紋様皇子が私の毒を喰らったと訴えてきます

夢の中

緊張と弛緩※

ひんやりとしたバージル皇子の唇はすぐに冷たさが消えた。人間の様で違う彼は何者なのだろうか。そんな事も分からずに、私はこの男のものになる。

今まで胸の事で揶揄われて、まとわりつく視線が嫌で尻込みしがちだった恋愛も、今となっては無理にでも経験しておくのだったと後悔がよぎった。今やひとっ飛びに感情を置き去りに、この男のものになってしまうのだから。


バージルの筋肉質の身体はジムトレーナーの様に見事で、その分厚い身体の前では、決して細くもない私でも妙に儚げな気がしてくる。それは胸が目立つ自分のコンプレックスが消える瞬間でもあった。

唇を割って入ってくるバージルの舌に、口の中の喉奥をくすぐられて、私は思わず目を開けた。舌ってそんなに長いものだったかしら？時々触れるその場所は、私をゾクゾクさせた。


バージルは味わう様にキスしながら、私の背中やお尻を撫でたり、押したり、挙句の果てには強めに摘んだりした。私は酔わされそうな口づけから、自分を引き剥がしてバージルに文句を言った。

「そんなに強く摘んだら痛いわ…。アザになってしまう。」

するとバージルは私の顔をじっと見つめて、甘い口調でささやいた。

「すまない。ルリの身体の柔らかさに、どこまでそうして良いか加減が分からないんだ。我々鱗族の皮膚は、基本滑らかだが硬くて冷たい。ルリとは真逆だからね。」


私はバージルの愛撫が止まったのを幸いに、気になっていた事を頼んだ。

「あの、このヌルヌルを洗いたいの。まだ、砂の身体を綺麗にしてないし…。」

バージルは頷くと、私から身体を引き剥がして、手を引いて洗い場で丸いプラスチックボールの様なものをひとつ取った。そしてそれを潰して、乳白色のトロリとした成分を私に塗りつけた。


甘い花の様な香りのそれはエキゾチックで、直ぐにもったりとしたクリーム状の泡に変わった。バージルは黙りこくって、私の身体にそれを熱心に
塗り広げた。

覚悟を決めた私はその場に立ったまま、身体を撫でられるがまま、目の前のバージルを呆然と見つめた。身体を離したバージルの身体は、青光りするマッチョだった。身長は190cm近くて驚くほど大きい。そして体毛が無かった。


だから恐ろしく主張する、私のお腹を押していたソレが目に飛び込んできたのはしょうがないと思う。そして『知りすぎの処女』の私にとっても、それは知識を超えるモノだった。

人外なのだから全然違う方が良かったかもしれない。でもそれは色味が違うだけで、形状はそう変わりなく見えた。ただ、サイズがおかしかった。え、無理。もう、全然無理。経験がなくても無理だって知ってるってば！