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鱗族
人間族
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バージルの部屋は、最初に連れてこられた部屋だった。最初から、バージルは私を手中に置こうとしていたという事なんだろうか。私はサッと身体を拭かれてベッドに思いの外優しく下ろされた。
どうも私は随分壊れやすいものとして扱われているみたいだ。バージルはベッドの側で身体を無造作に拭いていた。私はその隙にシーツを身体に巻き付けると、じっくりバージルを観察した。
逞しい筋肉質な身体は、私には色や硬さ、顔の紋様が違うだけで、特段人間と違う様には見えなかった。それともお尻に尻尾でも生えているんだろうか。鱗族と言うからには爬虫類っぽい人外の種族なのかな。
すると可笑しそうに私を見たバージルが尋ねてきた。
「何か聞きたそうな顔をしている。ルリは考えてることが隠せないみたいだね。」
私はバツが悪くなったけれど、今が聞くチャンスだと思って尋ねた。
「あ、あの!後ろ姿見せてもらえますか…。」
バージルは堪えきれない様に声を立てて笑うと、直ぐに美しい後ろ姿を見せつけた。うん、尻尾はありません。あるのは美しく引き締まったエクボのあるお尻だった。本当、これじゃ人間と変わらない。
「満足したかい?私に尻尾でもあると思ったのか?我々鱗族は確かに千年も前は尻尾があった様だが、進化と共に無くなってしまった様だよ。この顔の紋様が鱗族の証明だ。しかしそう考えると、ルリは何の亜人なんだろう。」
私はもうこの世界で何とか生きていく為には、バージルに味方になってもらうしか無いと覚悟を決めて言った。
「私は人間です。亜人と言うものがどう言うものかよく分かりませんが、私の世界では人間と呼ばれてました。それに多分、私は別の世界の人間だと思います。気づいたら、砂漠のど真ん中に突っ立って居たんですから。」
そう言うと、バージルは眉を顰めてじっと私を見つめた。それから肩をすくめて私にのし掛かると、ニンマリ笑って言った。
「では、人間族のルリ、君の身体を調査させてくれたまえ。」
ふざけた事を言い終わる頃には、笑みも消えて、そこには目を光らせて情欲を感じるバージルの顔しか無かった。私は思わず身をすくめて目をぎゅっと瞑った。
するとひんやりとしたバージルの唇が、閉じた瞼に優しく触れた。そして、額に、また頬に、耳に、首に、顔中を少しづつ触れていった。どこか癒しの様なその口づけは、私の強張った身体をリラックスさせた。
何処かでなぜ唇に触れてこないのかと疑問に思い始めた頃、バージルが一人呟きながらとうとう私の唇に覆い被さってきた。私はなぜか自分でも、その瞬間を待っていた気がした。
『この赤い毒に、私はすっかり魅了されてしまった。』
一方でそう聞こえたバージルの言葉の意味を頭の中に留めながら、甘い時間へと連れて行かれてしまった。
どうも私は随分壊れやすいものとして扱われているみたいだ。バージルはベッドの側で身体を無造作に拭いていた。私はその隙にシーツを身体に巻き付けると、じっくりバージルを観察した。
逞しい筋肉質な身体は、私には色や硬さ、顔の紋様が違うだけで、特段人間と違う様には見えなかった。それともお尻に尻尾でも生えているんだろうか。鱗族と言うからには爬虫類っぽい人外の種族なのかな。
すると可笑しそうに私を見たバージルが尋ねてきた。
「何か聞きたそうな顔をしている。ルリは考えてることが隠せないみたいだね。」
私はバツが悪くなったけれど、今が聞くチャンスだと思って尋ねた。
「あ、あの!後ろ姿見せてもらえますか…。」
バージルは堪えきれない様に声を立てて笑うと、直ぐに美しい後ろ姿を見せつけた。うん、尻尾はありません。あるのは美しく引き締まったエクボのあるお尻だった。本当、これじゃ人間と変わらない。
「満足したかい?私に尻尾でもあると思ったのか?我々鱗族は確かに千年も前は尻尾があった様だが、進化と共に無くなってしまった様だよ。この顔の紋様が鱗族の証明だ。しかしそう考えると、ルリは何の亜人なんだろう。」
私はもうこの世界で何とか生きていく為には、バージルに味方になってもらうしか無いと覚悟を決めて言った。
「私は人間です。亜人と言うものがどう言うものかよく分かりませんが、私の世界では人間と呼ばれてました。それに多分、私は別の世界の人間だと思います。気づいたら、砂漠のど真ん中に突っ立って居たんですから。」
そう言うと、バージルは眉を顰めてじっと私を見つめた。それから肩をすくめて私にのし掛かると、ニンマリ笑って言った。
「では、人間族のルリ、君の身体を調査させてくれたまえ。」
ふざけた事を言い終わる頃には、笑みも消えて、そこには目を光らせて情欲を感じるバージルの顔しか無かった。私は思わず身をすくめて目をぎゅっと瞑った。
するとひんやりとしたバージルの唇が、閉じた瞼に優しく触れた。そして、額に、また頬に、耳に、首に、顔中を少しづつ触れていった。どこか癒しの様なその口づけは、私の強張った身体をリラックスさせた。
何処かでなぜ唇に触れてこないのかと疑問に思い始めた頃、バージルが一人呟きながらとうとう私の唇に覆い被さってきた。私はなぜか自分でも、その瞬間を待っていた気がした。
『この赤い毒に、私はすっかり魅了されてしまった。』
一方でそう聞こえたバージルの言葉の意味を頭の中に留めながら、甘い時間へと連れて行かれてしまった。
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