神の加護を受けて異世界に

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東国と魔物のスタンピード

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ーー 東国の将軍  side


ワシは、都の将軍、東 政宗(アズマ マサムネ)である。

ここ2年ほど東国は日照不足で穀物が不作になり、非常に困っておる。

東国は古より水竜様が守護する、神国であるがその水竜様も最近機嫌が悪い様で

どうしたものかと頭を抱えておった。

するとタイミング良く、教会の使者である「使徒様」と呼ばれる少年が現れた。


ワシはその力が本物であれば是非に助力を頼みたいと思い、

我が国の問題を話して聞かせたのだ。

するとその少年は、事もあろうか水竜様との力比べをし始めると

水竜様を叩きのめしたのだ。


あの姿を見るに「使徒様」と言う話は本物以上でこれで何とかなるとホッとしていたら、

我が家臣が原因の一つであることがわかった。

これには頭が上がらぬ思いであった。

水竜様の話では時々は力比べに来るそうだと言うので、

次は我が国の美味い米を食べてもらおう。




ーー 大陸の国12ヵ国を巡った、次はどうする


僕は東国を離れながら考えていた。

この大陸にある12の国を回った、

しかしまだ見ていない場所やもう一度行きたい場所もある。

さらには別の大陸にも行ってみたいしな。


取り敢えず帰りは、のんびり戻ろうかな。

などと思っていたら、とんでもない情報がもたらされた。

「使徒様へ

 センターターク王国の東で魔物のスタンピードが発生、

 至急戻られたし。
                     
             シスター アリア    」 

と言う伝言が教会経由の伝書鳥的な方法の伝達で伝わって来たのだ。


僕は、エストレーナや従者にその伝言を聞かせ、

移転で戻ることを伝え移転魔法を発動した。




ーー 帰還とスタンピード


センターターク王国の中央教会の中庭に移転すると、

僕らはそれぞれの場所に別れた。


僕はシスターアリアの元に向かう、教会に入ると僕を見つけた神父らが

「シスターアリアは今、皇教様のところです。」

と教えてくれた、お礼を言い皇教の執務室に向かう。


ノックをし声をかけてから

「失礼します」と言いつつ中に入ると、中には、

・皇教様

・シスターカリーナ

・シスターアリア

・聖騎士隊長

・名を知らぬ司祭が3人

の7人が円卓に座っていた、

進められるままに一つの席に腰を下ろすと僕は、

「ただいま帰還いたしました。」

と帰還報告すると教皇が頷き

「急いで帰ってもらって申し訳ないんだが、

 どうしても君の力を貸してほしい」

と話を始めた、内容は

「ゼスト王国の南、我がセンターターク王国の東で突然、

大規模な魔物のスタンピードが発生し、既にいくつかの村などを、

放棄して避難が始まっている。


 その規模未だ経験がないほどのもので、

 甚大な被害が予想されていることから、

 一人でも助けてはくれないかと言う内容」

だった。


「分かりました、僕の力の及ぶ限り」

と答え、方針を確認した。

「そこに行かれるのですか?」

「エストレーナ以外の助力はいらないのですか?」

と言う話を軽く聞き流し、僕は直ぐに最前線といえる国境に街に向かうのだった。




ーー 国境の街 サーモン


僕はエストレーナと共にライの背に乗りサーモンと言う街に向かっている。

サーモンの街が見え始めた時にそのはるか向こうであるが、

真っ黒い波のようなものが視界に入った。


「あれが今回のスタンピードか」

僕の言葉を聞いたエストレーナがそれを見つけ目を見開き、

「凄い数です」

と口にした、確かに数は力だ暴力だ。


街の直ぐ手前に舞い降りると、門を目指して進む。

門のところで門番の兵士に呼び止められるが、皇教様の印を出すと

「失礼しました、どうぞ中に」

と入れてくれた。


そのまま街の中心にある街長の屋敷に向かうと、貴族の馬車も停まっていた。

「領主も来ているようだね」

と言いながら訪問の要件を執事に伝えるとすぐに奥に案内された。


会議室のような場所の案内されるとそこには、

街の主だった者が揃っているようで、

避難や防衛の話が飛び交っていたが、

僕の訪れに気付くと

「ようこそおいで下さいれました、使徒様。

 私が街長のオーロラです。」

と挨拶しながら隣の男性を指示して

「こちらが領主様のトラウル子爵様です」

と紹介してくれた、僕は領主以下の主だった者に挨拶をすると早々に、

次の提案をした。


「ここに来るまでに魔物のスタンピードを見かけました、

その規模からこのままの状態ではこの街が消滅するのは間違いないでしょう。

そこで僕からの提案ですが、僕が城壁を強化しますので皆さんは、

防衛に専念してほしいのです。

 魔物は地を這うものばかりではなく、空を飛ぶ物がおります。

いくら城壁を強化しても空には対応出来ませんので、

空を飛ぶ魔物に対する防衛のみをしてほしいのです。」

と言うと、領主から

「城壁を強化すると言うが魔物が来るまでに

 出来る強化など当てにできるのか?」

と、そこで僕は

「どなたかサハラ王国やマリンゴールド王国の城壁の

話をお聞きした人はいませんか?」

と尋ねると、一人に男が

「私は商人のミゲルと言います、

その城壁ならば先日商売で赴きこの目で見てきました。

何でも使徒様が数日とかからず造られたとか。

本当に信じられぬほどの規模でした。」

と皆に説明し、半信半疑なれど納得したところで僕は

「これから作業を始めます、城壁の上の塀などを少しばかり

下げさせておいてくれませんか、

 巻き込むと生きていられないので。」

と言うと騎士団長のような男性が直ぐに外に飛び出した、

僕は挨拶をするとエストレーナを伴い部屋を出たのだった。




ーー サーモンの街の領主 トラウル子爵  side



私がこの街を治めて20年になる、

今まで特に大きな問題はなくとても平和な領地であった。


しかし今度の問題はこの街どころか、国さえ存亡に関わる大災害級の問題だ、

報告によると見渡す限り魔物で覆われ、その通過した後に残るものはなしと。



避難最優先で街を放棄することを考えていたところに、使徒様が現れ

「僕が城壁を強化するので、防衛に専念してほしい」

と言われた、しかもあの魔物の群れを見たと言って。

信じられなかったが今は神に祈るしかない事態、

その言葉を受け入れることにした。

そしてその言葉を目の当たりにして、確信しました。

使徒様という存在がいかに規格外かと。

あとは祈るだけかもしれない。
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