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学園生活1

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ーー  学園生活


今日は恒例の学園行事、森の中をグループで時間と獲物の数を競うサバイバル系の競技でもあった。

Iグループ5人、森の中のA~Zまでのポイントをクリアしながら最速で目的地の印を得た後、魔物を狩りながら戻ってくると言うもの。
それぞれのグループに、MAPと魔法袋が配布されるがそれ以外は個人で揃えた装備を持って参加することになる。

アレンは、スカリーのパーティーに入ることになった。
メンバーは、
 ・公爵令嬢~スカリー 8歳
 ・侯爵令嬢~メイリー 10歳
 ・伯爵令嬢~エレナ 10歳
 ・伯爵令嬢~エリザベス 10歳
の4人とアレンの5人パーティーだ。

「いいアレン。貴方は後ろに位置してね、そして疲れた時はすぐに言うのよ。」
とスカリーが注意する。
「うん。分かったよ。」
と答えるアレン。


             ◇


森の手前で準備を始める学園生。
「5番、1年スカリー班はいますか?」
と言う声が聞こえた。
「はい。ここに揃っておりますわ。」
スカリーが答えると、呼ばれてた。

「時間を合わせてください。これがMAPと魔法袋です。番号は5番です、確認してください。問題ないですね、それではスタート。」
と言われて、5人は森に入って行く。

1時間ほどで、3つのポイントをクリアしたスカリー達は休憩することにした。
「どう?アレン大丈夫。」
と聞かれたアレンは
「問題ないよ、もっと早くても良いくらい。」
と答えたが、話しかけたスカリーが少し疲れが見えた。

アレンはスカリーに近づくと、「リカバリー」と唱える。
「ええ!疲れが・・消えたわ。ありがとうですわ。」
とお礼を言うスカリー。

その後移動を始めたスカリー達は、順調にポイントをクリアしながら昼には予定に3分の2に達していた。
「この辺りで食事にしましょう。」
と声をかけたスカリーに皆が頷く。

アレンが収納からテーブルに椅子にと場所を設定しながら、ほかほかの湯気の立つ食事を取り出して並べる。

「本当にアレン君の収納は破格ですわ。」
とメイリーが言うと
「本当に。これだけでもアレン君の参加はベストですね。」
とエリザベスも同意する。

「さあ。準備ができましたよ、みんなで食べましょう。」
とアレンが言うと皆席に着き食事を始める。


            ◇

午後の移動。

「今日の予定は後5ポイント通過よ。その後はそこで考えましょう。」
とスカリーが言いながら、森をMAPを見ながら進む。

順調に進んだところで、アレンが声を出した。
「スカリーさん、止まって!魔物が近付いている。」
今回の為にこの周辺には魔物が近づかないように、魔物除けの魔道具が置かれているはずだが。
網をねけた魔物か魔除けの効かぬ魔物がいるようだ。
「アレン君それ本当?どの方向に何匹いるか分かる?」
と聞かれたアレンは頷きながら
「報告はこの方向で、距離は300m、数は5つ」
と答えたアレンにエレーナが
「そこまで分かるの!」
と驚く。
「結構大きいから迂回する?それとも倒しておく?」
と聞くアレンにスカリーは考えてから
「ここは迂回して行きましょう。その代わり次のポイントに報告を残しておきましょう。」
と方針を伝え、迂回しながら進む。

30分ほど進んだところでアレンが
「スカリーさん。止まって。」
と呼び止める。
「どうしたの」
と尋ねるスカリー
「さっきの魔物がどうやら僕らを獲物と決めたようで、後をついて来ている。」
と言いながら
「今僕らの後ろ100mほどに2つ、左右に1つずつで前50mのところに1つだ。」
と地面に魔物の位置を書きながら説明する、アレン。

「囲まれたようね。戦うしかないようね。皆んな準備して。」
と隊形をどうするか考えるが5対5のため各個対応する可能性がある。

「アレン君、大きいと言ったけどどの程度の大きさ?種類まで分かるの?」
と聞かれアレンが
「大きさは2~3m位のオーガクラスだと思うよ。」
と言うアレンにスカリー達は絶望感を抱く。
「どうする?オーガならとてもじゃないけど勝てないわ。」
とメイリーがスカリーに言う、スカリーもそれに同意するが逃げられる手段が思いつかない。すると
「皆んながいいなら僕が倒してもいい?」
と言い出した
「ええ!アレン君オーガを5頭も倒せるの?」
と聞き返すスカリーに、ニコリと笑ったアレンが
「皆はここで固まっていてね。」
と言うと「アース・ウォール」と唱えスカリー達を土壁で囲む。


待つこと5分、獲物が自分らの存在に気づいたと分かっためか姿を表す魔物。
『あれはオーガでも上位個体よ。もうダメだわ。』
とエリザベスが小声で震えながら漏らす。
皆も現れた魔物の異様な圧力に気力が萎える。

「大丈夫だよ、皆んな。あれは見かけだけだよ。」
と言うとアレンは、剣を取り出すと最初に現れた魔物に一瞬で近づき首を跳ね飛ばし、そのまま収納する。

次に2頭が左右から現れるが、それも
「アイス・ニードル」
と唱え動きを抑えると、首をカンタンの跳ね飛ばし収納する。

その一連の動きを見ていた、スカリーは
「凄いわ。騎士団にもあそこまで動ける人は数人しかいないわ。」
と恐怖を興奮が超えたようで、解説を始めた。

残りの2頭が後方から現れ、仲間の存在がない事に警戒するが目の前の子供に気を取り直して襲って来た。
アレンはその2頭も難なく倒すと収納し何事も無かったように
「はい終わったよ。見かけは強うそうだけど、大した事はないから。」
と言いながら土壁を取り払う。

皆無言で顔を見合わせて、
「この話は後でしましょう。」
と言うとスカリーに気持ちを変えて、再び歩き出す5人。



   

ーー  悪意の存在。


ここは森の反対側。
数台の馬車と胡散臭い男らが集まっている。
「おい、次はまだか?」
と言う男は一台の大きな馬車を見ながら声をかける。

「今、目的のガキを見つけたようだ。もう少し待てよ、それにもう1組はもうすぐ戻ってくるから。」
と答える男は杖を持ち魔法使いらしい格好の男だ。
同じような男が5人、召喚魔法で強力な魔物を召喚したようだ。

別の馬車の中から声が聞こえた
「目的のものを捉えたら、私はここを離れるからあとは頼むわよ。」
と1人の目の鋭い男に声をかけた。

ここにいるもの達は、学園の生徒をさらいに来た貴族とその雇われた者たちのようだ。
馬車の中で話し声がする
「第一王子の相手があの小娘なのは許せないわ。絶対捕まえて奴隷にでもして他国に売り飛ばしなさいよ。」
女性のヒステリーな声が聞こえる。

「お任せください、あと他の候補も一緒に捉える予定ですので大丈夫ですよ、」
と先程の男の声が答える。


「「「「ウウ!」」」
召喚魔法を使った男らが声を上げる、
「どうしたお前ら」
と聞かれ
「5体の魔物がやられたようです。残りを全て向かわせます。」
と答えると1人の男が大きな鳥を召喚し、空に放つ。

「問題が起きたか。」
馬車の男は小声で呟くと
「捕まえたようです、この場を離れて知らぬ顔をしましょう。」
と女性に声をかけて、馬車を走らせた。


          ◇


アレンは、初めから自分らを監視する気配を感じていたが、学園の関係者だと思っていた。
しかし先ほどの魔物登場から違和感を覚えていた。

頭の中のMAPを広げて森を超えると。
「ん!あそこに・・なんだ、皆んなを脅かす為に準備しているのか。」
と気づいたが、先ほど程度の魔物をばら撒く程度なら大したことはないなと思っていた。

皆んなには言わないほうがいいのかな?と思いつつ野営地に向かった。

「これで今日のノルマは終わったわ。あとはもう少し進むか・・どうしよう?」
とスカリーは皆の顔を見ながら尋ねると
「地図だと後3つ先に野営に最適な場所がありそうよ。そこまで行きましょう。」
エリザベスが意見を言うと見ながら「そうね。」と同意して進むことにした。

結果的にはこの判断は、他の学園生には幸運だった。


野営地に着くとアレンが準備を始める。
「ごめんねアレン君、君だけに準備をさせて。」
とスカリーが言うと
「大したことありませんよ。ただ出すだけだから。」
とアレンは答えて、大きな箱を取り出す。
「「「「それは何?」」」」
と皆が聞くとアレンは
「お風呂ですよ。汗をかいたでしょ。」
と言いながらお湯を魔法で溜めながらタオルやソープなどを取り出してセットする。

「「「「お風呂ですって!」」」」
4人が声を揃えて喜ぶ。そして箱の扉を開けて
「凄い、本格的だわ。」
とスカリーが声を上げる。

食事に後女性が2人ずつ風呂に入る。
最後にアレンが、お風呂に入りお湯を捨ててから収納する。
皆が風呂に入っている間に、特製のテントが建てられていた。
大きさは5人用のテントだが中はアレン特製の空間拡張が付与されていて、20畳ほどもある。
それを2人ずつのベッドルームに区切り出入り口にソファーとテーブルを置いていた。

「なんなのこのテント!屋敷にいるみたいじゃない。」
ここまで来ると、スカリー達はアレンのことを5歳児とは思えなくなってきた。
「ねえスカリー様、アレン君は余りにも規格外の感じがするのは私だけでしょうか?」
とエリザベスが言い出すと、皆が頷く。

「本当よね。今回はアレン君に任せましょう。私達で考えても結論は出ない気がするもの。」
と言うスカリーの言葉でこの問題は棚上げされた。

「アレン君。見張りはどうするの?」
と完全にアレンがリーダーだ。

これからはアレンが主体で、動き出す事になる。
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