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天上界と拠点となる国
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ーー 次の街へ・・そこは天上の街。
人族の国に戻ったファーストは、ルシファーのことを考え一度、天上の国に向かうことにした。
「ルシファー、お前は飛べるのだろう。翼を出して見せろ。」
とファーストはルシファーに命じた。
何かを考えていたルシファーがこくりと頷くと上着を取り、「バサリ」と真っ白い翼を広げた。
「綺麗」
ソーニャが思わず呟く。
音もなく空に舞い上がるルシファー。かなり自由に飛べる様だ。
「よしそれじゃこれから天上界に向かうぞ。ギドラ、ソーニャを背に乗せてやれ。」
と言うとギドラの身体が20m程に大きくなった。
「お前も成長が早いな」
「主人の魔力のおかげだ。」
と答えてソーニャを背に乗せるギドラ。
「ソナー」、「センサー」で空を探ると門らしきものが見つかった。
「よし、ついて来い。」
と言うとファーストを先頭に空に舞い上がる。
かなり高いところまで上がったところで、それは見つかった。
「階段ですね。」
ルシファーが言えば
「天国の階段だよ。」
と答えるファースト。
階段に降り立ち、身体を縮めたギドラを含めた4人が登り始める。
突き当たりに扉があるが開け方がわからない。
ファーストは拳を握ると扉に叩きつけた。
「ドーン。」
激しい音と共に扉がひしゃげ飛ぶ、階段の先は庭園が広がっていた。
侵入者に気付いたのか、真っ白な翼を持つ天使の兵が10人ほど現れた。
「お前達は何者か?誰に断って天上界に来ている。」
と責める様に言う天使。
「俺はファースト。誰の許可も俺にはいらない。」
と答えると、怒りの表情に変わった天使らが攻撃してきた。
「全くこの世界の者は礼儀を知らんのか?」
と言いながら全ての攻撃を無力化するファースト。
「人のことは言えない気がするね」
と少女2人が呟くのは耳に入らぬファースト。
突然天使らが震えながら倒れる。
「コイツらも弱いな。」
と言いながらそのまま空に舞い上がり、先へ向かうファースト達。
遠くに白亜の城が見えてきた。
「あれが目的地の様だ。」
そう言うと白に近づくファースト達。
しかし城は結界で守られていた。
結界を触りながら
「壊して入るか?それとも待つか?」
と呟くファーストの前に、20人ほどの天使を連れた偉そうな天使が現れた。
「天上界を荒らす蛮族よ、何用あってここにきた。」
と言う天使に少しカチンときたが、
「この子の親父のことを知りたくて訪ねてきた。」
「その子の・・混ざりものの様だな。」
と嘲る言葉に
「グラビティ」
と唱えるファースト。
偉そうな天使達が地面にへばりつく。
「誰に物を言っているか分かっているのか?鳥ども。」
と言うファーストに地面に縫い付けられたまま天使が
「如何にしてもお前にはこの結界は抜けられぬ。」
と嘯く天使。
「ドーン、ドーン、バキン!」
結界が拳で叩き割られた音が響く。
「何故!結界が。」
驚きながら泡を吐き気絶する天使ら。
「ルシファー、聞いてなかったお前の父の名は何だ。」
と聞けば
「私と同じルシファーだよ。」
と答えた。
城に向かって飛ぶと城の前で大勢の兵士が待ち受けていた。
「止まれ、これより先は選ばれた者以外通れぬ。」
と強そうな天使が言う。
「お前の名は」
ファーストが聞くと
「私は天使長ミカエル。そなたの名は?」
と聞き返され
「俺はファースト。女神に頼まれてこの世界に来た男だ。この世界で俺を拒むことはできぬ、そこをで退け。」
と言うファーストに、ミカエルと名乗った天使長は
「その言葉が正しいか確認させてもらおう。」
と言うと切り掛かった。
鋭い踏み込みと、最短を最速で走る剣、しかしファーストには届かない。
50合ほど切り掛かったが全てを交わされ、最後は剣を巻き飛ばされた。
「参った。」
ミカエルはそう言うと、
「ここに来た理由は」
と聞いた。
「この子の父親、ルシファーのことで聞きたいことがあった。知り合いか家族がいれば合わせて欲しい。」
と言うファーストに顔色を変えたミカエルが、ジッとルシファーを見る。
「俺が堕天使ルシファーの弟だ。ついて来い。」
と言うと城の一室に案内した。
◇ 白亜の城
城の一室に案内されたファースト達、ギドラは外でソーニャと待っている。
「お前が兄ルシファーの娘というのは本当か?」
と聞くミカエルにルシファーは、ある物を取り出し見せた。
「これは確かに、兄の物・・で兄は?」
と言うミカエルに、ルシファーは黙って首を横に振った。
「そうか亡くなったか。しかしお前と言う娘を残せただけマシか。」
と独り言を言った後、ミカエルはルシファーの父が天使長の立場を捨てて、地上に降りた成り行きを語り。
ここでは誰も関わりを持とうとしないと明言した。
と言うことはルシファーはここでは生活できないのか。
「分かった、一人前になるまでは俺がルシファーの面倒を見てやる。」
と言うとルシファーを連れて城の外に出た。
城の外には、外で待つソーニャ達と共にファーストを取り巻く天使たちの軍が武装していた。
「俺たちに何用か?まさか俺の前に立ち塞がるつもりではなかろうな。」
と言うファーストの言葉に。
大天使を名乗る男が出てきて
「このまま黙ってお前たちを帰しては、天上界の恥になる。死んでもらおう。」
と言う。
「ここもバカばかりか。女神よどんな躾をしていたんだ。」
と天に向かって毒づいた。
そして前を向くと仲間に結界を張り、魔力を高めていく。
大天使が総攻撃の合図を下す。
どれだけ攻撃してもファーストはおろか結界で守られた仲間に一切の攻撃が届かない。
「何と強固な結界か!」
しかしそのあとファーストの
「ライジング」
と言う言葉で断続的な雷が天使たちに降り注ぐ。
あまりの速さに逃げることすらできない雷に、次から次に倒される天使たち。
ほとんどの天使が10分もしないうちに倒され、残るは大天使他数名。
「ほら、口だけでなく自らもかかってきな!」
挑発するファースト。
真っ赤になった大天使が
「いい気になるな!大天使の力を見よ!」
と言いながら光り輝く槍をファーストに突き出す攻撃を行う。
しかしいくら攻撃しようと、かすることすら出来ない。
ファーストが一振りするだけで大きくよろめく状態の大天使が、大きく力をためて渾身の必殺技を繰り出す。
勝ったと思った大天使がニヤリと笑いながら槍の先のファーストを見たが、そのには何も無い。
次の瞬間、首を飛ばされる大天使。
「他に手を出すものがいるか?どうせなら天上界の主でも狩って帰るか。」
と言うファーストに生き残った天使らが青ざめる。
そこに1人の若者が現れて
「我は天子、名はない。天使らが迷惑をおかけした様だ、この通り非礼を詫びる。」
と頭を下げる。
「そうかそれなら帰るわ。邪魔したな。」
と言うとファーストは仲間を連れて門に向かった。
残った城の前ではその後ろ姿を見送る、天子と天使長ミカエルが
「女神でもあそこまで厳しくはなかろうが、あのものに手を出した報いと言われればその通りでもあろう。慢心しすぎた天使たちの心を戒めたと思うことにしよう。」
と言うと天子は手を上げ、天使たちの骸を消し魂を再生した。
「次に受肉したら今回の経験を糧にする様に。」
と呟きながら。
そしてミカエルに
「本日よりそなたを大天使ミカエルとする、一層励む様に。」
と言うと城に中に消えていった。
ーー 次の国へ。
天上の国から空を降りてゆくと、何故か初めの場所と違う国の上に出た。
「何だこれは、女神の悪戯か?それともお礼か?」
と呟きながらその国に舞い降りるファーストら。
この国はゼスト王国といういろいろな種族が集まった、多民族国家であった。
「ふん~。ここならソーニャやルシファーでも、問題なく住めると言うことか。」
「よしここに拠点を持ちここを中心にこの世界を楽しんでやろう。」
そう言うとファーストは、王都と思われる大きな街に向かっていった。
ーー 拠点を作る(家を買う)。
街の中に入ると流石多民族国家だ、色々な人種がいる。
ソーニャもケモ耳を隠すことなく歩けるので、気持ちがいい様だ。
ギドラは流石に元の大きさでは大きすぎるので2mほどの大きさでぷかぷか浮かんで移動をしている。
冒険者ギルドに入り受付で、冒険者証を見せながら
「宿と飯屋と建物を扱う商会を教えてくれ。」
と言うと丁寧に教えてくれた。
ただ冒険者証を書き換えると言われ、戻ったきた物にはSSと書かれてあった。
「SSランクというのは何だ?」
と独り言を言いながらギルドを後にしたファースト。
食事を済ませ、物件を扱う商会に向かう、すぐにわかるほど大きな商会だった。
入口の案内役に
「すまんが家が欲しい。適当な物を紹介して欲しい。」
と要件を伝えると、案内係はファースト達を下に見たか
「申し訳ありません。ここで扱う物件はお客様にはすぎるものばかりの様です。他所の商会をお勧めします。」
と追い返しそうとするのにファーストは。
「何だと、ここでは俺に紹介できる物件がないと言うのか。大きいだけで大したこともない商会だ、ギルドの紹介できたが間違いだった様だ。」
そこそこ大きめの声でそういうと、店を出ようとするファーストに奥の方から別の男が
「申し訳ありません、お客様。私がお話をお伺いしたします。どうぞ。」
と丁寧に礼をすると奥に案内した。
最初の案内役はその男を見て「支配人」と呟くと大きく目を見開いていた。
「申し訳ありません。あの者はまだ経験が浅く人を見る目がなくて、しかもギルドからの紹介者はランクA以上と決まっているのを知らないのです。申し訳ありませんでした。」
と言う男にファーストは先ほど書き換えられた冒険者証を取り出して見せた。
「SS ランク!私初めて目にしました。これからもよろしくお願いします。」
と代わりに名刺の様な物を手渡し
「私は当商会の支店長をしております。クズノスと申します。目的は皆さんで住まわれる家でよろしいですか?」
と切り出し、今後の人数の予定や欲しい間取りなどを聞かれて幾つかの候補を紹介された。
これからそこを見せて紹介するそうだ。馬車に乗り街を巡り出した。
その中で一軒が気に入った。
広い敷地に立派な豪邸が手入れされた庭と共に、直ぐにでも住める感じだったのだ。
「これにしよう。いくらだ。」
と言うとファーストは、テーブルの上に金貨や金、宝石を山の様に積み上げた。
すると
「これだけども多すぎますが、一つお伺いしてもよろしいでしょうか?もしお持ちならば万病に効くお薬などはお持ちでないでしょうか?当商会の者が病に倒れて・・何とかしたいのですが。」
と言う言葉を言う男の目に嘘はない様だ。
「その病人を見せてもらおう、俺は薬よりよく効く魔法が使える。」
とファーストが言うとクズノスと名乗った男は、是非今からでも」
と言うと馬車を走らせた。
商会に戻った馬車から降りたファーストは、クズノスに案内されて商会の奥に。
クズノスが事前に連絡していたのか、誰にも妨げられることなく奥の一室に案内されて。
「この奥に病人がおります。こちらが当商会の会頭フェザーとその奥様セリーナ様です。
病人はその一人娘、カリーナ様です。どうかお助けください。」
と頭を下げると、会頭とその妻も黙って頭を下げた。
ファーストは皆を残し1人部屋に入るとベッドに横たわる病人を見て直ぐに
「スキャン」「解呪」「解毒」「回復」「ヒール」
と5つの魔法を使い病人を治療していった。
部屋から出るとあまりの速さに、またダメかと言う顔の家族らに
「安心せよ、病は完治した。一つ質問がある。」
と言いながら周囲を結界で囲み防音状態にすると
「呪いがかけられていたことと、最近まで毒を盛られていた様だが心当たりはあるか?」
と聞くと3人は顔を合わせて何事か話していたが
「はい、心当たりがございます。領主様その専属の医師が。しかしこれは私どもではどうにもできません。」
と娘が元気になっただけでも良かったと喜んだ。すると
「大丈夫だ、呪いは呪詛を返され、毒は使った者に返しておこう。」
とファーストが言うのを意味もわからず、「はい」と答えたがそれ以上部屋から出てきた娘を見て、涙を流して喜んだ。
どうも娘の婿はクズノスの様だった。
人族の国に戻ったファーストは、ルシファーのことを考え一度、天上の国に向かうことにした。
「ルシファー、お前は飛べるのだろう。翼を出して見せろ。」
とファーストはルシファーに命じた。
何かを考えていたルシファーがこくりと頷くと上着を取り、「バサリ」と真っ白い翼を広げた。
「綺麗」
ソーニャが思わず呟く。
音もなく空に舞い上がるルシファー。かなり自由に飛べる様だ。
「よしそれじゃこれから天上界に向かうぞ。ギドラ、ソーニャを背に乗せてやれ。」
と言うとギドラの身体が20m程に大きくなった。
「お前も成長が早いな」
「主人の魔力のおかげだ。」
と答えてソーニャを背に乗せるギドラ。
「ソナー」、「センサー」で空を探ると門らしきものが見つかった。
「よし、ついて来い。」
と言うとファーストを先頭に空に舞い上がる。
かなり高いところまで上がったところで、それは見つかった。
「階段ですね。」
ルシファーが言えば
「天国の階段だよ。」
と答えるファースト。
階段に降り立ち、身体を縮めたギドラを含めた4人が登り始める。
突き当たりに扉があるが開け方がわからない。
ファーストは拳を握ると扉に叩きつけた。
「ドーン。」
激しい音と共に扉がひしゃげ飛ぶ、階段の先は庭園が広がっていた。
侵入者に気付いたのか、真っ白な翼を持つ天使の兵が10人ほど現れた。
「お前達は何者か?誰に断って天上界に来ている。」
と責める様に言う天使。
「俺はファースト。誰の許可も俺にはいらない。」
と答えると、怒りの表情に変わった天使らが攻撃してきた。
「全くこの世界の者は礼儀を知らんのか?」
と言いながら全ての攻撃を無力化するファースト。
「人のことは言えない気がするね」
と少女2人が呟くのは耳に入らぬファースト。
突然天使らが震えながら倒れる。
「コイツらも弱いな。」
と言いながらそのまま空に舞い上がり、先へ向かうファースト達。
遠くに白亜の城が見えてきた。
「あれが目的地の様だ。」
そう言うと白に近づくファースト達。
しかし城は結界で守られていた。
結界を触りながら
「壊して入るか?それとも待つか?」
と呟くファーストの前に、20人ほどの天使を連れた偉そうな天使が現れた。
「天上界を荒らす蛮族よ、何用あってここにきた。」
と言う天使に少しカチンときたが、
「この子の親父のことを知りたくて訪ねてきた。」
「その子の・・混ざりものの様だな。」
と嘲る言葉に
「グラビティ」
と唱えるファースト。
偉そうな天使達が地面にへばりつく。
「誰に物を言っているか分かっているのか?鳥ども。」
と言うファーストに地面に縫い付けられたまま天使が
「如何にしてもお前にはこの結界は抜けられぬ。」
と嘯く天使。
「ドーン、ドーン、バキン!」
結界が拳で叩き割られた音が響く。
「何故!結界が。」
驚きながら泡を吐き気絶する天使ら。
「ルシファー、聞いてなかったお前の父の名は何だ。」
と聞けば
「私と同じルシファーだよ。」
と答えた。
城に向かって飛ぶと城の前で大勢の兵士が待ち受けていた。
「止まれ、これより先は選ばれた者以外通れぬ。」
と強そうな天使が言う。
「お前の名は」
ファーストが聞くと
「私は天使長ミカエル。そなたの名は?」
と聞き返され
「俺はファースト。女神に頼まれてこの世界に来た男だ。この世界で俺を拒むことはできぬ、そこをで退け。」
と言うファーストに、ミカエルと名乗った天使長は
「その言葉が正しいか確認させてもらおう。」
と言うと切り掛かった。
鋭い踏み込みと、最短を最速で走る剣、しかしファーストには届かない。
50合ほど切り掛かったが全てを交わされ、最後は剣を巻き飛ばされた。
「参った。」
ミカエルはそう言うと、
「ここに来た理由は」
と聞いた。
「この子の父親、ルシファーのことで聞きたいことがあった。知り合いか家族がいれば合わせて欲しい。」
と言うファーストに顔色を変えたミカエルが、ジッとルシファーを見る。
「俺が堕天使ルシファーの弟だ。ついて来い。」
と言うと城の一室に案内した。
◇ 白亜の城
城の一室に案内されたファースト達、ギドラは外でソーニャと待っている。
「お前が兄ルシファーの娘というのは本当か?」
と聞くミカエルにルシファーは、ある物を取り出し見せた。
「これは確かに、兄の物・・で兄は?」
と言うミカエルに、ルシファーは黙って首を横に振った。
「そうか亡くなったか。しかしお前と言う娘を残せただけマシか。」
と独り言を言った後、ミカエルはルシファーの父が天使長の立場を捨てて、地上に降りた成り行きを語り。
ここでは誰も関わりを持とうとしないと明言した。
と言うことはルシファーはここでは生活できないのか。
「分かった、一人前になるまでは俺がルシファーの面倒を見てやる。」
と言うとルシファーを連れて城の外に出た。
城の外には、外で待つソーニャ達と共にファーストを取り巻く天使たちの軍が武装していた。
「俺たちに何用か?まさか俺の前に立ち塞がるつもりではなかろうな。」
と言うファーストの言葉に。
大天使を名乗る男が出てきて
「このまま黙ってお前たちを帰しては、天上界の恥になる。死んでもらおう。」
と言う。
「ここもバカばかりか。女神よどんな躾をしていたんだ。」
と天に向かって毒づいた。
そして前を向くと仲間に結界を張り、魔力を高めていく。
大天使が総攻撃の合図を下す。
どれだけ攻撃してもファーストはおろか結界で守られた仲間に一切の攻撃が届かない。
「何と強固な結界か!」
しかしそのあとファーストの
「ライジング」
と言う言葉で断続的な雷が天使たちに降り注ぐ。
あまりの速さに逃げることすらできない雷に、次から次に倒される天使たち。
ほとんどの天使が10分もしないうちに倒され、残るは大天使他数名。
「ほら、口だけでなく自らもかかってきな!」
挑発するファースト。
真っ赤になった大天使が
「いい気になるな!大天使の力を見よ!」
と言いながら光り輝く槍をファーストに突き出す攻撃を行う。
しかしいくら攻撃しようと、かすることすら出来ない。
ファーストが一振りするだけで大きくよろめく状態の大天使が、大きく力をためて渾身の必殺技を繰り出す。
勝ったと思った大天使がニヤリと笑いながら槍の先のファーストを見たが、そのには何も無い。
次の瞬間、首を飛ばされる大天使。
「他に手を出すものがいるか?どうせなら天上界の主でも狩って帰るか。」
と言うファーストに生き残った天使らが青ざめる。
そこに1人の若者が現れて
「我は天子、名はない。天使らが迷惑をおかけした様だ、この通り非礼を詫びる。」
と頭を下げる。
「そうかそれなら帰るわ。邪魔したな。」
と言うとファーストは仲間を連れて門に向かった。
残った城の前ではその後ろ姿を見送る、天子と天使長ミカエルが
「女神でもあそこまで厳しくはなかろうが、あのものに手を出した報いと言われればその通りでもあろう。慢心しすぎた天使たちの心を戒めたと思うことにしよう。」
と言うと天子は手を上げ、天使たちの骸を消し魂を再生した。
「次に受肉したら今回の経験を糧にする様に。」
と呟きながら。
そしてミカエルに
「本日よりそなたを大天使ミカエルとする、一層励む様に。」
と言うと城に中に消えていった。
ーー 次の国へ。
天上の国から空を降りてゆくと、何故か初めの場所と違う国の上に出た。
「何だこれは、女神の悪戯か?それともお礼か?」
と呟きながらその国に舞い降りるファーストら。
この国はゼスト王国といういろいろな種族が集まった、多民族国家であった。
「ふん~。ここならソーニャやルシファーでも、問題なく住めると言うことか。」
「よしここに拠点を持ちここを中心にこの世界を楽しんでやろう。」
そう言うとファーストは、王都と思われる大きな街に向かっていった。
ーー 拠点を作る(家を買う)。
街の中に入ると流石多民族国家だ、色々な人種がいる。
ソーニャもケモ耳を隠すことなく歩けるので、気持ちがいい様だ。
ギドラは流石に元の大きさでは大きすぎるので2mほどの大きさでぷかぷか浮かんで移動をしている。
冒険者ギルドに入り受付で、冒険者証を見せながら
「宿と飯屋と建物を扱う商会を教えてくれ。」
と言うと丁寧に教えてくれた。
ただ冒険者証を書き換えると言われ、戻ったきた物にはSSと書かれてあった。
「SSランクというのは何だ?」
と独り言を言いながらギルドを後にしたファースト。
食事を済ませ、物件を扱う商会に向かう、すぐにわかるほど大きな商会だった。
入口の案内役に
「すまんが家が欲しい。適当な物を紹介して欲しい。」
と要件を伝えると、案内係はファースト達を下に見たか
「申し訳ありません。ここで扱う物件はお客様にはすぎるものばかりの様です。他所の商会をお勧めします。」
と追い返しそうとするのにファーストは。
「何だと、ここでは俺に紹介できる物件がないと言うのか。大きいだけで大したこともない商会だ、ギルドの紹介できたが間違いだった様だ。」
そこそこ大きめの声でそういうと、店を出ようとするファーストに奥の方から別の男が
「申し訳ありません、お客様。私がお話をお伺いしたします。どうぞ。」
と丁寧に礼をすると奥に案内した。
最初の案内役はその男を見て「支配人」と呟くと大きく目を見開いていた。
「申し訳ありません。あの者はまだ経験が浅く人を見る目がなくて、しかもギルドからの紹介者はランクA以上と決まっているのを知らないのです。申し訳ありませんでした。」
と言う男にファーストは先ほど書き換えられた冒険者証を取り出して見せた。
「SS ランク!私初めて目にしました。これからもよろしくお願いします。」
と代わりに名刺の様な物を手渡し
「私は当商会の支店長をしております。クズノスと申します。目的は皆さんで住まわれる家でよろしいですか?」
と切り出し、今後の人数の予定や欲しい間取りなどを聞かれて幾つかの候補を紹介された。
これからそこを見せて紹介するそうだ。馬車に乗り街を巡り出した。
その中で一軒が気に入った。
広い敷地に立派な豪邸が手入れされた庭と共に、直ぐにでも住める感じだったのだ。
「これにしよう。いくらだ。」
と言うとファーストは、テーブルの上に金貨や金、宝石を山の様に積み上げた。
すると
「これだけども多すぎますが、一つお伺いしてもよろしいでしょうか?もしお持ちならば万病に効くお薬などはお持ちでないでしょうか?当商会の者が病に倒れて・・何とかしたいのですが。」
と言う言葉を言う男の目に嘘はない様だ。
「その病人を見せてもらおう、俺は薬よりよく効く魔法が使える。」
とファーストが言うとクズノスと名乗った男は、是非今からでも」
と言うと馬車を走らせた。
商会に戻った馬車から降りたファーストは、クズノスに案内されて商会の奥に。
クズノスが事前に連絡していたのか、誰にも妨げられることなく奥の一室に案内されて。
「この奥に病人がおります。こちらが当商会の会頭フェザーとその奥様セリーナ様です。
病人はその一人娘、カリーナ様です。どうかお助けください。」
と頭を下げると、会頭とその妻も黙って頭を下げた。
ファーストは皆を残し1人部屋に入るとベッドに横たわる病人を見て直ぐに
「スキャン」「解呪」「解毒」「回復」「ヒール」
と5つの魔法を使い病人を治療していった。
部屋から出るとあまりの速さに、またダメかと言う顔の家族らに
「安心せよ、病は完治した。一つ質問がある。」
と言いながら周囲を結界で囲み防音状態にすると
「呪いがかけられていたことと、最近まで毒を盛られていた様だが心当たりはあるか?」
と聞くと3人は顔を合わせて何事か話していたが
「はい、心当たりがございます。領主様その専属の医師が。しかしこれは私どもではどうにもできません。」
と娘が元気になっただけでも良かったと喜んだ。すると
「大丈夫だ、呪いは呪詛を返され、毒は使った者に返しておこう。」
とファーストが言うのを意味もわからず、「はい」と答えたがそれ以上部屋から出てきた娘を見て、涙を流して喜んだ。
どうも娘の婿はクズノスの様だった。
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勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
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旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
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けむし
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山奥に住む男は定年後、実家のあった田舎に移り住んだUターン者である。
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その部屋には脇に机が一つ置かれてあり和紙の紙束と日本刀が一振り置いてあった。
紙束を開くとそこには自分の先祖と思われる人物の日記が書かれていた。
『この先はこの世でない世界が広がり、見たことも聞いたこともない人々や
動植物に恐ろしい魔物、手妻の様な技に仙人の様な者までいる、しかもその
世界において身に付いた技や力は現世に戻っても変わることがない。志ある
ならひと旗あげるのも一興、ゆめゆめ疑うことなかれ。』
最後のページにはこの言葉と「後は子孫に託す」との言葉で締められていた。
男は刀を腰に下げると出口と思われる方に歩きだした、10歩も歩かぬうちに光に包まれ森の洞窟の出口あたりに立っていた。
立っていた場所から車一台分の幅で未舗装であるがしっかりとした道路がなだらかな地形に沿って続いているのが見える、そこで男は食料や水を持っていなかったことに気付き一旦洞窟の方に歩き出すと、いつのまにか石室に立っておりそのまま歩くと隧道の入り口に立っていた、違っているのは17・8歳の若々しい身体の自分と腰に下げた刀が不思議な体験を事実と肯定していた。
冒険の準備を済ませ、自衛隊仕様のジープに荷物を載せて隧道に車を走らせると、あの石室を通過して洞窟の前にたどり着いた。
ここから男の冒険の始まり、セカンドライフよろしく21世紀の科学と不思議な世界で得たスキルで成り上がる男の物語。
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