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アイスの過去を回収する

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ーー アイスの過去編

私はドラゴーニュ族のアイス。

昔の名前は、カテーシャ。

汚い闇討ちにあい奴隷として売られた私は、復讐心だけで生きていたたが、今は少し違う。

復習を忘れた訳ではないが所詮私が・・・弱かったのだ、さらに修行をして闇討にも負けない強さを手に入れるつもりだった。

 我らドラゴーニュ族は強き者が絶対と言う考え方をする一族だ。

御主人は、私とレベル差が100以上もある為、側にいるのは感情的には安心感がある。

そんな私をご主人様は、第三夫人として迎えてくれた。

さらに今度は、一緒に過去を清算しようと言ってくれたのだ。

不老の身体を手に入れた今の私に、怖いものはない。

「戻ろう、あの忌まわしき故郷に!ご主人と共に。」

そう決意した私は、同じ境遇の妻らと共にドラゴーニュの国へ向かった。


ーー ドラゴーニュの国


ドラゴーニュの国は、他の王国と違いハッキリとした国としての制度がない。

部族間同士の勢力争いや部族内部の勢力争いを重く見ていて、一つにまとまると言う意思は薄い様だ。

大小様々な部族が日々勢力争いをしている、それがドラゴーニュの本質の様である。


アイスが暮らしていた部族もそんな部族の一つで、勢力的にはかなり上位の部族であった。

部族長を務める、父親とその補佐をする叔父と長男がアイスの自慢の家族だった。

強さを求めるドラゴーニュ族にとって、強さが尊敬の最大のポイントであった。

その家族を第二勢力の家族が他の家族と共闘して、闇討ち的に襲い殺したのだ。

普通は、殺すまでのことはせず、力の差を見せればそれで済むのであるが、

力ではなく闇討ちや罠で相手を倒した際は反撃を恐れて殺す様だ。


その後勢力が落ちたアイスの家族は、追放されるわけだが。

そこそこ強かったアイスは、かえって不幸な人生を送ることになった。


今、その故郷を前にしてアイスが

「ご主人様、私の復讐を許していただけますか?」

と尋ねてきたので

「許すも何も、俺もそれに加わるつもりだぜ。」

と答えると、アイスは力強く頷いた。

俺は他の嫁に、

「ここから先は、アイスと俺の戦いだ、お前達はそれを見届けてくれ。」

と言い置き、アイスと肩を並べて歩き出した。




ーー ゲーリーと言う部族


ドラゴーニュ族は、族長の名前を取り部族名を名乗る。

その為、族長が変わると、周囲の部族にそれを知らせるのが恒例である。

ゲーリーと言う名は、アイスの父達を殺した男に名前だ。

ドラゴーニュのレベルは、100~200と言われている。

ゲーリーと言うドラゴーニュもレベル180ほどの男で、そのままではレベル200のアイスの父親には敵わなかったので、謀略を図ったことになる。

ゲーリー部族の縄張りに入るとアイスが、

「我はケインズ部族の生き残りアイス、ゲーリー部族の族長に決闘を申し込む。

族長の元に案内せよ。」

と大声を上げた、すると何処にいたか二人のドラゴーニュが現れ。

「我らが案内し申す。」

と言いながら先導し始めた。


アイスの今のレベルは250で、ドラゴーニュの限界を突破している。

部族に案内されたアイスを見て何人かが、

「あれは、カテーシャでは?」

と騒いでいたが、アイスは気にもせず、

「ゲーリー族長との決闘を願う。」

とも一度申し込んだ、するとゲーリーと呼ばれた族長は

「俺に決闘を申し込むながその力を示せ」

と屁理屈をこねて、部下の戦士をアイスの前に立たせた。

傷つき疲れたところで出てくるつもりだろうが、ここにアイスを傷つけられるようなドラゴーニュは居ない。

出てくる戦士を次々に倒すアイスに肝を増やしたか、ゲーリー族長は、

「何をしている、皆で囲んで殺せ」

と思わず、叫んでいた。

ここで俺の介入が可能になる、数人ずつ現れるドラゴーニュを素手で叩きのめす俺とアイスに恐怖を感じた、ゲーリー族長は、その場から逃げ出そうとする。

それを見たアイスが

「敵に後ろを見せるなど、ドラゴーニュの面汚しだ。

正々堂々と戦え。」

と言う、アイスの声に立ち止まると振り向き

「お前が言うか!」

お激昂し、アイスに襲いかかった。

アイスはそれを丁寧に捌くと、渾身のパンチを顔面と腹に叩き込んだ。


決闘はアイスの一方的な戦い。


この時ゲーリー部族は、族長を失いただの部族と成り下がったのだった。


これにより、アイスの過去は回収されることになったが、

同時に追放された家族は既に生きていないことがわかった。

俺はアイスと共に、家族の仮の墓を参ると。

「家にお前の家族のお墓を建ててやろう。」

と言うと、アイスは涙を流してお礼を言った。
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