員。
ギルド内は騒然とし始めた。
「ミノタウルス!誰が助けに行けるんだ?」
「今ここにはランクCしかいないぜ、無理だろ」
ざわつく冒険者。
報告を聞いた職員がギルマスの部屋に飛び込み報告を伝える。
飛び出してきたギルマスは、
「一緒に行ける奴は何人だ。行けるやつはすぐに来い。」
と言いながら駆け出すギルマス。
馬車に飛び乗りダンジョンへ向かうギルマス。
ギルド内では副ギルマスが
「確か今日のダンジョンには、子爵様が潜っていることだよね。大丈夫ですね。」
と言いながら何処かに連絡を入れていた。
◇
王都のはずれにダンジョンの入り口はある。
ギルマスが着いたのは連絡を受けて15分後、発生してから30分くらいだ。
入り口の警備の兵士が止めるのも無視して、ギルマスがダンジョンに飛び込む。
2階層に着くと、グッタリした学生のチームと同行の冒険者が数人。
「おい、怪我人居るか?ミノタウルスは何処だ?」
大きな声で、ギルマスが冒険者に尋ねると。
「ギルマス、落ち着いてください。ミノタウルスは討伐済みです。
怪我人はいますが大した怪我ではありません。」
と一人の冒険者がギルマスに伝えると。
「討伐済みだと!ミノタウルスを?誰が倒したんだい?」
と今度はその冒険者ににじり寄るギルマス。
「ギルマス、ミノタウルスを退治できるような冒険者は今いないでしょ。
学園の生徒が潜っていたんですよ、分かるでしょ。子爵様ですよ。」
と他の冒険者が言うとやっと理解したギルマスが
「あいつがいたのか。早く言えよ。」
と言いながら戻っていった。
その日のうちにダンジョンのミノタウルス出現の情報は、王城にも伝わった。
◇
王城。
騎士団長セルグナ伯爵。
「ダンジョンの2階層にミノタウルスが出てきたと言うのは本当だったのか。」
と言う団長に報告に来た副ギルマスが
「間違いありません。この目で首を落とされたミノタウルスを見ました。」
と言うと
「エストニア子爵が倒したのかね。」
の問いに
「いいえ、彼は補助をしただけでチームで倒したと。止めについてはマッケンジー君と聞きましたのでここに報告に来ました。」
と騎士団長の息子の名前を出した副ギルマス。
「そうかマッケンジーが止めを。いい経験をさせてもらったようだ。」
と機嫌が良くなった。
「良くぞ知らせてくれた、他のメンバーは聞いているか?」
「はい。ここに」
と紙を差し出す。
「侯爵の息子も居たのか。後は同じ派閥か、分かった今回の事は借りておこう。」
と礼を言って国王に報告に向かった。
◇
国王の間。
「・・と言うことのようです。」
騎士団長の報告を聞いた国王は
「被害は軽微か。討伐者はエストニア子爵率いるチーム6人。お主の息子が止めか、よくやったものだ。何か褒賞を考えておこう」
と答えて報告は終わった。
その日の夜、セルグナ騎士団長はケンドール公爵に面会し報告をすると
「我が息子もミノタウルスを前にして剣を触れるだけの男になったようです。ご子息エストニア子爵には感謝の念に耐えません。」
と興奮気味に伝えると帰っていった。
◇
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「報告を聞こうか。」
と息子を座らせると、ダンジョンのことを詳しく聞ことにした。
「話は分かった、わしが耳にした事と食い違いはない。良くぞミノタウルスに止めを刺した。我が家の誇りである。国王も何か褒賞をと仰っていた、心待ちにしておくが良い。」
とご機嫌で息子を誉めた、その夜の酒はことのほか美味かったと言う。
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「クロニアル、今日のダンジョンの話をしてくれないか。」
侯爵が息子を呼んでダンジョンの詳しい話をする様に言い付けた。
そばには妻のクレアもいる。
「はい、お父様。」
と言う返事から話は始まった。
【先ず、今日のダンジョンのお話をする前に、今までの訓練やそれぞれの役割からお話しした方がいいと思いますので、そこからお話しします。
10日ほど前から森で魔物の狩りをしながら僕達特に僕のレベル上げをしておました。
チームの皆んなは既にかなりの腕を持っていたので、僕が足を必発可能性が大きかったからです。
訓練の結果僕はかなりの攻撃魔法を使えるようになったので、魔物もオーク、ビッグボア、フォーハンドベアー、ダイアウルフを単独で狩れるようになりました。
連携もうまくできるようになり僕は後衛としてダンジョンに挑むことになったのです。
装備はエスト君が用意した防具や剣を装備してダンジョンに望んだのが、朝の9時頃のことでした。
同行の冒険者が僕らの腕がかなり良いことに気付き初日ですが3階層までダンジョンに潜り、無事に攻略しました。
事件が起きたのは、その帰りのことです。
2階層に戻ると遠くで悲鳴が聞こえたのです。僕らは直ぐに救出に向かいましたが、そこで見た魔物はミノタウルス一頭でした。
僕らはミノタウルスに対して安全に倒す自信があったので、エスト君の指示に従い役割分担をしながら討伐して見せたのです。
ちなみに僕は土魔法で突進してくるミノタウルスを足止めする役目で、うまく足止めをすることができました。
止めはセルグナ伯爵家のマッケンジー君が首を斬り飛ばしました。
襲われていた学生らには大きな怪我人もなく無事だったので、僕らは同行の冒険者に後を任せて帰ってきたのです。】
と説明した。
息子の誇らしい顔にニヤけそうな自分を隠して
「話は良く分かった、そしてミノタウルス退治にクロニアルが十分活躍したこともな。この前まで不治の病で寝込んでいたクロニアルがダンジョンでも活躍した話を聞いて本当にお前が完治したと実感したよ。
今回の活躍は素晴らしい、良くやった。」
と褒めると、その横で妻が涙をそっと拭いていたのが見えた。
そして息子が剣を一振りと防具に袋を一つ持ってきて
「この装備は、エスト君が作って僕にくれたものだよ。お父様からもお礼をおしゃってください。」
と言うので剣を手に取り抜いてみると、そこまで詳しくない私でも分かるほどの魔剣が。
そして防具はドラゴンと思われる鱗で作られた物のようだ。
と言う事はこの袋は?
と思っていると
「それは魔法の収納袋です。」
と言う息子、魔法の収納袋を子供に・・いや他のものを見れば当然なのか?
「これはクロニアルだけが貰ったのか?」
と聞くと
「違います、皆がもらっています。」
と言う。信じられぬ。
しかしこれなら少々の場所でも安全が担保されそうだ、ミノタウルスを子供達で討伐できるのもこの装備のおかげも十分あるな。
しかし、エストニア子爵は息子と同じ歳と思えぬ英傑のようだ。
すると妻が
「貴方、クロニアルがここまで活躍できるのもエストニア様のおかげ、本当にあの子の薬で病気が治ったのよ。これで信じてくれるわよね。」
と言う言葉に流石の私も
「そうだなこれだけのことを見せられては、信じるしかないようだ。今後も良き友達として一緒に成長してくれ。」
と息子に言ってこの話は終わった。
すると息子が袋から一つの箱を取り出し
「これはエスト君が作ったお酒で、ケンドール公爵からお父様にといただいたものです。」
と琥珀色のガラス瓶入りのお酒を私に渡したのだった、そしてメモが。
[悪友に。お互い息子が活躍する年になった、これからは息子の活躍を見守りながら酒でも飲もうではないか。悪友から。]
と言うメモが、これは学園の頃一緒に悪いことをして良く罰を受けていた二人だけの呼び名だ。懐かしいじゃないか。
ーー トータル騎士爵家
レリーナが自宅屋敷に帰ったのは3日後のこと。
狩でかなりのお金を稼いでいたレリーナは、仕送りをして実家の建て替えをしていると連絡が来ていてその完成予定の日に里帰りしたのだ。
学園もダンジョン攻略中で、次の攻略予定が10日後だったので帰ってきたのだ。
自宅を目にしてレリーナは驚いた、そこには騎士爵には勿体無いほどの屋敷が出来上がっていたのだ。
「正しく小さめであるがお屋敷だ!私のお金でこれが建てられたの?」
と思いながら門の所にいた下働きのオッズに声をかけると
「これはレリーナお嬢様。お帰りなさいませ、ご当主様がお待ちですよ。」
とレリーナを恭しく案内した。
入り口の立派なドアを開けて中に入ると、今まで無かったホールが。
「凄いわほんと貴族のお屋敷ぽいわ。」
と呟きながら見ていると
「おかえりレリーナ。」
と母が迎えてくれた。
「ただいま戻りました。このお屋敷のお金あれでたちたの?」
と心配気味で言う私に母は
「ええ十分よ、まだ半分も使っていないわ。しかもね・・これから先の話はお父様からね。ささ奥に。」
と居間に通された。
そこもくたびれた家具はなく全て新品の調度品が揃い、以前の家が思い出せないほど。
「おかえりレリーナ。お前は我が家の誇りだ。さあここに来なさい話をしよう。」
と優しく声をかけられ半分不思議な思いで、父の前に座ると話をしてくれました。
【お前から大金が送られて家の改築でもしたらと言う手紙を読んでいたころ、公爵様からの手紙も来ていたんだ。
それにはエストニア子爵様のクラスメイトとして活躍しているお前に、将来エストニア子爵様の家臣として男爵位を与えると言う確約書だった。
それからと言うものうちでは、お前のためにと屋敷をって替えてお前に恥をかかせられないと思ったんだ。
それにお前の送ってきたお金はこの屋敷を立てても半分も減らないほどの大金だったからね。」
と嬉しそうに話すお父様を見て私は、少しでも親孝行ができたと目頭が熱くなったんです。
そして私は頂いた魔法袋からお土産を次から次に出して皆んなを驚かせたの。
「まあこれはなんて美しい布なの!これも凄いわ」
「この酒は美味すぎるぞ!かなり高そうだな。」
「レリーナなこの剣は相当な業物だぞ、俺にくれるのか。」
「レリーナ、私の結婚のための持参金ありがとう。これで何処にでも胸張ってお嫁にいけるわ。」
と兄や姉も喜んでくれて、本当に楽しい里帰りだった。
騎士爵の娘が男爵になるなんて、ほとんど例のないことだがエストニア子爵様が新しい領地を下賜されたことから当然家臣を雇うことになる。
そこで将来の家臣として爵位を約束しての引き抜きなのだ。
今、エストニア子爵様の周囲でこのようなことが数件行われているようで、公爵家の家臣団は少しでも縁を作りたようで。
トータル騎士爵家など縁のある家に情報を得にきているようだ。
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しかし女神の手違いか俺のレベルはカンスト状態であった。さらに唯一無二のユニークスキル視認強奪《ストック》というチートスキルを持って転生する。
これはレベルの概念を超越しさらにはユニークスキルを持って転生した少年の物語である。
※俺TUEEEEEEEE要素、ハーレム要素、チート要素、ロリ要素などテンプレ満載です。
※小説家になろうでも投稿しています。
おおぅ、神よ……ここからってマジですか?
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